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話し手/山田 恵美 さん<前半>

山田さんは『苺いち絵』という古本とハンドメイドのお店をされています。山田さんとは富山と福岡と離れていてまだお会いする機会がないのですが、メッセージでのお付き合いはキモノヤーンを始めてすぐの2018年から。4年近くとなります。minneでご購入いただいたことがきっかけでした。
はじめての山田さんとのおしゃべりで、お店のこと、ハンドメイドのこと、日々の暮らしのこと等、私の興味のままにたくさんお話を伺いしました。前半/後半に分けて掲載します。前半ではお店のこと、ハンドメイドのことを中心に。

(聞き手/藤枝瀬里子)

こんにちは!山田さんとお話しするのを楽しみにしていました!よろしくお願いいたします。

まずはじめに、『苺いち絵』の活動についてお伺いしたいです。
活動を始められたきかけを教えてください。

(山田)
『苺いち絵』を始めたのは、2011年くらい、息子が4歳の頃です。図書館司書をしていたので、最初は古本の販売からスタートしました。
自分が興味がある良いなと思った本をお勧めするお店で、息子の絵本からはじめて、児童心理学、子育て、暮らしの本へと、自分の興味とともに取り扱う本のジャンルが広がっていきました。
そんなに数は多くなくて、今でも本当に少しだけ、自分がよいと思ったものを販売しています。
2017年に古物商の免許を取って、開業届を出して本格的にお店をスタートしました。

『苺いち絵』の名前の由来を教えてください。

(山田)
苺が大好きなんです。
苺みたいに、たくさんの種=たくさんの出会いを一つ一つ丁寧に、絵を描くように積み重ねていきたい、どんな出会いも一期一会だから大切に紡いでいきたい、という想いで付けました。古本の販売していく中で、地域の方やママたちとのつながりも広がっていきました。

最初、古本の販売からスタートされて、今はハンドメイドの作品も販売されていますよね?

(山田)
ハンドメイドの作品を販売するようになったのは、開業届を出した2017年からです。
それまで趣味で作って友達にプレゼントしたりしていたら、友達が「これ売れるよ!せっかく開業するならこれ(作品)も販売してみたら?」と背中を押してくれて。それではじめました。

ものづくりを始められたのはいつごろからですか?

(山田)
20代のころですね。主に自分のものを作っていて。買いたいけど高くて買えないな、と思ったものを作ったり。もう着られないけど、この布が好きなんだよなー、と思ったものをリメイクしてみたりしていました。
自己流で手縫いからはじめて。
開業して、オーダーを受けるようになってからミシンも使い始めたのですが、今でも手縫いが好きです。自分の思ったように手で縫って、形を作っていく手縫いの感覚が好きです。

息子さんが撮影した山田さんの作業風景


今は着物のアップサイクルもされていますよね?
着物との出会いを教えてください。

(山田)
親御さんがなくなり、家の整理をしていた近所の方が、「古い布をもらってくれない?」と声をかけてくださり。
「いいんですか?」ともらったら、それが「古い布」ではなく「着物」だったんです。その方にとっては、買い取ってもらえず着ることもできない着物は価値のないものだから、「布」という言葉を使われていたみたいです。その方のひいおばあさんのお着物だったのですが、昔の着物は本当に小さくて、買い取ってもらうことができないんですよね。
ミカン箱サイズの段ボールを4つ分いただき、最初はこれをどうしようか?と途方に暮れました。
着物にハサミを入れる勇気が出なくて。解くことならできるかな?と思って解いてみたんです。
そしたら「わー!こんなところにある蝶々の柄がすごくかわいい」と柄に感動したり、「こうやって直線裁断したものにカーブを付けてくんだ」と和裁の手法に感動したり、布の手触りにも感動して、着物に惹かれていきました。とにかく扱うのが楽しくて。
そんなことを思っていた時に、キモノヤーンを見つけて!
「私と同じ感覚の人がいる!」と思ってとても嬉しかったのを覚えています。

(藤枝)
それでご連絡いただいたのですね。キモノヤーンとの出会いのきっかけをお伺いできて嬉しいです。

洋服の布と着物の布、扱ってみてどう違いましたか?

(山田)
まず、目の詰まり方。着物はすごく細かく織られていますよね。平織の洋服の布と比べて針が通っていかない。藤枝さんが、インスタライブで布花を作るときに硬くて針が通らない!と言っていたのを、わかるわかると思いながら見ていました(笑)
着物を解いてみてわかったのですが、仕立てにも上等な糸が使われていて。仕立ての糸もやっぱり正絹を使っているんだなとか、調べてみてわかって感動しました。
上等な糸で大事に作られたものを、大事にしまってあったから、こんなに状態がいいんだなと感慨深かったです。ひいおばあさんが使っていた古い古いものなのに、こんなに状態がいいってすごなと思って。洋服がこんなに状態よく残っていることはあまりないですよね。

その着物で最初はどのようなものを作られたんですか?

(山田)
最初は手縫いでポーチを作りました。
息子も手作りのものが好きで、息子がお財布として使っていたと思います。

(藤枝)
最初にいただいた4箱はもう使い切りましたか?

(山田)
それがまだなんです。布が布を呼ぶっていうんでしょうか…。
集めているわけじゃないんですけど、ご近所の方が「着物集めてるらしいね!」と持ってきてくださったりして、今は10箱くらいに増えています(笑)

(藤枝)
布が布を呼ぶ感覚、私もわかります(笑)私のところにも集まってきています。着物は大事なものっていう意識が日本人にはあるから、捨てるくらいなら、ちゃんと使ってくれる人にあげたいと思うのかもしれないですよね。

着物や帯をアップサイクルして作品を作られています

今はどんなものを作られていますか?

(山田)
スカートやジレや、ロングチュニック、ワンピースなど服のオーダーが中心です。雑誌の切り抜きを持ってこられたり、この生地でこの形で作ってほしいとか、こだわったオーダーも多いです。
何度もご注文いただいている方には、この方はこんな襟が似合うなとかわかってくるので、アレンジしてご提案するのも楽しいです。
一応オンラインショップでも販売はしていますが、口コミでのご紹介で制作させていただくことが多いです。

赤と大島紬で作ったチベタンスカート
腰ひもを結ぶ位置を自由に変えられ、いろんな素材でいろんな結び方をして楽しめるスカート


メキシカンドビー生地と合皮で創ったバッグ
ショルダー部分にはキモノヤーンを使っていただいています


最近クラウドファンディングに挑戦されましたよね。

(山田)
大学で図書館司書をしているので、ビジネスの情報がたくさん集まってくるんです。そこでクラウドファンディングというシステムを知りました。
私がしているアップサイクルは、社会課題を解決する一つの手法だからクラウドファンディングと相性がいいことを教えてもらって。
ある方に、「山田さんがやっていることは、一度役目を終えたものに新しい命を吹き込む仕事なんですよ。すごいことなんですよ。」と励ましてもらったんです。”エシカル消費”についてもその方に教えてもらって。
私のやっていることは、クラウドファンディングで応援してもらえることなのかな?と調べているうちに、失敗してもいいからやってみたいと思いました。面白そうだなと思ったことは、やってみたい性格なんです。

(藤枝)
実際にやってみていかがでしたか?

(山田)
楽しかったんです!
まずは、応援してくださる方たちの反応が面白かったです。
「恵美ちゃんがやっているの、どこからどう調べたら出てくるの?」と何度もいろんな方から聞かれて。
私のことを応援してくださる方は、クラウドファンディングとか新しいことには詳しくはないけど、私がやっていること活動にすごく興味を持ってくださっていているんだなとわかって嬉しかったです。応援したいという気持ちを持ってくださっていて。

クラウドファンディングの返礼品をお渡しした際の感想も楽しかったです。
夏の帯をバッグにしたんですが、お渡しした方がすごく喜んで面白がってくださいました。その方は、着物を着られる方なのですが、「夏帯は着物だと使える時期がすごく短いのにこれなら年中使える!」と、こんな使い方もあるんだと喜んでくださいました。普段は斜めかけにしたり、クラッチのように持ったら着物の時も使えると。

(藤枝)
着る以外の着物の活用方法を知っていただいたんですね。

(山田)
若い方の反応も面白かったです。
「これまで使っていたバッグより、なんか使い勝手がいいんですよね。手触りが手になじむんですよね」と言っていて。「絹の手触りっていいよね。」とか話したり。
ラッピングにキモノヤーンを使っているんですが、キモノヤーンの玉を見せたら「可愛い!」「飾りたい!」と言っていて、若い子たちの感覚は私にはないもので楽しかったです。
そこから雑誌で着物の特集をしているのを見つけたら、見てくれているみたいで。着物は自分には縁のない世界だと思っていたみたいなんですけど、バッグをきっかけに興味を持つようになったみたいです。

(後半へつづく)

山田恵美
Instagram
アカウント:emi_y0410
ショップ名:苺いち絵
WEB
ショップ:苺いち絵

山田恵美さん
(富山県)


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