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「貧乏ゆすりと言わないで」12.主治医への不信感


救急車騒ぎがあった頃から体調がすこぶる悪くなり
夜寝る前に薬を飲まないと
右足が激しく振るえて眠れないようになった

漸く眠りに落ちても薬が切れてしまい
一度夜中に目が覚めると眠れなくなる

午前一時だろうが、三時だろうがお構いなしだ

振るえが止まらず歩けないので
トイレに行くのに二十分以上かかってしまう

振るえ続けるのでベッドの上で
横になっているのも辛すぎた
座っているほうがまだまし、と言う状況になってしまった。
体が鉛のように重い。二日酔いの十倍ぐらいの辛さだ。
その辛さが尋常じゃなくなったので、
何とかその状態を打破するべく
いつもは一人で受診していた病院での診察に
かっちゃんに休みを取って
付き添ってもらうことにした。

予め確認すればよかったのかもしれないが
運悪く主治医がちょうどその日に限って休みで
代理のDr.の受診になってしまった。
「後日改めて詳細を話してみてくださいね」と言われ、
出直すことになってしまった

やっとのことで主治医に逢えたのは
救急車騒ぎがあってから年も明けた翌年の二月だった。

もともとこの三人目の主治医とは相性が合わず、
受診する時はいつも恐る恐る面談していた。

日々の辛い状況を話して、
「生活の質を良くしたい」ということを一生懸命に話しても
心から理解してもらえる感じもなくて、
なぁなぁで薬を変える程度だった。
救急車で運ばれた件も主治医の反応は      
「あ、知っています。」          
と、うわの空の生返事だったのだ。
「大変でしたね。」の一言もなく、
不信感が募った中で、
もうこの人には診てもらいたくないと思った
決定的な出来事があった。
その日、受診前一週間の様子を紙に書いて見せてみた。
初めての病状申告用紙の提出だったのだが、
それを見た途端あからさまに不機嫌になり、             「他の病院に行ったのですか?」     
と聞かれ               
「いいえ、製薬会社のHPから調べて書いてきました。」                と答えたのにも関わらず、疑いの目を向けられた。
そもそも、病気が病気なのだから、
紹介状が無ければ他の病院で診断なんて難しいのに、
何を言っているんだ、この医者は!と思うが早いか             
「とにかく生活の質を良くしたいんです!
そのためにDBS手術(※)の可能性もありますよね?」
と質問をしたところ、         
「じゃあ、他(の病院)を紹介するので、
そちらへ行ってください。」         
とまるで厄介払いをするかのごとく
「予約は自分でしてください。」      
と言われる始末。
(いやいや、違うから。
あとで調べたら、病院間で要予約になっていたし。)
話をしながら、右手右足がぶるぶると振るえてくる。
これは怒りなのか。

喜美にもわからなかったが
精神的に参っていることはあきらかだった。
本当に主治医との相性は大事だ。
特に症状が進めば進むほど、すごく大事だ。
やっぱり気持ちに寄り添ってくれる人で信頼できる人じゃないと。
と考えていた。

思えば、昨年の秋からは本当にいろんなことが重なって、
ストレスから病気が進行したのかも?
薬を変えようとしたから進行したのかも?と、
思い悩むことも多い時期だったから
そこからやっと抜け出し、病院も変わり、
主治医もかわると思うと
不思議と気持ちはスキップをするくらい軽やかだった

※DBS手術とはDBSはDeep Brain Stimulationの略で、日本語では脳深部刺激療法と言います。この手術は局所麻酔で意識のある状態で頭蓋骨に孔をあけ、脳深部に電極を通す方法で頭を固定された状態で手術時間は10時間におよびます。電気刺激することによりパーキンソン病の症状を改善させます。専用の手術装置とMRIのデータを用いて正確に電極(リード)挿入部位を決定し、電極を脳内に留置します。前胸部の皮膚の下に刺激装置(パルス発生器)を埋め込み、リードをつなげて電気刺激をします。                 

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