"PROJECT IM@S 2nd VISION"を振り返る② ディアリースターズ

前回ははしがきとして、前後の"1st VISION"と"3.0 VISION"について軽く触れた。今回から本編、ディアリースターズから触れていきたい。

"2nd VISION"はいかに始まったか

2nd VISION」は、2009年5月17日、4thツアー開幕となった名古屋の地で発表された。

新たな時代の始まりとなったこの日、じゃあ1st VISIONと具体的に何が違うの?という話である。

美希・貴音・響が765プロに合流

アイマスの長い歴史の中で、フェアリー組が961プロとして所属していたのはアイマスSPで活動した約2年である(しかも後半の1年はDSの765プロと"Eternal Prism"の961プロが並行していた時期なので、純粋に961プロとして存在していた期間は1年にも満たない)
なお、"合流"という言葉を使用しているが、この3人に961プロから移籍したという設定はなく、はじめから765プロ所属アイドルという設定である。

765プロ所属アイドルの年齢が+1される

2nd VISION始動から約1年、5thライブで発表された「アイマス2」の初報PVは、「天海春香17歳」という台詞から始まった。
この年齢設定は今日まで引き継がれており、3.0 VISIONでも不変と思われる(というか、変えたら大変ですね…)。
一方でディアリースターズのアイドル達は+1されていないが、その辺はパラレルとして割り切ってくれということだろう。

新事務所"876プロ"登場

今回のメインとなる876プロが舞台の「ディアリースターズ」は、「PROJECT IM@S 2nd VISION」の第1弾として発表された。2nd VISION発表の2週間後に開催された4th東京公演でお披露目となり、サプライズで日高愛役の戸松さん、水谷絵理役の花澤さんが出演した。今となっては余りにも貴重すぎるステージであるが、当時不参加の三瓶さんがSideMとして現在も活躍している中、3人揃ったステージというのが翌年開催のシークレットイベントのみというのは中々に歯がゆいものがある。

876プロという新機軸

前作"アイマスSP"ではライバル事務所として961プロが登場したが、今作は876プロが主役の作品、それもプレイヤーはアイドルである。
これまでは765プロが主役で、プロデューサー視点の物語だった。2nd VISION1作目にしてこれまでと違うテイストにアイマス世界の広がりを見せてくれた作品といえるだろう。
ゲームの詳細についてはここで説明する以上にニコニコ大百科の記事とかを見てもらった方が分かりやすいので、ここでは割愛させてもらう。

どうでもいいですが876pro.jpのドメイン、いつの間にか消滅しているので公式さん取るなら今ですよ

「765プロ」に対する「961プロ」はライバルとして常に君臨し続けていたが、第三の軸として登場した「876プロ」の存在で、アイマスの世界は更に深みを増すことになる。
これまで何だかんだ765プロの内輪の話だったのが、「日高愛」と765プロ、「水谷絵理」と765プロという、事務所間のライバルであり、同じアイドル仲間でもあるという立ち位置は何とも絶妙である。
そして、「秋月涼」の存在がアイマス世界に新たな繋がりをもたらすことになるとは誰も予想していなかっただろう。

ディアリースターズ後の876プロ

ゲームの発売に伴い、CD「DREAM SYMPHONY」シリーズやコミカライズの展開、ベストアルバム「THE IDOLM@STER BEST OF 765+876=!!」シリーズでは「THE 愛」「DREAM」「LOST」の3曲が765・876混合の新曲として収録された。"IM@S ALLSTARS1641"として歌マスやGO MY WAY!!を歌うことはあっても、765と876が共に歌う新曲として書き下ろされたのはこの3曲が唯一である。
このように様々な展開を見せてきた876プロだが、最前線として活躍した時期は発表からベストアルバム発売までの僅か1年。コミカライズはもう少し続いたが、それも2011年に完結した。

さて、その後の876プロはと言うと…。主なトピックを表にしてみた。

図2:876プロ年表

展開がゼロではないのは876プロもアイマスの仲間ですよ、というメッセージとして捉えられるが、それでも表立った展開が無いのが実情である。
秋月涼こそSideMで活躍の場を見せているが、日高愛、水谷絵理についてはG4U以降新録ボイスがモバマスのみ、曲に至っては2010年のベスト発売以降新録はない(ANIM@TION MASTER 03収録の「GO MY WAY!!」はDSにも収録されているため、アニメで新録したかは怪しいところである)。

ちなみに、前項で話題にした876pro.jpは、876プロの近況について事細かに記してくれていた。インターネットの海に消えてしまうのは余りにも惜しいので、この場を借りて紹介させてほしい(下記リンクはウェブアーカイブのものです)。

今後も"ファンサービス"で終わってしまうのか

876プロも、「XENOGLOSSIA」や韓国ドラマ版の「KR」のように過去のものとして割り切ることも出来たかもしれない。しかしながら、秋月涼はSideMで今も現役で活躍を遂げている。ハッピースの歌詞で「やっぱずっと3人でいたいね」と言いながら、愛と絵理だけ過去の存在となってしまう訳にはいかない。
しかしながら、現実問題として登場キャスト"3人"で活動することがいかに困難かは3人揃ったステージが2010年のシークレットイベント以来13年以上実現していないことからも容易に理解できる。
今日のアイマスは5ブランドで活動しているが、その枠から外れているだろう961プロは765プロのライバルとして今もなおその地位を維持している。一方で、876プロはライバルというよりは765プロの仲間的側面が強く、765ASの外伝作品という枠から脱却できなかったことが厳しくもある(先の大百科でも触れているが、DSの"先"が無かったのはバンナムの社内的な問題も孕んでいることが見て取れる)。
今となってはファンサービスでもしてくれるだけマシではあるが、やはり他の事務所も含めて歌って踊る姿が見たいというのが私としての本音である。

おわりに

14年に渡って続く2nd VISIONの先陣を切ったディアリースターズであるが、2nd VISIONが終結した現在、その姿を見る機会はほとんど失ってしまった。
10年以上に渡り細く長く展開している876プロだが、とりわけ秋月涼の315プロにおける活躍により、その細い線は切れることなく今日まで続いている。
今後もコンテンツが続く限り、"3人"が再集結する日が必ず訪れると信じたい所だ。

次回はアイマス2について触れていきたい。


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