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BJファンへの手引 - 1994年 宝塚歌劇団花組公演『ブラック・ジャック 危険な賭け』

ブラック・ジャックが大好きで、さまざまなメディア展開作品を楽しむかたに向けて、宝塚版BJのざっくりとしたあらましをまとめてみました。

ストーリーあらすじ

女王の手術のためイギリスへ招かれていたBJ。無事に仕事を終えて帰国しようとしたところ、追いかけてきた声に呼び止められる。振り向いたBJの前に立っていたのは、かつての恋人・如月恵にそっくりなアイリスという女だった。

驚くBJをよそに、彼女は自分のせいで怪我を負った1人の男──ケインを手術してくれという。頭に銃弾を受けたという彼のレントゲンを見たBJは「安静にしていれば命に別状はないのだから大人しくさせておけ」と言い放ち、依頼を断ろうとする。

かつてケインは、アイリスと同じく優秀なMI6の情報部員だった。しかし、頭に受けた怪我はそれまでの生活を一変させてしまった。自暴自棄となり職を辞したあとは、持ち出したMI6の機密情報をもとに賭けをおこなうようになる。

今までと同様、手に入れたクーデター情報で一儲けするつもりだったケインだが、BJが行なった女王の手術が成功したことにより目論見が外れ、身に危険が降りかかることに。

何としてでもケインを助けたいというアイリスと、いつ死ぬかもわからない命をかえりみないケイン。BJは2人が自分勝手にすれ違う姿を見て呆れるが、見捨てることはできず、"危険な賭け"に手を貸すことにしたのだった。

ストーリーについて解説

BJの帰国を待っているピノコに電話を繋ぐシーンや、回想の中に登場する如月恵の存在もあり、限られた時間でありながら、可能な限りでBJのバックグラウンドを踏まえた展開がなされている。

また、宝塚歌劇では、しばしば男女の関係性を主軸に書かれた物語が見られるが、今作は限りなく恋愛要素が薄い。

歌劇ファンからすれば少し物足りないところもあるだろうが、あくまでBJのイメージを崩さずに書かれた脚本こそ、原作ファンが楽しめる大きな理由ではないだろうか。

ミュージカルに抵抗がなければ、ぜひおすすめしたい。

ヅカ的解説

今作は、1994年に宝塚市へ設立された手塚治虫記念館の開館記念公演である。

当初、上演する演目については、宝塚歌劇らしい男装の主人公を据えた『リボンの騎士』があがっていたが、話を受けた安寿は自身の持ち味を考慮し、BJを逆提案したところ、これが受け入れられた。

自身が大の原作ファンであることに加え、アウトローな雰囲気を得意とした安寿の男役像は、まさにBJ役者として適任であったといえるだろう。

宝塚大劇場では安寿ミラ、東京宝塚劇場では真矢みきがBJを演じた。

通常であれば、宝塚歌劇の公演は兵庫と東京で約1ヶ月間ずつ、同じキャスティングで作品が上演されるが、今作の東京公演では主演の安寿が海外公演へ出演のため、当時2番手スターであった真矢みき以下、メインキャストは番手を繰り上げての配役となった。

なお安寿の強い希望により、東京でも最終3日間のみ、元々の配役で上演が叶っている。

あとがき

本作品はビデオに残っていないため、現在正規ルートで視聴するにはスカパー!の宝塚専門チャンネルを契約するしか方法がありません。

作品内で歌われた音源であればiTunes Storeにて購入することができますので、雰囲気だけでも楽しんでいただければ幸いです(リンクが文字化けするため"ブラックジャック 花組"などで検索お願いします)。

また、当時のチラシやパンフレットはオークションサイトやフリマサイトで入手することができます。

本記事に使用している画像は東京公演のチラシですが、当方の私物を撮影したものですので、転載はご遠慮ください。

本記事はあくまで非ヅカファンに向けたものとなっており、極力、私情を挟まず文章を打ち込んでおります。

不明点や質問等ありましたら、お気軽にTwitterまでご連絡ください。

補足事項などがあれば随時追記していきます。

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