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大阪人は隠れた読書マニア!?@プレイバック!データで見る関西人気質

Playback 20 years ago
プレイバック!データで見る関西人気質

(まえがき)
およそ20年前、とある夕刊紙に連載させてもらっていた署名原稿(本名名義)を要約・編集して紹介しています。当時とは世相が異なるため、???な内容やNGな表現があるかもしれません。ちょっとした話のネタとして読んでいただけるとうれしいです。


第9回 図書館
大阪人は隠れた読書マニア!?

大阪人は読書が好きである。なかには首をかしげる人もいるだろうが、これはまぎれもない事実。読書から得ることのできる感動、情報の大切さをよく知っている大阪人は、知的好奇心の旺盛な人種なのだ。というわけで、今回は図書館をテーマに関西人の隠れた一面を検証してみよう。

表1は、総務庁統計局がまとめた「統計でみる都道府県のすがた」より抜粋した、都道府県別の図書館数である。やはり教育や文化に力を入れている県が上位を独占。問題は中盤から下位である。人口100万人当たり18.3館で、どうにかこうにか21位に入っている滋賀県が、関西圏のトップ。以下、京都、奈良、和歌山と続き、大阪は11.9館の第38位。兵庫にいたっては10.0館で第45位のワースト3に入っている。


(表1)都道府県別図書館数
第1位  富 山  51.7
第2位  福 井  47.3
第3位  島 根  36.3
第4位  高 知  34.3
第5位  長 野  33.2
 :    :    :
第7位  東 京  28.6
 :    :    :
第38位  大 阪  11.9
 :    :    :
第43位  愛 知  10.3
第44位  宮 城  10.0
第44位  兵 庫  10.0
第46位  福 岡   9.0
第47位  神奈川   8.3
※総務庁統計局「統計でみる都道府県のすがた」より抜粋
 (人口100万人当たりの図書館数)


大阪市中央区の医薬品メーカーに勤務するUさん(41歳)は、「この情報化社会にわざわざ図書館まで出向く必要はないでしょ。それこそ情報が氾濫しているんやから、あとはそれを取捨選択する能力があればOKですわ。今どき図書館に通ってるんは、学生と浪人だけとちゃいますか。だから図書館なんて少なくてもいいんですよ」と、ことさらクールに言ってのける。

それでは、続いて表2を見てみよう。こちらはNHK放送文化研究所の編集による「現代の県民気質/全国県民意識調査」より抜粋したデータ。設問は「あなたが住んでいるところの図書館やホールなど、公共の文化施設は利用しやすいですか?」というもので、「Yes」と答えた人の割合を示している。


(表2)アンケート
図書館など公共の文化施設は利用しやすいと思う(Yes)

第1位  東 京  55.9%
第2位  神奈川  49.2%
第3位  大 阪  47.5%
第4位  群 馬  47.3%
第5位  岐 阜  45.7%
 :    :    :
第43位  佐 賀  35.1%
第44位  岡 山  34.7%
第44位  青 森  32.0%
第46位  高 知  31.6%
第47位  和歌山  28.6%
※NHK放送文化研究所「現代の県民気質」より抜粋
(県民意識アンケート・平成8年に各都道府県の16歳以上の男女900人、全国計4万2,300人を対象に実施)


第2位の神奈川ほどではないにしろ、47.5%の大阪も大躍進で堂々の第3位。大阪府下のほぼ半分の人が「利用しやすい」と答えているのだ。数は少なくても、使いやすい。この合理的な考え方こそ大阪人をはじめとする関西人の真骨頂。で、あらためて両方の表を見比べてみると…。

「データ上では、東京には大阪の倍以上の図書館がある。しかし、それを利用しやすいと感じている人の割合は、わずか8.4%の開きしかない。つまり、東京では図書館という器だけ整っていて、利用する人が少ないということです。見た目や体裁を気にする東京と、合理的で実利を優先させる大阪の違いでしょう」とは、関西にある某大学のF教授による分析。

もちろん、この記事を読んでいるあなたも読書好きで知的好奇心が旺盛な人のはず。たまには図書館へ出かけてみるのも、いい気分転換になりそうである。


(あとがき)
現在の都道府県別図書館数では、大阪はなんと第44位(人口10万人当たり1.69館)と20年前からさらにランクダウン。それでいて、図書館利用者数ランキングでは第4位(1人当たり年間1.68回)に入っていて、今も昔も大阪人は読書がお好き♪ということがわかりました。また、ダークホースだったのが滋賀。蔵書数で第2位、さらに貸出冊数でも第2位に食い込むなど、かなり図書館が充実しているようです。


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