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「蟬蜎」って何?

 漢検準一級を勉強していて、不思議な言葉に出会いました。それは、「蟬蜎(せんけん)」です。

 まず、読めません。
 最初の「蟬」を「せん」と読むのはいいとして、次の「蜎」は「たこ」だと思ってました。
 初めて見た漢字です。
 意味は、「美しく、あでやかなこと」というのだとか。
 しかし、なぜ「蟬」が「美しい」という言葉に使われたのか、謎です。次の「蜎」もよくわかりません。
 ネットで調べると、「蜎」は「ぼうふら」と出てきました。ぼうふらを「美しい」と表現するなんて、ちょっと信じられません。

 漢検準1級は、中国の古典から引用されている言葉が多いので、夫にも調べてもらいました。
 すると、2つ語源らしきものを発見しました。

①屈原の弟子説
 屈原の弟子の一人に蟬蜎という美女がいたそうです。その人は、屈原を守るために毒を飲んで死んだのだとか。この話が「美しい」の意味のもとになったらしい。
②蘇 軾「水調歌頭」
 蘇 軾の漢詩に「水調歌頭」というのがありますが、そこで「蟬蜎」が使われていました。この漢詩は自分と共に月を見ることができない弟を思う漢詩なのですが、その最後に登場します。

千里共蟬蜎
 (千里 蟬蜎を共にせんことを)
 〈現代語訳〉
 遠く千里離れているけど、美しい月を一緒に見ようよ

蘇 軾「水調歌頭」

もちろん、①を踏まえて使われたのだと思われます。この漢詩では「美しい月を見る」という意味合いになるそうです。
 テレサ・テンが「但願人長久」という歌でこの蘇 軾「水調歌頭」を歌ったことがありました。
 個人的にこの歌は大好きです。
 いつかちゃんと歌えるようになりたいです。

 さて、「蟬蜎」をここまで調べて「蜎」はもともと「娟(ケン)」だったのではないかと思い始めました。(類義語に出てきました。)

 「ぼうふら」は流石にリンクしないですものね。



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