"PROJECT IM@S 2nd VISION"を振り返る③ アイマス2

今回はアイマス2の展開について見ていきたい。今でこそ確固たる地位をモノにしているアイマスシリーズであるが、アイマス2を巡ってはコンテンツ存続の危機とも言える大事件が起きていたことは説明するまでもないだろう。

アイマス新時代の始まり

前回は2nd VISIONの始まりとして876プロを取り上げたが、実際にはアイマス2を皮切りに2nd VISION本格始動、という印象が強いだろう。
年齢が加算されたこと、グラフィックが一新されたこと、雪歩役が浅倉さんに交代となったことに加え、これまでふわふわしていた765プロの総称が「765PRO ALLSTARS」に決まったことなど、アイマス新時代の到来と呼ぶに相応しい要素が多分にある。
1st VISIONではフェアリー組が765プロにいなかったり、あずさの髪型がロングだったり…など現在とは異なる設定が多くある。このアイマス2で生まれ変わったアイドルたちが、現在の765ASの礎となっている。
しかし、アイマス2発表からの1年間は、多くのプロデューサーにとって、20年の歴史の中で最も苦しかった1年だったと思われる。

アイマス2の功罪

雪歩役の声優交代

5thライブは従来のアイマスの集大成として、当時の雪歩役である長谷さんを除く12名が集結した。当時のパンフレットには雪歩役のCVが掲載されていなかったことから「交代するのでは?」という噂はあったようだが、2日目の発表でそれが現実となった。
交代の経緯については中々触れづらい所があるので省略するが、当事者である浅倉さん自身のプレッシャーは計り知れないものであったことは想像に難くない。

「新しい雪歩」とともに歩んだ2nd VISIONの終結は、浅倉さんご自身にとっても並々ならぬ想いがあったと思う。それ故、ブログに綴られているひとつのゴールに到達したというお言葉には色々な意味が含まれていると感じる。雪歩も幸せだろう。

竜宮小町

同じ765プロから生まれたライバルユニットで、アイマス2では律子Pのもと一足先に活動しているユニットである。
今まで765プロ内ユニットというのは少なかったので、当時竜宮小町の存在は新鮮だった。さらに、"無印"でも裏方的役回りになることが多かった律子が、公式にプロデューサーとして活躍するのも大きな特徴である。
…それ自体は良いのだが、やはり事実上のNPC化は私もかなり堪えた。かつて美希もSPで移籍という形でNPCとなったが、コンシューマからの追加アイドルというメタ的側面からも、まだ理解できなくもない範疇ではあった。しかし、アケマスから共に歩んできた3名が、最新作ではプロデュース不可となる判断に対しては擁護する余地はない。
時が経ち、2013年に赤羽会館でとあるイベントが開催された。OFAでは全員がプロデュースできる!今井さんの発言で起こった万雷の拍手が全てだろう(下記動画の1:15頃~の発言)。

Jupiter

9・18事件の最大の引き金となってしまったのがJupiterの存在だ。正確にはアイマス2最大の問題は竜宮NPC化だと思うが、ここまで事を大きくしてしまったのはJupiterの発表に依るところが大きいだろう。
今でこそ広く愛される存在となったJupiterだが、発表当時はとてもじゃないが"春香"と"冬馬"が一緒にGO MY WAY!!を歌う未来など有り得る訳がなかった。
例によって詳細は大百科に丸投げするが、現在の価値観からこの記事を読むとドン引きするレベルの嫌悪っぷりである。

とはいえ、SideMが存在しない当時、女性アイドルのライバルが男性アイドルというのはキマっているとしか思えない設定で、受け入れられないのは当然の反応だろう。それだけに、今のJupiterはまさに奇跡の存在だ。
…後にアイマス2のライバルユニットはJupiterではなかったのでは?という噂が浮上するのだが、それはまた別の話である。

発売後

9・18事件の記事では、発売後の問題点も事細かに記されている。イチャモンレベルの指摘も含まれているが、総じてスタッフの熱意や愛情を感じた作品かと言われれば、残念ながら首を縦に振ることはできない。
しかしながら、アイマス2の存在は悪いことばかりではない。ビジュアル面が大幅に強化され、特に亜美真美が大人っぽくなり、真も見違えるほど美人になっている。
楽曲面はどの作品も素晴らしいのだが、アイマス2もその例に漏れず、テーマ曲の「The world is all one !!」は2019年のバンナムフェスの締めに使われるなど、各所で歌い継がれる名曲である。
ちなみに、当時竜宮のプレイアブル化やJupiter参戦の撤回を求める署名活動が盛り上がっていた。その中には「AKB商法の廃止」や「オンライン対戦の廃止の撤回」も含まれていたが、今となっては笑い話レベルだろう…。

おわりに

今回はアイマス2について見てきた。今日の765ASの原点となる作品でありながら、アイマス最大の酷評を受けた作品でもある。
「2nd VISION」の第1弾はディアリースターズだが、初報の4th名古屋公演で示された新作ゲームというのは「アイマス2」のことを指している。当然目玉の一つとして期待されていたはずの今作がこのような形に終わってしまったのは私達にとっても不本意なことであった。
2nd VISIONと言いながら何も見えなくなってしまったアイマスの救世主となったのが次回触れていくアニマスだ。アニマスの放送をもって、本当の意味での2nd VISIONが開幕した、と呼んでもいいかもしれない。

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