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3月2日:既存のシステムにこだわらない現場主義。だから生活がわたしだけのものになる<バリ島が教えてくれた365個の幸せ>

新築のおうちに住み始めて2ヶ月くらい経ったある日。シーリングファンが動かなくなった。なので、家を建てた大工さんにきてもらって、4時間くらいかけて直してもらった。

そしたら、その日から、スイッチの「弱」で、ファンが一番早く回るようになった。

「よくわからないけど、使えるからいいよね?」と大工さん。

「そうですね。頑張ってくれてありがとう。」とわたし。

ある日。エレクトリックバイクを買った。安い買い物ではない。新品で30万円くらいした。

2ヶ月くらい待って、やっと納車の日。心躍らせてバイクのリモコンを押してみた。けど、なんの反応もない。

「あ、OFFを押せば電源がつきます。」とディーラーの人。

「そうですか。以後、気をつけますね。」とわたし。


ある日、ポータブルスピーカーが充電できなくなった。充電するタイプCの穴が壊れてしまったようだ。で、それを見たスタッフが「これ、直せるお店あるよ」と教えてくれたので、修理を依頼した。

数日後、スピーカーが戻ってきた。充電できるようになっていた。でも、穴のまわりのカバーは全部外されて、ぎゅっと潰れた穴から充電コードが出ている。

「これで、充電コードを毎度つける手間が省けたね!よかったね!」とスタッフ。

「そうだね。ありがとうね。」とわたし。

そう、バリの人は、『超現場主義』なのだ。マニュアル通りに動くべき、この手順で進めるべき、とか大事じゃない。既存の形や手順にまったくこだわらない。「机上の空論」はまさしく「空論」。手を動かし、形になればそれでOK。それで暮らしがまわっている。


面白いことに、バリの人が家を建てる時には、細かな設計図は存在しない。現場で測って、現場で考えて形にしていく(だから、ときには階段の高さがバラバラだったりする。)

目の前の道路に穴があいたら、自前でコンクリートをつくって直す。(だから、また穴があく)

「弱」でビュンビュン回るシーリングファンも、「OFF」で電源がつくバイクも、コードがプラーンとぶら下がっているスピーカーも、道路の穴も、言うなれば、自分の暮らしの個性だ。カスタマイズされた、自分だけの暮らし。今では、愛着が湧いてきてしまって、それらが愛おしくてたまらなかったりする。

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バリ島に住んで5年の月日が経ちました。コロナ禍で観光経済が壊滅したり、過剰開発で環境が破壊されたりひどい渋滞が起こったり。そんな現状を目の当たりにしながらも、バリ島に暮らす人々は、いつも明るく笑顔で、とにかく幸せそう。

-嫌なことが起こったのは悪霊のせい
-人と神様と自然の調和が大切
-貯金はしない

なんでだろう?と探っているうちに、バリ島に根付く「トゥリ・ヒタ・カラナ」という哲学に辿り着きました。「神と人」「人と人」「人と自然」の調和を重視することで、人々は幸せに過ごし喜びを感じることができるという考え方です。

その哲学がしっかり根付いているバリ島の日常にこそ、幸せのヒントたちが落ちています。ここに住まわせてもらっている議事録もかねて、バリ島が教えてくれた365個の幸せを綴っていこうと思います。

メイン画像:UnsplashMaxwell Inghamが撮影した写真