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外出できる嬉しさと、解放感と

 2020年。ある意味で一生忘れない記憶に残る年になるんだろうな。
例の感染症予防のため、緊急事態宣言が出されたのが4月のこと。人々は「外出自粛」を求められ、劇場やコンサートホール、美術館、さらには飲食店やデパートに至るまで「休業要請」。
 私は、あまり社交的な性格ではない、と自分で自分を分析している。お休みの日だからといってどこかに出かけなきゃとかいう概念すらない。VIVAお家ステイ。だけど。自分で選んで家にいるのは苦にならなくても、いざ家にいろ、外出するなと言われてしまうと途端に窮屈さを感じてもいた。私でさえこうなんだから、普段から活動的な人にはきつかったんじゃないかな、たぶん。不要不急のことが、生活を彩っているんだ。

 さて、緊急事態宣言が解除され、条件つきながらもお店などが営業を再開するところが増えてきた。だけど、身に沁みついた「自粛モード」がなかなか消えるでもなくて。「プリンタインク買いに行かなきゃ」という、ちょっとした用事ができたことをこれ幸いとして、出かけることにしたのだ。仕事は全部リモート、オンラインになっていたもので、4月から5月にかけて電車に乗っていなかったという見事なまでの引きこもり。とにかく外食したい、自宅では食べられないお料理食べたいという欲求のもと、ずっと気になっていたレストランのランチを前もって予約。いざ行かん。
 マスク着用、あちこちに置かれた消毒液。レストランに入る際には検温。おお、「新しい生活様式」か。レストランでは、使用するテーブルを一つ空けるという徹底ぶり。自宅では決して味わえないぜいたく感を存分に楽しんだ。

 ほぼ2か月ぶりに最寄り駅の改札を通った時、いつもの電車に乗って、慣れた駅に着いた時、よく知った街を歩く時。解放感を喜んでいる自分がいた。マスクして、これでもかと手を洗って、ことあるごとに消毒液やウェットティッシュで消毒する。そんなことを自然とルーティンワークのように繰り返しつつ、街を再び歩けることは間違いなく、喜びなのだ。

 

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