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サーチファンド:経験と学びの記録

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2014年に日本で初めてのサーチファンドを目指し、中小企業の買収から経営を実現した経験の記録です
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記事一覧

サーチファンド#09:日本でのサーチファンド浸透のために

サーチファンドの概要はこちら アメリカでのサーチファンドのエコシステム私がサーチファンド活動を行った2014年、「サーチファンドというものがありまして・・・」から説明しないといけない日本で、投資家からのコミットを得るのは難しかった。 一方、30年以上サーチファンドの歴史のあるアメリカでは、サーチファンドに投資をするファンドというのが多数存在する。例えば、 SearchFundPartners: https://searchfunds.net/ Relay Investme

サーチファンド#01:個人が中小企業をM&Aする新しいアントレプレナーシップのかたち

年に数回、「サーチファンドについて聞かせてください」という問い合わせがくる。 知人からの紹介もあれば、全く知らない方からの突撃も。 多くが日本人だが、たまに外国籍の人。MBA在籍中もしくは卒業生が多い。 私がサーチファンド活動をしたのは2014年。 おそらくサーチファンドという名前を掲げて活動したのは日本初だったと思う。 試行錯誤しながら、結果的に良い企業と投資家にめぐりあうことができ、企業買収と企業価値向上を実現することができた。 当時から4年以上たった今でも日本ではあ

サーチファンド#02:サーチファンドのはじまりと成功事例

サーチファンドの概要についてはこちら サーチファンドのはじまり最初のサーチファンドが生まれたのは1984年。 スタンフォード ビジネススクールのH. Irving Grousbeck教授は、若き経営者候補が中小企業を買収するための新しいM&Aファンドのコンセプトを具体化する。 投資家から大きな買収資金を獲得する前に、先に買収先企業を探してくるというコンセプトは「サーチファンド」と呼ばれ、1984年の誕生以降1-2件/年のペースで新しいサーチファンドが組成されていった。

サーチファンド#03:データでみるサーチファンドの広がり、実績、リターン

サーチファンドの概要についてはこちら サーチファンドの広がり1984年の最初のサーチファンドの後、アメリカを中心に約150本のサーチファンドが組成されている(※2014年調べ。その後も伸びは加速しているらしい)。 組成されたサーチファンドは、いったいどのくらいの確率で企業買収に成功したのだろうか。また、買収対象となった中小企業はどのくらいの規模で、投資後はどのくらいのリターンが実現されたのだろうか。 初回に説明したように、サーチファンドの組成とは当面のサーチ活動の資金がコ

サーチファンド#04:サーチファンドに必要なバックグラウンド、スキル

サーチファンドの概要はこちら 「サーチファンドをやりたいのだけど、どんな経験やスキルが必要ですか?」 私への相談でよく聞かれる質問の一つである。 サーチファンドの世界で活躍しているサーチャーは、主にMBA後の若手ビジネスマンが多いようだが、彼らはどのようなバックグラウンドで、どのようなスキルを持ってサーチファンドの世界に飛び込んでいるのだろう。 アメリカのサーチャーのバックグラウンドアメリカのサーチファンドの歴史における、サーチャーのバックグラウンドを見てみよう。 2

サーチファンド#05:私の経験(1/4) -きっかけ、投資家まわり

サーチファンドの概要についてはこちら 私がサーチファンドというものを知り、サーチ活動開始から、投資実行までを行ったのは2014年。2014年の末に、株式会社ヨギー(旧社名㈱ロハスインターナショナル)に投資をし、約4年ハンズオンで経営をリードした。 私がどのようにサーチファンドを知り、投資家や投資対象企業を探し、投資実現に至ったのか。またその後の経営における経験をサーチファンドという視点から整理する。 サーチファンドに出会うまでサーチファンドを始める前、そもそもの私のキャ

サーチファンド#06:私の経験(2/4) -投資先企業探し

サーチファンドの概要についてはこちら 投資先企業探し(ソーシング)投資家まわり(※こちら)と並行して行っていた、買収対象企業のサーチ、いわゆるソーシングについて。 ソーシングは、どのPEファンドでも苦労しているプロセスである。証券会社や銀行からの紹介、経済界に顔の利くアドバイザーから紹介、オークションへの参加、こちらから提案を持っていく積極営業・・・など、各ファンドがいろいろなアプローチをとっているが、未だにこのやり方が正解というものはないと思う。 毎年一件投資できれば及

サーチファンド#07:私の経験(3/4) -ファンド設立・運用の実務と意味

サーチファンドの概要についてはこちら 投資ビークルとしてのハコ投資家まわりと案件探しに加えもう一つ、目立たないが非常に面倒であり、また重要だった業務は、ファンド組成・運営にあたってのハコづくり、金融庁への届け出、出資契約などの実務である。 そもそも、お金を集めて投資をするのに、どういうハコを用意すればよいのか?組合を作る必要があるのか?株式会社ではだめなのか?合同会社は? 一般的に日本で投資ファンドを運営する場合、出資者の権利や義務、税務上の理由、法人格の有無などの理由

サーチファンド#08:私の経験(4/4) -ヨギーとの出会い、投資実行、経営

サーチファンドの概要はこちら 谷家さんとの出会い投資家まわりと案件探しを並行して行っていた2014年夏、谷家衛氏にサーチファンドの提案に伺った。 谷家さんは、投資家として著名なだけでなく様々な社会活動の仕掛人としても活躍している。彼が手掛けた有名な活動としては、ライフネット生命、お金のデザイン(ロボアドバイザー THEO)、インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢(ISAK)、HumanRightsWatch、CampFireなど多岐にわたる。 以前から谷家さんと