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着流し・姿・羽織袴、男着物あれこれ

男性の着物姿の呼び名に、「着流し」とある。
着物のことを「長着」とも言うが、それだけを着た姿のことを「着流し」という。
誰が言い出したのだろうか。
まことに、風流である。

「たまや〜!!」
夏の風物詩・花火大会の掛け声が聞こえてくる。
真っ先に、浴衣姿が浮かんできた。


1)「着流し」とは・・・?

着流し」とは、羽織や袴を付けずに着物と帯を締めただけの姿のことだ。
最もカジュアルな着物姿が「着流し」である。
浴衣姿の着流しは、洋服で言えばジーンズにTシャツのイメージだろう。
同じ着流しでも素材がシルクになると、白いシャツ、そしてネクタイ姿にスラックス姿のイメージとなる。
素材が違うだけで格が上がるとは、不思議な気がする。
おなじみの笑点の師匠さんたちが、まさにその姿だ。
落語の世界では、羽織を着て高座に上がり、ネタの途中で羽織を脱ぐことが多い。
以前の笑点ではそうやっていたような記憶があるが、さだかではない。


2)「着流し」➕「袴(はかま)」をはく。

「着流し」に「袴(はかま)」をつける。
すると、ネクタイを締めているがスリーピースの上着を脱いでいる状態へと進化する。
そのようなイメージが僕にはある。
その姿は、茶道やお能の世界などでは、最もポピュラーな姿だ。
茶道のお師匠さんは、裏千家では「十徳」といって紗の羽織を着るので袴を着用することは稀である。
もちろん袴にも格式があるが、それは別途お話させていただく。

3)「着流し」➕「羽織はおり」をきる。
着物を着ることを、一般的に羽織る(はおる)とも言ったりする。
上に重ねて着るから「羽織る」と言う言葉が生まれたのだろう。
さて、「着流し姿」の上に羽織を着る姿も、一昔前まではよく見かけた。
お正月の男性の「着物」を思い出して欲しい。
家族揃って、賑々しく神社参り!初詣の時の装いがまさにそうだ。
マフラーしている人に加え、コートを羽織っている人も見かけた。

僕も良くこの格好をすることが多い。
お正月明けは恥ずかしい思いもした。
ゆえに、同色での着物・羽織は着なくなった。
代わりに、オリジナルの「923羽織」というのを着る機会が多い。
こちらは近いうちに、話す機会をもうけたい。


4)「着流し」➕「袴」➕「羽織」を着る
着流しに袴をはき、そして羽織をまとうと「羽織袴姿」の誕生だ。
男性の第一礼装となる。
まさに、結婚式や成人式などで着る「羽織袴姿」だ。
中でも「黒色」が格式が高く、「黒紋付羽織袴姿」となると最高のお召し物である。

しかし僕の今は、黒紋付羽織袴姿は結婚式でも遠慮気味だ。
葬儀の時も、黒紋付(5ッ紋)だとぎょうぎょうしく感じる。
特別な会であれば、色紋付(笑点の師匠)に羽織、袴姿で参列することもある。現代社会、着物は目立つのが当たり前だが、目立ちすぎないことを旨としている。

僕は、着流しがベースとなり、袴をはいたり羽織を着たりしていることを始めて言語化した。
「筆を進めるうちに、季節の移り変わリもあるが、相手に敬意を表してきた日本人がいるからだろう。」と思えるようになった。
次の機会では、「着物と敬意」と言うテーマにもチャレンジしたい。


追伸:この写真は、20数年である。お能の発表会だ。袴姿なので、長男長女はお仕舞いをした。僕は、地謡( じうたい)と言って、子どもの後ろで謡をした。懐かしい思い出が蘇ってきた。

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