見出し画像

着物生活28年目の告白!

僕は、平成5年の夏にファッションの都・パリで「きもの宣言」をした。
現代社会の中で洋服が一枚もない生活とは、人体実験か?
呉服店の店主と言え、奇想天外な試みとやゆされる。
禁酒、ダイエットなど、一度決めてもなかなか続かない。
しかし、この着物宣言だけは28年も続いている。

それなのに、大きな声で言えないことがある。
「未だに、ボクの着物の寸法が合わない!」
1ヶ月前に作った木綿の長じゅばんと、20年程前に作った芝崎重一の着物の裄(手の長さ)が違う。着物よりも、長じゅばんの方が長さが長いのだ。
着物を着ていると、着物の下のじゅばんの方が出てくるのでとても気になる。
「粋、いなせ」をモットーとする男の着物姿とは相反する。
まさにスーツをビシッと着こなして歩く後姿から、白いシャツが出ているような感じである。

しかし、考えてみるとその理由が発見できた。
20年前の寸法と比べると、手の長さ(裄ゆき)の寸法を2㎝ほど長くしていることに気づいた。
出藍の誉れか。「きもの宣言」という本を出版したこともあり、正直、僕の着こなしを参考にされたり、僕に感化されて着物生活を楽しんでいる人も多く見受けられる。業界人もそうだ。
それなのに、未だに寸法が合わないボクがいる!
冗談にもならないが、事実である。
ついに、カミングアウトしてしまった。

カミさんもスタッフも、楽しそうにゲラゲラ笑っている。
それだけ、マイサイズの寸法は探求の余地があるということか。
イヤ、そんなことはない。
生地により収縮の違いも多少あるが、ただ統一していないだけだ。
言い訳がましくなったので、今日はこのあたりにしよう。
その応急処置の方法はまた、お話させていただきたい。
このことは、YouTubeで語る方が簡単で分かりやすい気がしている。


改めまして…。僕は創業105年になる着物専門店の3代目であり、洋服を捨て28年目を迎える。その間、着物を着らない日は1日もないので、計算してみると10000日連続の着物愛用歴である。昔はそれが当たり前だが、今ならギネスに挑戦できるかもしれない。
そのように、この道一筋のパワフルな肩書きはある。

しかし、いつになったら、マイサイズの着やすい着物と出会えるのだろう。
寸法のことは、ゆり女将担当だ。
お客様第一主義なので、ボクのことは後回しになるらしい。
永遠のテーマになりかねないようだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?