自己紹介の乗り切り方:アルミホイルになろうとする

「それでは自己紹介してください」
順繰りに端から、あるいは輪になった人たちの中の誰かが、周りを伺いながら口を開きます。

仕草、立ち居振る舞い、目線、声の大きさ、姿勢、話す速度、言葉の選び方など、内容以外の全てがその人物を紹介していきます。
人物が炙り出されるあの時間。

聞き手もまた、人となりを炙り出されていきます。

話し手と同じくです。
仕草や立ち居振る舞いなどなどなら、興味を持って聞いているか、優しく見守っているかどうか、値踏みしていないかどうか、上の空でないかどうか、これから先にどんな人当たりであるかどうか。

それぞれの印象が滲み出てきます。

お分かりかと思いますが、私は自己紹介はできれば回避したい類の人間です。

そんな時、昔読んだアンディ・ウォーホルの言葉を思い出すようにしています。
といってもどこで目にしたかも忘れてしまいました。
内容もうろ覚えなのですが、

  • 僕はアルミホイルだ

  • 周りを映す

  • 自分は無い

のようなそんなキーワードだったと思います。曖昧で申し訳ないかぎりです。

先に、

昔読んだアンディ・ウォーホルの言葉を思い出すようにしています

と書きましたが、本当ではないですね。
「はい、自己紹介してください」
という声を耳にしたら、自分がアルミホイルで出来た空気人形になったところを想像します。

周りの人達が自分を覗き込んでいて、それぞれの目の中に映っている私。
それを喋ろうと心掛けています。

「早く喋り終わってほしい」
「この人は、さっき自分が喋ったことを聞いてたな。だってあの言葉に反応していま喋っているもの」

そんな調子です。アルミホイルなので、歪んで見えているのでしょう。その歪みがきっと私の人となりなんだと信じて、何とか自己紹介を乗り切ります。


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