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① 1%の希望、そして初仕事で心が折れる

いつもありがとうございます。
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(2005年6月)

昏睡状態だった人が何年か経って目を覚ました。
そんなことを思い出し、可能性があるのかを聞いたのです。
担当のお医者さんがこう答えてくれました。

「99%の不可能と、1%希望でしょうか」

この1%がすべてでした。0じゃない。希望を持ちました。

その日は、昼間にちょっと家にシャワーと着替えのために戻りました。
(病院にお願いし、ICUの待合室のソファに泊まらせてもらってました)
シャワーから出ると、電話が鳴り、
(急いで病室に戻って欲しい)
髪も濡れたまま、タクシーに飛び乗り病院へ。

とにかく、思ってしまったら現実になるのが怖くて
大丈夫。うちのオモニは大丈夫。死ぬわけない。
と、ずっと声に出して自分に言い聞かせて病院に向かいました。

オモニは57年の人生に幕を下ろしました。
天国へ旅立ってしまいました。

そこから、どうやって家に帰ったのか、どう過ごしたのか
思い出せません。

ただ、家の玄関先と庭に蝶々が飛んでいたのだけは覚えています。
その日は朝から小雨が降っていましたが、
その時は雨が上がって、陽がさしていました。

喪主だったので、葬儀の準備をしなくてはならず
でも、どんな風に進めたのかも何もかも記憶にありません。
(祖父母も、父も他界しているので、会社を継いだ長女の私が喪主に)

葬儀に3,000人近くの人が、
海外からも続々とオモニにお世話になったと言って来てくださった方が、
数週間、数ヶ月続けて、毎日のように途切れる事なく。

携帯も2台持ってましたが、それでも電話対応が間に合わないくらい。
海外からの電話もひっきりなしだったので、時間関係なく電話は鳴りました。

私には、やらなくてはならないことは山ほどありました。
そう、会社のこと。
250人ほどの社員数。
店舗は飲食と販売店合わせて5店舗。工場2つに物流センター。

オモニが亡くなったのは6月。
5月が決算月なので、とにかく決算の「け」の字も分からないまま
ことが進んでいき、自分の無力さにただただ悔しさと虚しさでいっぱいでした。

ただ、書類に捺印するだけ。
これ、本当に危険です。
今はもちろんそんなことはしませんが、当たり前ですが。
あの頃は、言われたままに捺印してしまったのです。
なんのことやら分からないのに、とりあえず言われるがままに。
(本当に、恐ろしい。。。。。)

あの頃は、泣いてる暇も、嘆いてる暇も、悲しんでいる時間もなかった。
今振り返ればその時の経験があったから強くなれたのだと思います。

さて、私の経営者としての仕事が始まりました。
社長になって、会社で一番に手掛けたのが「社員面談」
250人近くの社員たち全員の面談です。

(よ~し!みんなと話して、まずは仲良くなればいいよね~。)

このくらいしか、頭に浮かばなかったのでしょう。笑

面談自体初めてだったので、何から話せばいいのかな?と手探り状態。
とにかく、みんなと話さなくちゃ。

31歳の外国帰りの娘が、急に社長になったのですから警戒心もあったでしょう。

とにかくひどい面談でした。

何がひどいって、ひどかったのは私です。はい。

「面談の目的」がなかったので、何を話したらよいのか分からず
行き当たりばったりの、社長の初面談。

それはそれは、今思い出すだけで恐ろしいです。。。。。

この面談で、心が折れるわけですが(笑)
ポキッ ポキッ ポキポキッ と折れるわけですが。

「社長の仕事は何か」が分からない私の
「とにかく何かやらなくちゃ」の始まりでした。

この頃の私の心の中は

「なんで、みんなやってくれないんだ。分かってくれないんだ。」

リフレインしていました。


【写真は、新宿御苑で撮ったオモニと私の2ショット】

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こんなことがありました。
オモニが亡くなる年のお正月のこと。オモニが倒れる半年前です。
オモニが急に、実印の保管場所や重要書類の保管場所を私に言うんです。
変ですよね。急に、そんなこと言うなんて。
そんなオモニの声にも、はいはい。と私は反応するだけでした。
(私に、関係ないし。と)
後に、この会話が大きな助けになることも知らずに。。。。。。。

そう、知らずに。。。。。。

この会話のお陰で、会社の手続きや諸々がスムーズにいったのです。

オモニは感じていたのかもしれません。知っていたのかもしれません。
これから自分の身に何が起きるのかを。
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よく、なぜ会社を継いだのですか?と聞かれるのですが。
もちろん、先代(オモニ)が他界したため。もありますが

私には、オモニと生前に約束したことがあったのです。
今は誰にも言えないけれど、オモニと人生をかけて誓った約束。
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