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おいしい組み合わせ

 雑誌「dancyu」の編集長の植野さんがこんなことを言っていました。「子どもの頃、ごはんと牛乳が好きで、好きなものを一緒にしたらいいんじゃないかと思って混ぜて食べたら合わなかった、ということがありましてね」

 私が静岡の小学校に通っている時のことを思い出しました。給食に「郷土料理の日」っていうのがあって、ある日のメニューに、静岡特産のみかんの搾り汁でお米を炊いた「みかんライス」なるものが出てきたんです。
 月初めにメニュー表が発表された瞬間から学校中の物議を醸していてねぇ。迎えた当日、配られたごはん容器のフタを開けると、湯気に混じってみかんの甘酸っぱいにおいが立ちのぼってきて、当時の私はそのままフタを閉じました。
「おお、これは私にはムリ(ごめんなさい)」
 同じように思ったクラスメイトも多かったみたいで、山のように積まれた大量の残飯を見たのは、あの日以外にはなかったと記憶しています。大変な食品ロスです。
 大人になるにつれて根付いた「おいしくないものは食べものを無駄にしてしまう」という認識は、みかんライスの一件があったからかもしれません。

 2年に一度、フランスで開催されている「ワールド・チョコレート・マスターズ」という大会があります。チョコレートの新しさや斬新さ、確かな技術、もちろんおいしさも求められる大会で、世界中のチョコレート職人がトップを目指して挑戦しています。テレビ放送で様子を見るのが毎回のたのしみです。
 ヨーロッパのいくつかの国では太古の昔からチョコレート文化があって、それに比べると日本やアジアのチョコ文化は若い方かもしれません。そのおかげで「今までになかった意外な食材との組み合わせの発想が生まれやすい」ようです。近年の大会では、日本ではゆずとか山椒とかわさびとか、アジアからはレモングラスなどのハーブ類を使ったものが審査員を喜ばせているとか。
 斬新な味がおいしいかは個人の味覚や好みによる、かも、しれないけれど、食べもの探究家としては、一度は試してみたいものです。おいしいといいなぁ。

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 先日、マヨネーズを作るために卵黄を使いました。たまごみっつ分です。すると、卵白が余るんです。メレンゲクッキーか、ラングドシャか・・・うーん。
 そこで思いついたのが、長芋のすりおろしと合わせてふわふわとろろにしようというアイデア。早めに出荷している空豆ものっけたので「おお、これはまるで『そらまめくんのベッド』」、絵本を思い出しながら作りました。長芋と卵白の組み合わせ、フワッフワのとろとろでおいしいですよ。

【材料】長芋15センチくらい、卵白3個分、市販の白だし、醤油、そら豆

【作り方】
①空豆を房から取って塩茹でする(必ず味見をして茹で上がりを確認する)。
②ボウルに卵白を入れて、お好みのふわふわ、もったり感になるまでハンドミキサー等で攪拌する。
③すりおろした長芋を②に入れて一体感が出るまで攪拌する。
④白だしと醤油を味を見つつ少しずつ入れて均一に混ぜる(芋とそら豆のやさしい味を活かしたかったので、小さじ1ずつ程度)。
⑤④を器に入れて、そら豆をそっと乗っけて出来上がり。
※卵白の気泡が粗いとそら豆くんは沈んじゃいます。

 今日も、最後まで読んでいただきありがとうございます。相手が悪い人というわけではなくいい人なんだけど、なぜか気の合わない人もいます。お付き合いはできるだけ避けたいなぁと思っちゃう。
 食材の組み合わせも、そういうことなのではないでしょうか。食材の個性を理解して仲良しにすることが、作り手のお仕事かもしれないねぇ。

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