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香害製品がもたらす脳神経系への新たな脅威

届きたてほやほやの、香害製品がもたらす健康被害に関する新たな知見です。2024年3月26日のものですね。
日用品化学物質が、脳神経系疾患を引き起こす原因になるという研究結果です。

その記事の訳文を掲載します。

元記事はこちら。
全米ニュース・ワールドレポートで25位にランクインした医学部を擁する、ケース・ウェスタン・リザーブ大学のHP,The Dairyに掲載されたものですね。この内容の論文がネイチャーニューロサイエンス(神経科学の学術誌)に掲載されましたよ、という紹介になっています。

以下、訳文になります。端々に少し解説も追加してあります。




一般的な日用品化学物質が、脳の健康に新たな脅威となる


多くの家庭用品に含まれる化学物質が、脳の特定の細胞に悪影響を与えると研究により判明した

ケースウェスタンリザーブ大学医学部の研究チームが、いくつかの日用品化学物質が脳の健康に悪影響を及ぼす危険性について新たな発見を発表しました。
彼らは家具からヘアケア用品に至るまでの様々な製品に含まれる化学物質が多発性硬化症や自閉症スペクトラム障害などの神経疾患に関連するとした可能性を示唆しています。

多発性硬化症とは
中枢神経(脳と脊髄)の疾患で、神経細胞を覆っている保護膜であるミエリン鞘が破壊され、神経信号の伝達が阻害されることで様々な神経症状を引き起こす疾患。
自己免疫疾患の一つに分類されている。
本来は身体を守るべき免疫機構が誤って自分自身の体内の組織や物質を攻撃してしまうことが原因とされている。
他に遺伝的要因(地域差で明らかに罹患率の違いがあるが、家族内での発症率では有意な差が見られたりそうでなかったりするため、確実性に乏しい)、感染症(特にEBウィルスとヨーネ菌)との関連性も可能性が高いと言われる。
症状は病変が起きる部位によるが、視力低下、四肢の感覚障害や運動障害、排尿・排便障害などが起きる。
多発性硬化症は寛解と再発を繰り返す特徴があり、症状が出たり消えたりすることがある。
現在、治療は主に症状の管理と進行の遅延が焦点となっている。

神経系疾患は何百万人の人に現れていますが、その中でも遺伝的要因に起因するものはごく一部で、未知の環境要因が神経系疾患の重要な原因となっていると考えられています。

ネイチャーニューロサイエンス誌に昨日掲載されたこの最新の研究では、いくつかの一般的な日用品化学物質が、特に神経細胞の周囲に絶縁体を形成する特殊な細胞である脳のオリゴデンドロサイト(注:乏突起膠細胞)に影響を与えることが発見されました。

オリゴデンドロサイト
乏突起膠細胞、希突起膠細胞。
中枢神経系に存在する神経膠細胞(脳と脊髄で神経細胞の間を埋める細胞)の一種で、小型で比較的突起が少ない細胞。中でも中枢神経系内で髄鞘(ミエリン鞘。神経細胞の軸索を覆う絶縁体で、神経信号が伝達しやすくする働きを持つ)を形成するもの。
1つのオリゴデンドロサイトがいくつかの髄鞘節を作ることが特徴的。

「オリゴデンドロサイトが失われることが、多発性硬化症及び他の神経系疾患の根本にあるのです」と、この研究の主任研究者であり医学部のグリア(研究所)所長であり、かつウェバー夫妻の革新治療学の教授であるポール・テサー氏は述べます。「我々(の研究)で現在、消費者製品に含まれる特定の化学物質がオリゴデンドロサイトに直接危害を与えることが示され、これは今まで認識されていない神経系疾患の新たなリスク因子であるという事を意味します。」

(訳注:「ウェバー夫妻の革新治療学」は意訳してます。直訳するとテサー氏の役職が「ドナルド・ウェバー博士とルース・ウェバー・グッドマン革新治療教授」とかなり、日本語がワケわからなくなるので。)

脳の健康に対して化学物質が及ぼす影響が十分に研究されていないという前提のもと、研究者たちはヒトが曝露する可能性がある1800の化学物質を分析しました。彼らはオリゴデンドロサイトを損傷する化学物質を特定し、それらは2つのクラス、すなわち有機リン系難燃剤と第四級アンモニウム化合物に属していることを明らかにしました。第四級アンモニウム化合物は多数のパーソナルケア用品や消毒薬に含まれており、新型コロナウィルスのパンデミックが始まって以降より頻繁に使用されているため、ヒトはこれら化学物質に常態的に曝露しています。また、多くの家具や電子機器には有機リン系難燃剤が含まれています。

研究者らは実験室で細胞とオルガノイドシステムを用い、第四級アンモニウム化合物がオリゴデンドロサイトを死滅させ、一方有機リン系難燃剤がオリゴデンドロサイトの成熟を阻害することをつきとめました。

彼らは、同じ化学物質が発育中のマウスのオリゴデンドロサイトをどのように損傷するかを実証しました。また研究者たちはその化学物質の一種に曝露することと全国の子供たちが持つ神経学的な問題点が有意に関連していることも明示しました。

「我々は、オリゴデンドロサイト―他の神経細胞とは異なり―が第四級アンモニウム化合物と有機リン系難燃剤に対して驚くほど脆弱であることを発見しました」と、医学部の医学科学トレーニングプログラムの大学院生であり、主著者であるエリン・コーン氏は述べます。「これらの化学物質への人間の曝露を理解することで、一部の神経系疾患がどのように発生するかのミッシングリンクを明らかにすることができるでしょう」と、彼女はさらに述べます。

専門家たちは、これらの化学物質への曝露と人間の脳への影響との関連性について、さらに調査を進めることが必要であると警告します。将来の研究では、成人や子供の脳内の化学物質レベルを追跡し、疾患の発症や悪化をさせる曝露の量と期間を導き出す必要性があるとしています。

「我々の研究結果は、これら一般的な日用品化学物質の脳への影響について、より包括的な検討が必要であることを示唆しています」とテサー氏は述べています。「我々の研究が、化学物質への曝露を最低限に抑え、ヒトの健康を守るための規制措置や介入に、情報に基づいた決定に貢献することを願っています。」

この研究には、ケースウェスタンリザーブ医科大学およびアメリカ環境保護庁から、ベンジャミン・クレイトン、マユール・マダヴァン、クリスティン・リー、サラ・ヤクーブ、ユーリー・フェドロフ、マリッサ・スカヴゾ、ケイティ・ポール・フリードマン、ティモシー・シェーファーなど、他の研究者も貢献しています。

この研究は、国立衛生研究所、全米多発性硬化症協会、ハワード・ヒューズ医学研究所、ニューヨーク幹細胞財団からの助成金およびsTF5 Care Long, Walter, Paterson, Goodman, Geller Family からの慈善的支援により支えられました。




あとがきのようなもの

多発性硬化症。
化学物質との関連性、出てきましたね。
実は自分の血縁にも一人います。ぜんそくがある以外はすごく健康で、それも大人になるにつれて頻度が激減、スポーツに深く携わる元気な人でした。急に罹患したんです。自己免疫疾患であるとも言われてますよね。

遺伝的要因と言いますが、三代遡っても一代先を見ても血縁に発症者はいません。

地域的要因も言われているようですね。
地域的要因は遺伝的要因と誤認されがちですが(一族はまとまって住んでることが多いので)、遺伝的要因が内因性の要因であることとは違い地域的要因は外因性の要因です。
特に、緯度が高い地域で発症率が高く、赤道付近では非常に低いようです。このことから、環境要素(日照時間、ビタミンDの摂取量)などが影響していると考えられてもいます。日本での有病率は10万人当たり10人程度。ちなみに有名人では故・林家こん平師匠がこのご病気で、笑点出演ができなくなった原因になったようです’。

また、感染症との関連も示唆されています。特にEBウィルスとヨーネ菌感染症との関連性が高いおそれがあるようです。

EBウィルスと言えば、自分が化学物質過敏症の症状が顕著に出はじめて、しかし病名がはっきりせず、まだあちこちの病院で原因を探っていた頃の話。
顔面と鼻の奥の異様な痛みで耳鼻科を受診して「伝染性単核球症」の初発感染と言われたことがあったんです。免疫系検査で、伝染性単核球症の初発感染時に共通する検査結果が出たからです。
この伝染性単核球症の原因のほとんどを占めるのがEBウィルスです(他のウィルスが原因でなることもある)。
この時だけIgEがボンと上がり、また肝機能も高めでした。あと単球。生まれて初めてです。社会に出てから鼻炎症状がしょっちゅうだったんで何度も(職場から言われて無駄だと思ってても繰り返し)アレルギー検査しましたが、IgEの上昇は皆無でした。鼻ずるずるしながらの採血でも。
肝機能の数値が上がったことも、どんな病気してもありませんでした。(他にも、子供のころに肺炎も二回罹患、また成長期と育ち切ってから数回腎盂腎炎など罹患しましたが、肝機能が高かったことは一度もなし。)

伝染性単核球症、特にEBウィルスに関しては、あまりにも今さらだったんですよ。既婚だし、成育歴からも、自分が初発感染はあり得ない。伝染性単核球症はキス病ともいわれています。これはヒトの唾液にEBウィルスが存在するからです。だから、キスや口移し、食器の使いまわし、回し飲みなどが感染経路となります。日本人の成人では80%以上が罹患歴があり、抗体を持つと言われています。
自分は子供のころ、(今じゃ考えられないし嫌がられる昭和あるあるですが)ジジババから口移しをされていたようですし、育ち切って負い始めてからも家族間で回し飲みもずっと普通にしていました。なのにここでいきなり自分が初発感染はあり得ない。絶対抗体持ってる。100歩譲って再感染はあっても初発感染はないだろう。
伝染性単核球症は他の病原体が原因になる事もありますが、それにしても直前まで家族間で、いつも通り食器の使いまわしや回し飲みもしてました(実家方面の家族で一緒に行動してあちこちの介護に関わったり、山歩きをしょっちゅうしてたので、その移動時に普通にしてました。インフルやノロがそれぞれの職場で流行っていない限りは)。それなのにこの時家族に自分以外の発症者がいなかったのが、どう考えてもおかしいんですよね。伝染性単核球症どころか、ほんとに感染症か?と。大体、ウィルスや細菌感染で上がるはずのWBCとCRPが、肝機能に影響出るほどの感染にしては低すぎだった。不摂生してる人なら日和見感染でこんくらいしょっちゅう上がってるだろう程度の数字。

もっと食い下がって調べてもらえばよかったと、今は悔やまれます。

EBウィルスの感染で動く免疫マーカーと血液像、同じものが動いていたという事ですから、神経系細胞に何らかの影響を及ぼす、しかしEBウィルスどころかウィルスや細菌以外のナニカの侵襲の結果である可能性もゼロではないような気がすごくしています。

私事を長々と失礼しました。

しかし、日用品化学物質が脳神経に著しい影響を与える事、はっきりしましたね。多発性硬化症を起こすという事は、神経細胞のみならず、その神経信号を発したりという役割を担う周囲の機構や組織にも影響は多大かもしれません。髄鞘を破壊されるんだから、免疫系が黙ってない気がしますよね。
今後、どんどんこういったことが解明されることを、切に願います。

前から言ってはいましたが(免疫系疾患はもともと持っていたので)、多発性硬化症を発症している親戚には重ねて、とにかく身の回りの物を無添加にしろと、この記事を添付したメールを送りました。
原因を取り除くことが悪いわけがありませんから。


2024年 5月

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