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君羅文庫

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毎日一冊の本を紹介するマガジン「君羅文庫」 その日読んだ本の中から記憶に残る一文を書き出して感じたことを綴ります。
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#おすすめ本

医療栄養学科に入ったら読みたい! 君羅文庫50選

はじめに新型コロナウイルス感染拡大により、4月からの大学での授業が実施できるか不透明になっていた2020年3月9日。 大学での授業が受けられなくなってしまうかもしれない医療栄養学科新入生や在校生たちに向けて、家にいる時間でも好奇心を失わず、学び続けてほしい、自分の世界を広げてほしいと想い立ち、君羅の心動いた本を紹介する #君羅文庫 を始めました。 医療栄養学科での学びに役立つ本やただただ笑える本に泣ける本など、さまざまな本をTwitter、Instagram、Facebo

内田百閒『御馳走帖』

好きな和菓子は?と聞かれれば「すあま」と答える。 先日、仕事を早く終わらせた帰りに駅前の和菓子屋で団子でも買って帰ろうとすると「すあま」が並んでいた。 団子とは一線を画すフォルムに一際目を引くピンク色。 食べれば上新粉のもちもちとした食感に、ふんわりとした甘さが優しく感じる。 すあまとの久しぶりの再会を喜び、家族用の団子とは別に、自分用に一つすあまを買って帰った。 すあまとの出会いは、祖母が買ってきてくれたお土産だったろうと思う。 緑茶が大好きな祖母は、お供となる

僕たちは、あの夏「主人公」になれなかった。

#君羅文庫 『風が強く吹いている』 三浦 しをん 著 僕たちは、あの夏「主人公」になれなかった。 大学4年の夏、僕が所属する体操競技部は、1部残留をかけて全日本インカレを戦っていた。 大学スポーツの場に身を置くと、スポーツ漫画を読んだ時の「主人公になる感覚」を味わうことがある。 『スラムダンク』の山王工業戦を戦う湘北高校のメンバーになったような、「僕らは主人公、最後には良い結果が待つ」という「希望」を感じながら競い合う。 しかし、その夏の試合中に感じた「希望」は叶わず