月に一度の読書 仕事と心の流儀

仕事と心の流儀


要約

 本書では、仕事を通じて人生の喜怒哀楽を味わい、仕事をより良いものにするために必要な「心構え」「他者・会社との向き合い方」「努力」が具体的にどのようなものなのか。が記されています。また、全てのビジネスマンが一度は考えたことがある「仕事とは何なのか?」その問に対して助言をしてくれる本となっております。

 この本は伊藤忠商事会長や日本郵政株式会社の取締役を務めた丹羽宇一郎さんの経験をもとに、丹羽さんが執筆された本です。本書の構成は大きく分けて五章に分かれています。

 第一章では、逆境の中で現在もがいているビジネスマンに向けて書かれた章です。この章を読むことにより逆境の中でどのような心構えでいれば良いのかが理解できます。

 第二章では、仕事と自分の人生の関係性、仕事への向き合い方が記されています。現在の仕事に対して「自分のやりた事は、この仕事なのか?」と疑問を持っているビジネスマンにむけて記されています。

 第三章では、企業の上司として、どのように部下とコミュニケーションをとるべきか。もしくは、部下として、どのように上司と接することが大切なのかをまとめている章です。

 第四章では、第三章の上司と部下の関係性ではなく、企業全体とどのようにかかわるべきかが記されています。環境を変えるためには、どのようにするべきかを悩んでいる方にピッタリな章です。

 第五章では、主に努力について記されています。具体的に、努力とはどのようなものなのか。を他者と比較したうえで理解することが出来ます。自分の努力の基準を引き上げることが学べる章となっています。

 この本は全てのビジネスマンに向けて書かれたものですが、特に現在仕事が大変だと感じている若者が読んでほしい本です。この本を読むことにより、「今は大変だけど未来に繋がっているから頑張ろう」と思えるようになることが出来ます。

 今回このノートでは、私が各章ごとに、特に大切だと思う事柄について取り扱っていきます。

著者について

名前:丹羽宇一郎著者

経歴:伊藤忠商事社長・会長、内閣府地方分権改革推進委員会委員長、日本郵船取締役

本書以外に書籍:『死ぬほど読書』『人間の本性』(幻冬舎新著)など

講談社BOOK倶楽部 https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000355676

本書の構成

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 本書の構成は大きく分けて五つの章+二つの冒頭・締めの挨拶に分かれています。章ごとに目的が分かれており、第一章は逆境に立ち向かっている人に向けて書かれた章です。この章は現在の仕事に対して苦戦をしている方に向けています。

 第二章は、仕事と人生の関係性について書かれた章です。この章は仕事とは何なのかを見失いそうな人に向けて書かれた章です。

 第三章は、職場での上司として、部下としての振る舞い方について書いてあります。最も関わりの深い上司や部下とのコミュニケーションに悩んだ方に向けて書かれた章です。

 第四章は、企業に対して自分はどのようにするべきか。が記された章です。この章は企業をより良くしていこうとしているが、あまり行動することが出来ない人に向けた章です。

 第五章は、努力とはどれくらいするべきなのか。誰と競うべきなのか。などの努力の基準について書かれた章です。自分の努力に対してよりモチベーションを上げることが出来る章です。

 これら五つの章に対して、具体的に何をするべきなのか項目に分かれて記されています。それらをまとめ、私が大切だと考える部分を記していきます。

第一章 逆境が人を成長させる

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【目的】 

 この章では、仕事をしている時、今の自分では、どうすることも出来ないと思える問題が発生したときに、どのようにするべきなのかを8項目に分けて記されています。それらをまとめると大きく分けて「努力をし続ける」「人間力」「問題との向き合い方」の三つに分類することが出来ます。それらを身に着け実行をすることにより、目の前に発生した困難を乗り越えることが出来ます。

【構成】

 「努力をし続ける」「人間力」「問題との向き合い方」の三つに分けることが出来ます。

「努力し続ける」ことに関しては、問題が発生したときに諦めない心を身に着け、常に挑戦をする大切さを説いています。挑戦をしなければ問題はいつまでたっても解決されません。今は難しくても挑戦をし続けることにより、問題は必ず解決される大切さを教えてくれています。

 次に「人間力」です。こちらは主に理不尽な問題などが発生をした時に、その問題には取り組むべきかどうかを判断する力を養う項目です。理不尽な問題が発生したときに、その問題を実行するべきかどうかの判断をする基準が人間力となるため、人間力を鍛えることにより、正しい判断をすることが出来ます。

 最後に「問題との向き合い方」です。これは簡単に言うと、その問題をプラスに捉えるかマイナスに捉えるかの事です。大切なのが失敗をマイナスと捉えてるのか、プラスに捉えるかどうかです。失敗をすることにより、人は学習します。そのため、失敗しないように、挑戦をしないのではなく、挑戦をして失敗をすることにより、人は成長をすることが出来ることを理解することが非常に重要です。

 この中から「努力をし続ける」事について事例を用いて記していきます。理由として、この本を読んだときに、努力の重要性が多く述べられていたこと。さらに、著者の努力をすさまじいものであり、ぜひそれを多くの方に知っていただきたいと考えたからです。

【事例】

 本書の中では、著者が商社の食料部門に配属されている時のお話が記されています。著者は悪天候のため、日本で大豆の価格が高騰すると考え、大豆を大量に海外から買い込みました。

 しかし、天候が変わってしまい、多くの大豆が生産され、大豆の価格が低下しました。その結果、15億円の赤字を著者は作ってしまいました。このことに対して著者は絶望し、辞職を考えました。

 しかし、あきらめずに、天気予報の会社などと取引をすることや現地調査などの地道な努力をしていると、ほとんどの確率で悪天候になり、再び大豆の価格が下落することが判明しました。実際に天候が悪くなり、大豆の価格が高騰し、結果として著者は黒字化することが出来ました。

 このように、15億円の赤字を抱えそうになっても仕事を放棄せずに、今の自分に出来る努力をしたことによって、黒字化できました。

 この時の努力を著者は、DNAのランプがつくまで努力をすると、自分の能力を超えたサムシンググレイトが働くといっています。実際にサムシンググレイトが働いた結果、絶対に天候が悪くなると確信をもっていたため、大豆を手放さずにいた事から黒字化をすることが出来ました。

【具体的な行動】

 逆境の中でも、あきらめずに努力をすることが非常に重要であると学びました。実際に私も経営している個別指導塾が、ウィルスの影響を受けた時に、どのようにしたら事業を継続し続けることが出来るのかを悩み続けました。その結果、オンライン化に成功することが出来、多くの企業が売上高を下げている中、売上高を上げる事が出来ました。もし自分が諦めていたら事業を継続することは難しかった可能性もあるため、あきらめずに努力をすることが、結果を出す一番の方法だとこの本を読んで、改めて感じました。

第二章


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 【目的】

 この章では、仕事は自分の人生にとってどのような意味を持つものなのかを考えることが出来る章です。自分が何のために仕事をしているのか。が、わからない方が読むことにより、仕事に意味を見出すことが出来ます。そのため、特にやりたことが見つからない方が、読むことをおすすめします。

【構成】

 大きく「仕事とは何か」「仕事への向き合い方」「努力」の三つに分類をすることが出来ます。まず「仕事とは何か」では、仕事とはどのようなものなのかを理解することにより、仕事をする意味を自分自身で見つけることが出来ます。

 次に、「仕事への向き合い方」では、仕事への意味を見つけた後に、どのように仕事へ向き合うことをするべきか。を考えることが出来ます。ここで大切なのは、仕事への向き合う熱量の高さです。熱量があると人も動かすことが出来、自分の仕事のやりがいを達成することが出来ます。

 最後に「努力」です。仕事の意味を見つけて、真剣に仕事と向き合うことが出来た場合、あとは実行し続けるのみです。人は他者と比較して、才能のせいにして努力を怠ってしまいます。しかし、それは才能ではなく、単なる努力不足です。才能のせいにせずに努力不足を自覚して、継続することの大切さについて説いています。

 ここでは仕事への向き合い方について述べていきます。理由として、近年、やりたいことを見つけることが大切だとよく聞きます。しかし、多くの人たちは、やりたいことが見つからない状態で、さまよい続けています。そのため、どのようにしたら、やりたい仕事が見つけられるのかについて、まとめていきます。

【事例】

 著者が早期離職をした若者に対して、仕事を辞めた理由を聞くと大半の人がやりたいことが見つからなかったから。と答えるそうです。さらに、やりたい仕事は何なのかを問いかけると、本人もわからないそうです。

 やりたいこととは、物事を繰り返し行っていくうちに、見つかっていくと著者は言います。実際に、著者も商社に入社した当初はやりたいことが見つかっていませんでした。しかし、繰り返えし何度も行うことにより、次第に商社の醍醐味を見出すことが出来、商社の仕事にのめりこんだそうです。

 多くの人は、同じことの繰り返しが、自身を成長させてくれることに気が付かずに、それを退屈な事と捉えてしまい、物事の深いところまで理解をしないうちに辞めてしまいます。しかし、やりたいことは、やっていくうちに見つかるものだと述べています。

【具体的な行動】

 私自身もある物事を始めた時、始めたばかりの時は何もできないです。そのため、任せられる仕事は、どうしても作業が多くなってしまうことはアルバイトなどで経験しています。しかし、その作業に対してどのようにしたら、私しかできない付加価値をつけることが出来るのかを考えることが大切だと、改めて考えました。

 以前このノートでも紹介をした社会人一年目の教科書でも、コピーを頼まれた時に、書いてある内容に対してコメントすることにより、何かしらのアイディアなどが生まれるとありました。

過去のノート社会人一年目の教科書 https://note.com/kiminari_fujita/n/n3849cf976ae7

 実際に私自身も名簿を整理するときに、名簿の人の特徴をまとめて、世の中の動向に対して会話をしたところ、次第にそれが戦術となった時があります。その結果、ただやっていた名簿の整理が私にとってはマーケティングとなったので、多くのことを学ぶことが出来ました。

 以上のことから、一つのことを自分なりの工夫をすることにより、次第に自分がやりたいことになる。また自分にしか出来ないことになると学びました。

第三章


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【目的】

 この章では、企業に所属すると必ず発生する上司と部下の関係をより良いものにするための方法が書かれた章です。上司と部下は社内で最も関わる時間が長いため、この関係をより良いものにすることにより、部下も上司も成長をすることが出来ます。さらに、企業としても成長をすることが出来るため非常に大切です。

【構成】

 この章は大きく分けて二つに分類することが出来る。一つ目は「理想の上司」であり、二つ目は「部下としての振る舞い」です。

 一つ目の「理想の上司」については、現在マネジメントやコーチングなど様々な方法の接し方があります。しかし、この本で述べられていることは、ノウハウも書いてありますが、それよりも、上司として何が一番大切なのか。が記されています。それを身に着けることをしなければ、コーチングやマネジメントなどのやり方が小手先となってしまいます。そのため、改めて理想の上司とは何なのかを今一度考えることが大切です。

 二つ目の「部下としての振る舞い」に関しては、どれだけ優秀な上司がいたとしても、部下の振る舞いがしっかりとしていなければ、上司の努力は水の泡となってしまいます。そのため、部下は、どのようにしたら上司から多くのことを学ぶことが出来るのかを理解するためにも、部下としての在り方、振る舞い方を学ぶことは非常に大切です。

 この中で「部下としての振る舞い」に関して詳しく記していきます。理由として、私ももうすぐ社会人になるため、部下としての振る舞い方、社会人の基礎力を身に着けることが非常に大切になるからです。

【事例】

 部下として一番大切なことは、言われたことをちゃんとやることだと筆者は述べています。加えて、その言われたことをちゃんとやるの基準は自分自身ではなく、誰から見てもそれはちゃんとできているといわれるかどうかで判断をするべきだと述べています。

 人は自分はできると思いがちで、自己評価が高くなってしまいます。そのため、自分はできているのに、会社が評価をしてくれないと考えるようになってしまう部下がいますが、この振る舞いは良くありません。会社はしっかりと評価をしてくれるので、自分はできていると過信するのではなく、誰から見ても、できていると言われるようにすること。しっかりと他者の求めている基準に合わせて行動をし、出来ていないといわれたことに関しては素直に受け入れることが非常に重要だと記されています。

【具体的な行動】

 自分の基準を正当化してしまうことは、自己防衛をするために無意識的に発生している可能性が高いと考えました。できない自分を認めたくないから正当化してしまうという側面もありますが、人から出来ているように思われたいから、出来ているといい続けてしまう側面の方が強いと思います。

 そのため、そのような自分自身をかっこよく見せるプライドは捨てて、出来ていない理由を一つ一つ丁寧に探していくことが大切だと考えました。特に私はできていないことを認めたとしても、出来ていない理由を考えても、わからないのに、考えてもわからないことを人に伝えたくないということも発生してしまうと思うので、そのあたりを素直に聞くようにします。


 第四章


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【目的】

 この章では、自分が会社の社員であるときに、どのような行動をするべきかが述べられている章です。この章を読むことにより、自分が一定の地位を得た時の行動や、企業の方向性が悪くなったときの修正方法などが述べられています。

【構成】

 大きく分けて三つに構成されています。一つ目は自分の仕事の「調子が良い時に必要な考え」、二つ目は、自分もしくは企業が「隠し事をしそうな時に必要な考え」、三つ目は企業の方向性を修正する「決断をするとき(決断時)の批判との向き合い方」です。

 一つ目の「調子が良い時に必要な考え」とは、自分の仕事ができるようになったときや、一定の地位を得ると、人は考え方が逸脱してしまうことがあります。その結果、大きな過ちを犯してしまう事があります。そのため、いかに自分自身を制御できるかが大切になります。

 次に「隠し事をしそうな時に必要な考え」では、人は常に自分を守りたくなります。しかし、隠し事をすることは、その一瞬だけ自分自身を守ることはできますが、後に、大きな損害を出してしまう可能性が高いです。そのため、自分自身を保身にしそうになる前に、どのようにするべきかを知っておくことは非常に大切になります。

 最後に三つ目の「決断時の批判との向き合い方」です。組織の習慣と異なる決断をすると、必ず多くの批判にあいます。しかし、その批判に向き合い続け、自分の意思を貫かなければ正しい方向に会社を導くことはできません。そのため、自分の意思決定をするときには、人の顔色などは気にせずに行動をすることが非常に大切となります。

 この中で最も大切だと「調子が良い時の考え方」考えました。私の経験からも、調子に乗っている時に起こる失敗が、最も危険であることを理解しているからです。また、人は役職が付くと良くも悪くも変貌をしてしまうため、そうならないためにも事前に理解をすることが大切だと考えたからです。

【事例】

 著者はアメリカで働いていた時に、とある会社の社長にその会社の助言を求められるようになりました。著者は常に相談になるようになりましたが、自分の企業の話はしなかったそうです。理由として、見返りを求めて接することは正しい付き合い方ではないと考えていたからです。本来であれば、現場の人に話にするべき話を、直接著者が社長にしてしまうと、現場からの批判を買うことになり、信頼を失ってしまう可能性が高いからです。

どれだけ自分が社長と仲良くなったとしても、しっかりと自分の立場をわきまえて行動をすることが非常に大切になると記されています。

 また、人は権力を三年持つとダメになります。理由として周りに、上司にゴマをすって出世を狙う人や、意見を言うことにより責任を持ちたくない人が周囲に集まるようになるからだそうです。その結果、もし地位がある人が悪事に手を出そうとしても、止める人がいないため、企業が悪い方向に行ってしまうことが発生します。

【具体的な行動】

 自分自身、人から必要とされる力をつけたと考えるようになると、良くも悪くも必要以上に立場を超えて行動しようとしてしまいます。特にそのような状態の時は、自分の役割を全うしきることなく、次から次へと物事に手を出してしまう傾向があるので、地に足をつけて、一つ一つ物事を丁寧に継続した結果、今があると冷静に考え、判断するようしていきたいです。

 もちろんチャンスがあるときには、挑戦をしていきたいと思いますが、自分の本来の役割を全うしたうえで、決断をしていきたいと考えました。

第五章 

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【目的】

 この章は、努力の基準を理解することが出来る章です。前章であったように人は、自分の基準で出来ているかどうかを判断してしまうため、努力の基準が低下してしまいます。そのため、どこを基準として努力をするべきなのかを理解することで、自分の働く基準を上げることが出来ます。

【構成】

 この章は大きく分けて二つに分けることが出来ます。一つ目は「他者と比較をした努力」、二つ目は「努力の具体例」です。

 一つ目に関しては、実際に自分の基準や自分の身の回りの人と比較をしただけでは、競争が激しい社会で結果を出し、生き抜くことが出来なくなります。特にグローバル化は当たり前となり、IT化やAI化など日本人のみの戦いではすでになくなっています。日ごろから視野を広く持ち、戦う相手や目標を高く設定して行動することが非常に大切となります。

 二つ目に関して、実際に著者が行っていた努力が記されています。頑張るモチベーションを高くした後は、正しい努力をする必要があります。

 一つ目に関して具体的に述べていきます。その理由として実際に世界を飛び回った著者が、世界基準での努力についてどのように述べているのかを改めて理解するためにも、記していこうと考えております。

【事例】

 アメリカのエリートの家に行った時の話が記されています。著者は日本で結果を残したことが自信となっていたのですが、ニューヨークにいる人と自分との差に唖然とした。といっています。その対象が努力量だったそうです。ニューヨークの先輩のご自宅に招かれた時に、先輩の書斎は部屋いっぱいに資料などの勉強用具がおかれていたそうです。また、現地の学生は大学に入る前から難読書を読むことが当たり前の風潮であるようです。

 これをきっかけに著者の心に火が付き、どんなに飲み会があろうとも帰ってから自宅で勉強をするようになった結果、日本の中で最先端の知見を身に着けること。と、アメリカに負けず劣らずの知見の深さになったようです。

【具体的な行動】

 努力をすることに終わりはないとこの本でも書かれている通り、結果を出している人は必ずそれ相応の努力をしています。これは勉強においてもスポーツにおいても同じだと考えました。ビジネスになるとより複雑化されて努力をすることが必ず結果につながるかがわからないですが(まだビジネスに触れていないため)、努力をし続けなければ結果を出すことが出来ないため、改めて努力の基準と、何のために努力をするべきなのかをしっかりと意識して行動をしたいです。

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