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5ちゃんコピペの反応に貧困化を実感

一人当たりのGDPでみると、
2000年の時点で、日本はG7の中で最も裕福な国でした。
しかし2023年の調査では日本はG7の中で最も貧しい国になりました。

そういえば100円ショップが混雑していて、テレビでは節約特集が当たり前のように組まれています。
あまり景気のいい話も聞きません。
街からも活気が失われているような気がしますよね。

ところで、白木屋コピペをご存じでしょうか?
コピペとは5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)に投稿され、多数のスレッドにもコピー&ペーストされるようになった文章のことを言います。
初出は2005年以前とされます。今から20年前ですね。
コピペ全文はこんな感じです。

なあ、お前と飲むときはいつも白木屋だな。
一番最初、お前と飲んだときからそうだったよな。
俺が貧乏浪人生で、お前が月20万稼ぐフリーターだったとき、
おごってもらったのが白木屋だったな。
「俺は、毎晩こういうところで飲み歩いてるぜ。
金が余ってしょーがねーから」
お前はそういって笑ってたっけな。
俺が大学出て入社して初任給22万だったとき、
お前は月30万稼ぐんだって胸を張っていたよな。
「毎晩残業で休みもないけど、金がすごいんだ」
「バイトの後輩どもにこうして奢ってやって、言うこと聞かせるんだ」
「社長の息子も、バイトまとめている俺に頭上がらないんだぜ」
そういうことを目を輝かせて語っていたのも、白木屋だったな。
あれから十年たって今、こうして、たまにお前と飲むときも
やっぱり白木屋だ。
ここ何年か、こういう安い居酒屋に行くのはお前と一緒のときだけだ。
別に安い店が悪いというわけじゃないが、
ここの酒は色付の汚水みたいなもんだ。
油の悪い、不衛生な料理は、毒を食っているような気がしてならない。
なあ、別に女が居る店でなくたっていい。
もう少し金を出せば、こんな残飯でなくって、本物の酒と食べ物
を出す店をいくらでも知っているはずの年齢じゃないのか、俺たちは?

でも、今のお前を見ると、
お前がポケットから取り出すくしゃくしゃの千円札三枚を見ると、
俺はどうしても「もっといい店行こうぜ」って言えなくなるんだ。
お前が前のバイトクビになったの聞いたよ。お前が体壊したのも知ってたよ。
新しく入ったバイト先で、一回りも歳の違う、
20代の若いフリーターの中に混じって、 使えない粗大ゴミ扱いされて、
それでも必死に卑屈になってバイト続けているのもわかってる。
だけど、もういいだろ。
十年前と同じ白木屋で、十年前と同じ、努力もしない夢を語らないでくれ。
そんなのは、隣の席で浮かれているガキどもだけに許されるなぐさめなんだよ

5ちゃんねる

コピペの内容としては、非正規雇用で働き続ける友人と自分の対比。
若いころの非正規はよかったけども結局は正規雇用で働くほうが良いし、
白木屋レベルの店に飲みに行くのは非正規雇用の友人とだけになってしまった。
というものです。

当時は非正規雇用や派遣という業態で働く人が増え、正規雇用との格差が問題になりつつありました。
『勝ち組』『負け組』なんて言葉がよく使われるようになったのもこの頃のような気がしますね。
そういえば、当時は5ちゃんではなく、2ちゃんでしたね。

それから時は流れ、あるまとめサイトで久々に白木屋コピペを見かけました。
読みながらなんだか懐かしい気持ちになりましたね。
ところがこのコピペに寄せられた反応に驚きました。

・白木屋でも飲めればいいじゃん。
・居酒屋で友達と飲めるだけで幸せじゃん。
・最近は白木屋も高いのに

このようなレスがついていたのです。
少し固まってしまいました。
どうやら20年ほどの時の流れが、コピペの受け取り方を変えてしまったようです。

『いい歳の男性二人が白木屋というチェーン店で酒を飲むという行為』の受け取り方が

2000年ごろは
・なんだかみっともない
・年齢に見合ってない場所に行くな
・そんな安いところで飲むなよ

から

・飲めるだけで幸せじゃん
・一緒に行く友達がいるだけマシ
・居酒屋で飲めるだけで贅沢だろ

に変わっているのです。

最近の書き込みをした人がどんな人物なのかはもちろんわかりませんが、
白木屋コピペを知らない若年層だったと思います。

ここ四半世紀で、チェーン店の居酒屋が『安っぽくて、ある程度の年齢では行くのが恥ずかしい場所』から『飲みに行けるだけでうれしい場所』に変化したことに、貧困化を感じずにはいられませんでした。

追記

私は40のおっさんですが、白木屋行くなら喜んでホイホイ行ってしまいます。
お酒は飲まなくなったんですが、居酒屋メニュー好きなんですよね。
それにチェーン店はお金を気にせず注文できるので、ありがたいです。
変に高いところだとお会計のことを気にしてあまりゆったりできないんですよね、それに何を飲むかより誰と飲むかだと思います。
しかも友人と行くときは、酒を飲まないから送り迎えもできるので奢ってもらえることが多いです。