僕たちは、あの夏「主人公」になれなかった。
#君羅文庫
『風が強く吹いている』
三浦 しをん 著
僕たちは、あの夏「主人公」になれなかった。
大学4年の夏、僕が所属する体操競技部は、1部残留をかけて全日本インカレを戦っていた。
大学スポーツの場に身を置くと、スポーツ漫画を読んだ時の「主人公になる感覚」を味わうことがある。
『スラムダンク』の山王工業戦を戦う湘北高校のメンバーになったような、「僕らは主人公、最後には良い結果が待つ」という「希望」を感じながら競い合う。
しかし、その夏の試合中に感じた「希望」は叶わず