006:大切な失恋の話

その人とは7年来の付き合いだった。
最初は先輩で仕事を辞めてからは友達で
男女だけどなんでも相談できる仲だった。
一番に話を聞いてくれて、人として支えになってくれる人だった。

私は多分、出会ってしばらくしないうちに好きになっていたんだと思う。
でも積極的に付き合うなんてことはできるはずもなく、
何よりこの関係が終わることを恐れていたんだと思う。

出会って7年後付き合うことになったのだが
二人の温度にはそもそも大きな差があって
また二人の思い描く先には乖離があった。

しばらくするとその違和感に気付いて
でもそれでもこの関係が終わらないようにすることに必死で
最後は振られて終わった。

初めて失恋はこんな気持ちになるんだって思った。
初めて泣いたし、初めて寝込んだ。

正直今でも何回も思い出すことがある。
あの時、こうしていたらよかったのか
あの時、あんなこと言わなければとか
今考えても無駄な事が頭をよぎってしまう。

でも、負け惜しみに聞こえるかもしれないけど
これで良かったんだと思う。
付き合っていた頃は自分の思っていることに蓋をして
嫌われないようにとか、波風が立たないようにとか
そんなことしか考えていなかった。

それは紛れもなく自分では無かった。

本当の自分をさらけ出すことは私にとっては凄く難しくて
何か自分に似た人を演じているような感覚なのだ。
この似た人が嫌われたとしてそれは私じゃない。
そうやっていつも保険を張って自分という人間を見せれないでいる。
本性を見せないと本性が見えない。
今回は凄く勉強になったし、これからどうしようかと路頭に迷っている。

恋人としてはうまくいかなかったけど、今でも付き合う前の関係に戻れたらなと身勝手に思う。
だけど相変わらずそんなことは言える訳もなくて

私はまだ何も変わっていないんだろうと思う。

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