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着物の「おはしょり」は、一石二鳥の調整場所であり、続可能なSDGsの世界!

着物の「おはしょり」とは?

「おはしょり」とは、女性の着物で、着丈より長い部分を腰の辺りでひもで締め、たくし上げること。その着物を折り曲げた部分のこと。それは、明治時代中期に生まれたもよう。それまでは男性の着物と一緒で「おはしょり」をせず、「対丈(ついたけ)」で、裾を引きながら着る時代だったようです。

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より

おはしょりは、女性用の長着において、腰のあたりで布を折り上げ帯の下側に折り山を出してちょうど良い丈にする着方、またその折り畳んだ部分のこと。「お端折」とも表記する。「端折る(はしょる)」という動詞は、この意味から転じて「話をかいつまんで手短にする」という意味を持つようになった。
現代では、おはしょりの幅(帯の下端からおはしょりの下端までの長さ)は2寸ほど(人差し指の長さほど)、下端は水平にまっすぐ、平らにシワなく作るのが良いとされている。おはしょりを作らない着方は「対丈(ついたけ、つったけ)」という。

なぜ、そのような着付けに手間がいる「おはしょり」が生まれ、現代にまで続いているのか?
一見、無駄で着付けのネックにさえなっている「おはしょり」のようですが、その素晴らしさ・魅力をご一緒に考えてみませんか。

秘密の調整場所は、「おはしょり」

着物を着る上で、面倒で、始末に困って、着崩れの原因となるのが「おはしょり」です。しかし実は、着物を着る上で、大事な「秘密の調整場所」となっているのをご存知ですか?

着物をそのままの長さの「対丈」で着ると、長かったり、時には短かったりしてとても着にくいですよね。そんな時、「腰ひも=腰ベルト」で「おはしょり」を作れば大丈夫です。「みぞうち近くの上の方に結ぶか、おヘソ辺りに結ぶか?」たったそれだけ。自由に調節でき、長すぎの着物が、何ごとも無かったように着ることができます。

そのように、腰ひもの締める場所一つで、「着丈(きたけ)」という着る長さは変幻自在になります。つまり、「おはしょり」が、長さを調整してくれるのです。

例えば、「雨の日ならば裾(すそ)が汚れにくいように少し短めに着る」とか、「今日は畳の上で茶道のお稽古だから、くるぶしの下ぐらいで『裾線』を合わせよう!」とか、天気・気候、着る場所などで、着丈を変えることができる優れものが、実は「おはしょり」なのです。

今から始まる着物シーンを予測して着ることができるなんて、自分にも優しく、着物にも優しく、そして、周りに優しい、小さなSDGsだと思いませんか。誰にも知られず見られることもない、自分だけの「秘密の調整場所」、「おはしょり」。
もっと愛して、美しく着物を楽しみませんか?!


一石二鳥の「おはしょり」

「一石二鳥」という四字熟語があります。その意味は「一度の行動で二つの利益を得ること。または、一度の行動で、同時に二つの目的を達成すること。」と記されています。
まさに、「おはしょり」こそが「一石二鳥」であると思います。

「おはしょり」の場所は、ちょうどおへそのあたり。中心部に存在します。つまり、上にある衿と、下にある裾とをバランスよく整えてくれているのが「おはしょり」でもあるのです。

上の衿の部分ですが、「おはしょり」のところに遊びがあるので、衿を狭くしたり、広くしたり、比較的自由に調整ができます。一方、下の方の裾に関しては、美しく見せるために「裾すぼまり」という逆三角形に仕上げるのですが、「おはしょり」のところにゆとりがあるので、下半身の部分のみの調整が可能です。

衿と裾の中和剤こそが「おはしょり」でもあり、その衿の美しさや裾の美しさを最大限に引き出してくれるのが「おはしょり」でもあるのです。


おはしょりも、持続可能なSDGs!

お母様やお姉様の着物、従姉妹や知り合いの方の着物を、サイズを変更することなく、自分の着物として着ることができるのは、おはしょりのおかげ。自分でできるサイズの調整役が、なんと「おはしょり」という部分であり機能なのです。

きものは長年着ていると、裾(八掛)がすり切れてしまうことがあります。そんなときにも、洗い張りをして仕立て直せば、また着ることができます。おはしょりに、普段使わない着物の布地を入れ込んでいるからです。そのこと自体、とても便利な日本人の知恵とも言えます。

言い換えれば、おはしょりは、「ゆずる」「もったいない精神」を持っている日本人の心でもあるのです。現代用語で言えば、持続可能なSDGsであるとも言うことができます。


「知恵の美」と「調和の美」=「おはしょり」

やっかいな「おはしょり」。「これさえなかったら着付けも簡単なのに!」という声がある一方、もっと着物の声に耳を傾けて聞こえてきたのは、こんな声でした。
「おはしょりは、着姿を美しくしてくれる」・・・と。

「おはしょり」は、「着物の調整場所であり、持続可能なSDGsでもあります。」そして、「一石二鳥の世界観の中で、私の着姿を美しくしてくれる、最高のパートナーでもあります」。

見せる美しさが「衿元」とすれば、さりげない美しさが「おはしょり」ともいえるでしょう。これからのキーワードは「おはしょり美人?」
「おはしょり」には、たくさんの「知恵の美」と「調和の美」が詰まってそうです。

これから、さりげなく、より美しく装う…「おはしょり美人」の時代がやってきそうです。今日から私も。。。
ブームのさきがけ人として、着物をより楽しんでみませんか?


「おはしょり美人!?」動画のすすめ

美しい着姿にご興味の方は、下記の「わのくに式スマート着付け動画」をご覧ください。今回のテーマは、『今日から私も、おはしょり美人』です。
ぜひ、クリックしてご覧ください♪

このnoteにお付き合いくださり、誠にありがとうございます!
今日は、専門的な着物のことだったかと思いますが、いかがだったでしょうか?

着物のことで、興味関心や、疑問に思うこと、お尋ねになりたいことなどございましたら、お気軽にご相談ください。

きものサロン和の國 代表 茨木國夫
090−3600−9495

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