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映画#6『TENET テネット』

「劇場で1番観て良かったと思う映画は何か」と聞かれたら、私は間違いなくこう答える。『TENET』と。

https://youtu.be/NGae7WPNhb0

難解故に癖になる、「逆行」の世界

この映画の最大の特徴、それは「時間の逆行」である。引き金を引いたら戻ってくる弾丸、反対方向へと進む車。全てが真反対であるが故にタイムリープも可能であり、主人公である「名も無き男」(ジョン・デヴィッド・ワシントン)は「TENET」と呼ばれる組織にスカウトされ、非現実的な世界に足を踏み入れる。

劇中通して「逆行」が用いられたシーンが多々存在するが、それ故にストーリーはかなり難解だ。かくいう私もIMAXとAmazon primeで2回鑑賞したが、ストーリーを完全に理解できたかと言われればあまり自信がないのが事実である。
しかしこの「逆行」を取り入れた映像表現は非常に興味深い。クリストファー・ノーラン監督曰く、逆行する人間・車などは「逆戻し」せず、役者に本当に逆行しているかのような演技をさせたという。また、劇中飛行機を空港にぶつけ爆破させるシーンも、CGなどは使わず実際にぶつけて爆破させて撮影に臨んだという。さすがは鬼才と呼ばれるクリストファー・ノーラン監督であると言わざるを得ない。

練りに練られた精密な脚本

クリストファー・ノーラン監督作品の脚本の精密さには度々驚かされてばかりである。『インターステラー』では壮大でハードなSFの果てに父と娘の固く結ばれた絆を描き、『ダークナイト』では正義と悪とは何か、バットマンとジョーカーという真反対の存在とも言える二人の駆け引きにてその定義を問いた。
そして今作は、「名も無き男」とロバート・パティンソン演じる「ニール」の絆を時間の逆行を絡めた上で描いていた。
「直進」と「逆行」の二つの世界線が同時に存在できる今作は、冒頭のオペラハウスでのシーンとラストの「スタルスク12」でのシーンは同時に進行しており、「名も無き男」はそのどちらにも存在しており、そしてどちらもニールに助けられている。
最後、ニールは名も無き男に向かい「未来の君に雇われた」と言い放つ。TENETという組織は、他の誰でもなく「名も無き男」によって作られたものだったのだ。

総評

ここまでつらつらと感想を書き連ねてきたが、冒頭で述べたように私はこの映画を完璧に理解していない。ほぼ指が動くままに文字を打ったと断言してもいい。
とにかくわかるのは、難解な設定を絡め、そして最後は主人公と相棒の「素晴らしき友情」で締めた今作は「最高にクール」であるということ。主題歌のTravis Scott『The Plan』は特に痺れた。IMAXの劇場でこの映画を観れたことは、個人的に人生の財産に値すると思っている。
ノーランの次回作にあたる『オッペンハイマー』も非常に楽しみである。

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