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さて、私の運命は?

「結婚してアメリカにまいります!」
私は有頂天になって
周りに報告して回りました。

「でも、アメリカでも看護婦をするんです」
さらに有頂天になって報告して周っておりました。

今の若い方の言葉で言う
「寿退職」ですかね。

着物なども
叔母の指示で上等なものを作ってもらい
着々と渡米の準備をしておりました。

私の人生、やっと順風満帆という風が吹いてきたと思われました

貧乏で食べるものもない子供時代。
体が弱くて叱れてばかりいた子供時代。
両親の不仲にいつも怯えていた子供時代・・・

そんな惨めな記憶はもうどこへやら?でした。

いざ!アメリカへ!
私はアメリカへ行くんだ!
アメリカで看護婦をするんだ!

頭の中は希望と夢でいっぱいでした。

・・・がしかし
その順風満帆の風は
いつしかぴたりと止んでしまいました。

そしてある日、母の従姉妹から連絡が入り
「お相手の方が、こちらで飲み屋の女性と深い仲になっていて、その女性と別れられない。この話はなかったことに」
とのこと。

私は言葉もありませんでした。

こうして、私の有頂天の気分も
墜落の一途を辿ることになりました。


さあ、そこからが大変です!

もうたくさん
結婚お祝いもあちこちから頂いてしまっています。
狭い村ですから
「キミちゃんはアメリカに行くんじゃとよ」
という話は人だけでなく
猫も犬もネズミですら
知っているようなことになっています。

世間体を気にする両親でしたから
それを察するのもとても辛かったです。

絶望と同時に恥ずかしさやら情けなさ・・・
なんと言ったら良いかわからない気持ちでした。

とにかくここから逃げたい!

どこでもいいから逃げたい!

呆然とした頭で思うのはそればかりでした。


そう願う私に
運命はうまいこと手を伸ばしてきました。

「キミちゃん、うちの兄と結婚してくれへんやろか?」
そう言ったのは
高校の同級生の女の子でした。

渡りに船!
一回沈没した船のことなんかに
感傷的に考えてる余裕のない私でした。

つづく
   
   キミちゃんより

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