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3月21日:バリ島での運転が辛くなくなったのは、ある法則に気づいたから<バリ島が教えてくれた365個の幸せ>

今日は、バリ島での運転について語ろうと思う。一言でいうならば、バリ島での運転は「カオス」だ。日本と同じ右車線だけど、全然日本とは違う。「マリオカート」のようだよ、とわたしはよく例えるけど、正直、「マリオカート」よりも全然ひどい。

例をあげてみよう。

・車間距離は2、3cm。
バイクも車も、とにかく前に隙間があったら、詰めてくる。信号待ちでも、渋滞でも、なんとしてでも前へ行こうとする。誰よりも前へ、1ミリでも前へ。そしてその結果、ちょっと当たってることもよくある。
その結果、バイクは歩道や反対車線をがんがん走る。
その結果、対向車が通れなくなり、さらに渋滞する。それでも、バイクはどんどん前につめてきて、さらに対向車が通れなくなってさらに渋滞する。

・遅い車や、右折待ちのバイクを抜かすために、車もバイクも、反対車線を超えて右から追い越す。
その結果、右に曲がろうとしているところに後ろからバイクがビュンときて、ひやっとすることは日常茶飯事だ。

・ウインカーはあてにならない。つけずに曲がる人も多いし、つけっぱなしの人も多い。

・左折してくるバイクは、基本、右側をみていない。なので、まじであぶない。

・基本、道は譲らない。なので、譲ってくれるのを待っていたら、一生前にすすめない。

・信号が赤になっても、30秒くらいはみんな進む。むしろ、赤になってすぐに止まったらクラクションをならされるし、さらに、赤でも進んでいい道とかが謎にあり、そんな時は、クラクションを激しくならされる。ちなみに、信号が赤でも左折はしていいっぽい。

・バイクには、五人くらいまで乗れる。子どもは前に立つ。

・トラックもバイクも、荷物は載せれるだけ載せていい。なので、完全に重量オーバーのトラックが、脇道で横転とかよくしている。

・電線や凧糸が、上からぶら下がっていることがたまにある。バイクに乗っているとき、気をつけないと、それにひっかかったりする。

・犬が、おかまいなしに車道に飛び出てくる。その結果、ひかれてしまう犬も多い。あひるの大群が道を占拠していたことも。基本、道は動物優先だ。

・雨季のスコールの後は、水で埋まっている道や、大量の水が流れて川みたいになっている道がよくある。通るか通らないかは、自己判断。水溜りを通り過ぎると、車やバイクが壊れる。

などなど。

まだまだあるが、長くなってきたので、もうやめておく。バリ島で運転したことがある人には「あ〜あるある。」と思ってもらえたと思う。運転したことがない人には、「マリオカート」よりもひどい世界を想像してもらえただろうか。

日本と同じ感覚では、とうてい運転できない。頑張って運転したとしても、日本の10,000倍くらい疲れてしまうのだ。

ところが、だ。わたしは、3年目くらいに、ある法則をみつけてから、バリ島での運転がとても楽になった。何も考えず、ただその法則にのっとって運転すればいいだけ。

その法則とは、「みんな、ただ単に、今やりたいことをやってるだけ」というもの。

みんながみんな、「自分の今やりたいこと」を表現しながら、目の前の相手の「やりたいこと」をくみとって、「じゃあ、次はこれをやりたい」を表現する。

「僕は早く家に帰りたい。前にいきたい」「あぁ、あなたは前にいきたいのね。わたしもいきたいのよ。」「わかったわ。じゃあ、一緒にちょっとずつ前にいこう。」「ちょっとだけ右にいくわね」「OK、じゃあ、ぼくは左にいく」(渋滞の時の攻防戦。スレスレの車間距離で、みんな進んでいく)

「わたしは左に曲がる」「おぉ、あなたは曲がりたいのね。わたしは直進したい。じゃあ、避けるわ。」(ぎりぎり、左折してきたバイクにぶつからずに済む)


みんながみんな、目の前の人の「やりたい」と会話しているのだ。バリ島の運転は、その会話の積み重ねなのだ。

つまり、目の前の人の「やりたい」を受け取らない人は、事故を起こす(オラオラ運転をしている、上半身裸の観光客など)。

そして、「やりたい」を表現していない人は、そこに存在しないことと等しい。いや、場合によっては、「害」とみなされて、けたたまさしいクラクションを鳴らされる(日本人に多いパターン)。

とにかく、バリ島の道では、自分の「やりたい」を思う存分、表現しよう。そして、一瞬でも、隣り合った人たち、すれ違った人たちとの会話を、思う存分、楽しもう

それが、バリ島の運転というもの。

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バリ島に住んで5年の月日が経ちました。コロナ禍で観光経済が壊滅したり、過剰開発で環境が破壊されたりひどい渋滞が起こったり。そんな現状を目の当たりにしながらも、バリ島に暮らす人々は、いつも明るく笑顔で、とにかく幸せそう。

-嫌なことが起こったのは悪霊のせい
-人と神様と自然の調和が大切
-貯金はしない

なんでだろう?と探っているうちに、バリ島に根付く「トリ・ヒタ・カラナ」という哲学に辿り着きました。「神と人」「人と人」「人と自然」の調和を重視することで、人々は幸せに過ごし喜びを感じることができるという考え方です。

その哲学がしっかり根付いているバリ島の日常にこそ、幸せのヒントたちが落ちています。ここに住まわせてもらっている議事録もかねて、バリ島が教えてくれた365個の幸せを綴っていこうと思います。

メイン画像:UnsplashSpenser Sembratが撮影した写真