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光の雨と黒い太陽

久々の学校のレポートのやつ。

授業内で観た『光の雨』という映画のあるシーンが、『仮面ライダーBLACKSUN』のあるシーンと非常によく似てると思い書いてみますた。

それではどーぞ↓↓↓


 今回の授業を踏まえて気づいたことがある。最近配信されたあるドラマの1シーンが、今作のあるシーンと非常に酷似していたのだ。そのドラマとは、現在Amazon Primeで配信されている『仮面ライダーBLACKSUN』だ。

 「仮面ライダーとこの作品に何の関係があるんだ」と思うかもしれないが、まぁ聞いて欲しい。そのシーンとは、連合赤軍のメンバーの一人が死刑宣告され、他のメンバー全員からアイスピックで滅多刺しにされ殺害されるシーンだ。何とも痛々しいシーンではあるが、そういった場面が『仮面ライダーBLACKSUN』でも登場する。敵の組織である「ゴルゴム」の幹部の一人(バラオム)が、他のメンバーたちによって刺し殺されるというシーンだ。

 この二つのシーン、一見類似しているのは状況のみのように思われるが、私はそれ以外にも共通点があると考えた。それは「リーダーへの絶対的服従」という点だ。どちらのシーンにも必ず「絶対的な支配権を持つリーダー」が存在し、他のメンバーは否応なくリーダーの命令に従わなければならない。反抗すれば、その先に待つのは「死」のみ。

 そのリーダーとは、『光の雨』では言わずもがな「永田洋子」「坂口弘」、『仮面ライダーBLACKSUN』では主人公の親友にして宿敵「シャドームーン」のことを指す。

 永田洋子と坂口弘。狂気的な教育・思想で連合赤軍をまとめ上げ、そしてメンバーの大半を死に至らしめた狂人たちだ。だがその心の奥底には「今の日本を根本から変える」という誰にも敵わないような強い意志が宿っており、手段は間違っていれど彼らの想いはまさに本物だ。

 一方、シャドームーンもまた「創世王」なる称号を携え、世から迫害され続けた怪人たちを救うためにゴルゴムを一瞬でまとめ上げた人物だ。だが彼も、怪人たちとの共存という道を選ばず「人類の殲滅」という強行手段に打って出た、ある種狂気的とも言える人物だ。しかしその想いは間違いなく本物。その姿はまさに「悪のカリスマ」だ。

 と、二人とも非常によく似た「リーダー」的存在であるということにお分かり頂けただろうか。目的を遂行するための強い意志を持ち、そのカリスマ性と恐怖を以て他者を支配し、もし離反すれば即座に排除する。故に他のメンバーは有無を言わず従わなければならない。

 話は戻り、刃物で滅多刺しにして離反者を刺し殺すシーン。どちらの作品においても、リーダーはメンバーの恐怖心を巧みに操り、殺害を命じている。更にこの時、リーダーが初めて命令した時は誰も動かず、やがて徐々に賛同者が増えエスカレートしていく、という共通点も存在する。

 このように共通する部分が多い二人だが、その一方で決定的に異なる点も存在する。一度、客観的に二人の過去や境遇、思想の原点を辿った時に「あ、だからこんなのになっちゃったんだ」と共感できる部分が多いのは圧倒的にシャドームーンなのである。

 ここでは詳細は省くが、彼の過去を振り返ってみると中々に悲惨であることが分かる。ドラマ本編でも、彼に限らず怪人たちはあまりにも理不尽な仕打ちを受けており、それ故に「共存なんて無駄だ、人類は滅ぼしてしまおう」という考えに行き着くのも頷けてしまう。

 連合赤軍の二人も、もちろん彼らにも思う所があってこういった残虐な行為に走ったのだろう。だがその動機は、実に12人以上の命を奪ったにしてはあまりにも軽薄だ。それに彼らも、他のメンバーから「総括」され命を落とすことを恐れていたというのだから、どうも覚悟しきれていないのではと疑問に思ってしまう。

 本文で取り上げた例のシーンは、実に痛々しい場面ではあるものの両作品において「他者を恐怖で支配するリーダー像を見せる」という意図においては重要なシーンなのではないかと思う。だが実際は、抱え込んでいることの深刻さも、その覚悟の重みも全く異なる、いわゆる「似て非なるもの」であるというのも実に興味深い。

 ところで余談だが、『仮面ライダーBLACKSUN』の最終回では実際の連合赤軍のような革命組織が結成され、そこではヒロインの女の子「葵」がリーダーとしてチームを統率している。その女の子は最初は純粋で良い子だったのが、物語の中で怪人にされるなどして、やがて「戦う」ことを余儀なくされるのだ。その表情には、序盤で見せていたような優しさは無い。

 もし彼女が、永田洋子や坂口弘のような、圧倒的恐怖で他者を支配するような人物になったら...?「正義」「悪」、どちらの存在になるのだろうか。

「悪とは、何だ。悪とは、誰だ。」

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