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「ジブリ作品」と「宮﨑作品」の違い

 2024年4月18日、スタジオジブリがカンヌ国際映画祭の名誉パルムドールを受賞しました。個人ではなく、団体にこの賞が送られたのは初めてのことであり、またもや快挙を達成しました。

 スタジオジブリが生み出した作品たちは、俗に「ジブリ作品」や「宮﨑作品」と呼ばれることがあります。ほとんど同じ意味を持つ2つの呼び名ですが、その細かな違いについて整理したいと思います。
 なお、話が煩雑になることを防ぐため、ここでは長編アニメーション作品のみを対象として扱います。

スタジオジブリの始まりは?

 スタジオジブリが設立されたのは1985年、宮﨑駿監督が44歳の時でした。前年の1984年に公開された『風の谷のナウシカ』が大ヒットしたことが、スタジオ設立のきっかけとなりました。
 『風の谷のナウシカ』は「トップクラフト」というスタジオで制作されており、厳密にはスタジオジブリが制作した作品ではありません。しかし、『ナウシカ』はジブリ作品として扱われることが圧倒的に多く、そのことに違和感を持つ人もほとんどいません。

宮﨑作品とは

 「宮﨑作品」とは、宮﨑駿が監督を務めた作品を指します。『ルパン三世 カリオストロの城』はスタジオジブリ設立以前の1979年に公開されていますが、監督が宮﨑駿であるため「宮﨑作品」であると言えます。
 長編アニメーション作品に限れば、「ジブリ作品」ではない「宮﨑作品」は、この『カリオストロの城』だけです。

 「ジブリ作品」かつ「宮﨑作品」であるのは、以下の11本の作品です。

1984年 『風の谷のナウシカ』
1986年 『天空の城ラピュタ』
1988年 『となりのトトロ』
1989年 『魔女の宅急便』
1992年 『紅の豚』
1997年 『もののけ姫』
2001年 『千と千尋の神隠し』
2004年 『ハウルの動く城』
2008年 『崖の上のポニョ』
2013年 『風立ちぬ』
2023年 『君たちはどう生きるか』

「宮﨑作品」ではない「ジブリ作品」

 「ジブリ作品」の中には、宮﨑駿監督作品ではないものがいくつも存在しています。

1989年 『火垂るの墓』
     監督 高畑勲
1991年 『おもひでぽろぽろ』
     
監督 高畑勲  プロデューサー 宮﨑駿
1994年 『平成狸合戦ぽんぽこ』
     監督 高畑勲  企画 宮崎駿
1995年 『耳をすませば』
     監督 近藤喜文  制作プロデューサー・脚本・絵コンテ 宮﨑駿
2000年 『ホーホケキョ となりの山田くん』
     監督 高畑勲
2002年 『猫の恩返し』
     監督 森田宏幸  企画 宮﨑駿
2006年 『ゲド戦記』
     監督 宮崎吾朗  原案 宮﨑駿
2010年 『借り暮らしのアリエッティティ』
     監督 米林宏昌  企画・脚本 宮﨑駿
2011年 『コクリコ坂から』
     監督 宮崎吾朗  企画・脚本 宮﨑駿
2013年 『かぐや姫の物語』
     監督 高畑勲
2014年 『思い出のマーニー』
     監督 米林宏昌
2016年 『レッドタートル ある島の物語』
     監督 マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット
2020年 『アーヤと魔女』
     監督 宮崎吾朗  企画 宮﨑駿

 監督は様々ですが、宮﨑監督があらゆる形で作品に携わっていることがよくわかります。


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