存在しない「フェミニズム入門」
※個人の感想と意見です。
ここしばらく「フェミニズム入門」というものがない、という話を見かけるんですが、私がフェミニズムという言葉を知って30数年になります。ウィメンズリブよりはあとになります。
それだけ経つのに本屋さんやネット上に「これさえ読めばあなたも今日からフェミニスト!」て本がない。マルクス主義だとマルクスさんの本があるでー、資本主義なら資本論とかあるでーと社会の授業でも習った気がする。
しかしフェミニズムにはそういうのがない。
フェミニズムとはなにか?て本や論議は昔からあった気がするけども、フェミニズムとはこうである!てのはない。
なにか?ってさんざん語っといて結局批判とか揶揄で本体がわかんねえ!!ってこともある。お前に都合の悪いものの考え方と行動をフェミニズムと名付けただけか!?みたいなのばっかでは、じゃあフェミニズムって一体何なの…となる(私は底意地が悪いので逆算してその人の嫌がりそうなことをしたらフェミニズムになるねんなへーほーふーんてやりがちですけども)
揶揄気味に偽フェミだのそれに対して存在しないような真のフェミとかいい出す人が出て、その人は明らかにフェミニズムを理解してるような言動はしていない、みたいな現象をよく見かけて、イラっとするのに「そういうのは違う」と反論できないし、これを読んで学んでこい!と言えるようなものがない、何より自分が胸を張ってフェミニズムをしっかり分かってると言いにくい、足がかりがない。でもこれはフェミニズムというものに該当すると折に触れて確信してしまう何かが自分の中にはある、という状態なのではないかと感じてたりします。
んですが、明確に入門書を名乗る歴史的名著がフェミニズムには現状、ないっぽい。
なんでないのか、というとおそらく、めっちゃ男尊女卑が当たり前の時代に書かれた革新的な話は、現在も革新的とは限らない(むしろ今見習うと時代を逆行してしまう)可能性があるから。ではないかなと。
だんだん男尊女卑を抜け出して来てるんだから土台にはなってるんだけど、更新されまくってるんすよ。
なにが更新されてるかと言うと「人権『感覚』」です。
感覚だから時代で変わるし言葉でダイレクトに説明できないけど、分かってる同士はそうそうそう!ってなるんすな。逆もあります。
いうて手がかりがないのも心もとないと思うので、歴史的事実から導き出した、つまり歴史の流れとして動きの記録をまとめて読めばいい、とできる話を一つ。
自分としては「フェミニズム」という語彙(ウィメンではない)のと、歴史的にやってることが参政権の要求や労働条件の向上や教育を受ける権利の要求なので「フィーメイルのための人権運動」だと読み取りました。
個人的にネットでは「女体には意志があり人間であるという人権感覚である」と説明してますけども。
人権運動の根幹には、人権感覚がある。
基本的人権というのは変わらない。しかしそれを解釈する『感覚』は時代で変わるものだから、ではないかと。
体系的に記述するのは俯瞰できる状態になってから、つまりメタ視点が必要になるんですが、感覚の更新が早すぎてなかなか俯瞰できなかった、かなーと思われます。
人類は現段階ほとんどの人が人類全体を人間と認識できていない、つまり人類全員に人権があるという感覚に及んでないので差別があるんですけども、それ差別されてる側にしかわかんないんすよね。あ、コイツこっちに人権があると思ってねえな、ってピンとくる側にしか感覚は生じないし、故に権利獲得のための主張のしようもないという。当事者ですら抑圧のための無感覚に陥る例も多々あるわけで。
あとホモソーシャリズムは入門書の権威と解釈に基づいての殴り合いをよくやります。真か偽かというのも、そういう発想ですな。
しかし、あなた自身のあなたに対する感覚に、他者から見て真も偽も言いようがない。これは「私がエビデンス」という言葉で表現されて、意地の悪い人たちに散々なことにされてましたけども、それに尽きると思います。
また、もしも真偽を問うなら、当事者感覚のあるなしではないかなと思います。
そんな具合で、フェミニズムは女体のための人権運動であり人権感覚であり人権論である、が私の個人的な結論です。どなたかのご参考になれば幸いです。
あとWikipediaのフェミニズムの項目がいつの間にかめちゃめちゃ詳しくなってたんすけど(こないだまで男女同権論と女権拡張論と女性に優しい男性の意、くらいしか無かったよ!)、にも関わらず「フェミニズム」の言い出しっぺが誰か、てのがどうも見当たらない(2020/01/04現在)。謎。
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