初期作品好きの懐古厨が「ハロウィンの花嫁」を観た感想
まず初めに言っておくと、コナン映画は初期の7作品が特に好きなので、自分はいわゆるこだま監督の信者だと思います。
全ての映画を最低2回以上観てますがこだま監督以降は、正直手放しで名作と呼べる作品はありませんでした。
勿論、そこそこ面白い作品やいいシーンはたくさんありましたが、どれも良作止まりという印象です。
それでもいつかまた名作が観られるんじゃないかとどこかで期待して毎年観てきましたが、満足行く作品はなかったです。
特に近年は派手すぎるアクションや特定の層に向けたキャラ映画と化してしまい、作品というより巨大ビジネスになってしまっていたので、その僅かな期待もほとんど失われていました。
しかも、「紺青の拳」「緋色の弾丸」と微妙な作品が続いていた上、警察学校組と高木佐藤がメインで出ると聞いて、今年もどうせキャラが渋滞した支離滅裂な映画だろうなと諦めていました。
しかし!!今年は違いました!!
まず一言で言うと、「ハロウィンの花嫁」かなり面白かったです。
いい意味で裏切られました。
特に序盤から中盤にかけては、ほぼ完璧なコナン映画だったのではないでしょうか。
真面目なシーンと要所に挟まれるギャグのバランスが良く、小気味いいテンポで話が進んでいくので飽きずに見られます。
最初から最後まで、退屈な場面がなかったのは久しぶりだった気がします。
そして、キャラクターがただの駒でも、出番のノルマを消化する為だけに出てくるわけでもない。
それぞれに役割や見せ場があり、話を動かす為に足を引っ張ったりおかしなミスをしたりなどの弱体化がなかったのも、非常に良かったと思います。
コナンがしっかりと主人公としてカッコイイところやカワイイところを存分に見せて、ちゃんと活躍していたのも嬉しかったです。
また近年顕著になっていたキャラの渋滞を上手く回避していたのも高評価ポイントです。
出演キャラはかなり多いですが、小五郎を怪我で退場させたり安室を首輪爆弾で封印したりと、ストーリー的にも自然にそれらが行われていてかなり見やすかったです。
他にも良いところをあげればキリがないんですが、犯人が分かりやすく強キャラとして存在していたのもやはりワクワクした要因ではないでしょうか。
長いこと印象的な犯人がいなくなっていたので、これはテンションが上がりました。
と、ここまで良い所を上げましたが、個人的には終盤にいくつか不満がありました。
主にプラーミャの正体判明後からですね。
※ここからは内容に詳しく触れます。
1つ目はヘリで安室さんというか降谷さんがやって来たところです。
「いや普通に来るんかい!」と思わずツッコミたくなってしまいました。
首輪爆弾つけられて仰々しく地下シェルターに入ってたのに。
あの登場のタイミングとか流れはどうにかならなかったんだろうか…。
それと、殴り合いヘリ。
プラーミャと戦うのはいいんですが、安室さんはメインで戦うよりも最後のピンチに駆けつけて犯人を倒すくらいの方がカッコイイんじゃないかと思います。
個人的にこの辺りのキャラは、コナンと協力しすぎたり、距離が近くなって仲良しみたいになると魅力が半減すると思うので。
キッド然り、赤井さん然り。
安室さんはそのラインをまだ保ってる感じがするので、メインで戦うというよりはここぞという時に決める男であってほしいですね。
2つ目は、巨大サッカーボールとサスペンダーの力技です。
最近は毎回のようにありますが、このクライマックスはちょっと萎えます。
この2つのアイテムを使うのはいいんですが、あまりに強引過ぎるというか、ワンパターンで捻りがないというか、派手なアクションをやるにしても何かワンアイデアがほしい。
どうせ何が起きても最後はこれで終わるんだ、と思ってしまうと、クライマックスをあまり楽しめなくなってしまいます。
アンパンマンとか水戸黄門みたいな様式美になってきているのかもしれませんが、どうにか次回からは違うパターンをお願いしたいです。
3つ目は、蘭と新一が警察学校組と会っていたシーンですね。
これは、個人的に蛇足だと思いました。
後付けで誰と誰が関係あったとか、実は過去に会ってましたは、もうお腹いっぱいですね。
効果的にやるなら良いんですが、誰も彼もやるからどうにもありがたみがなく、またかよ以外の感想が出てこなくなってしまいます。
しかし、これは青山先生が大好きなパターンなので、今後も増え続けることだと割り切っていくしかないと思います。
最後は別に不満というよりはこんな演出や展開が見たかったという願望ですね。
何かというと、プラーミャが誰か判明した時点で顔が見えていたのが勿体ないということです。
クライマックスの戦いは、プラーミャが誰か分かってから顔も丸見えの状態で始まるので、ちょっとワクワクが半減しました。
やはり戦っている最中に顔が判明するのが一番燃える展開だと個人的に思います。たとえ正体が誰か分かっていたとしても。
この願望はストーリー的に無理ですが、プラーミャは最後あのマスクのまま戦ってほしかったです。
それで、途中でマスクが外れるか外すかした後、コナンが犯人を名指しするシーンが観たかったなと。
「そうだよね、プラーミャ。いやクリスティーヌさん」みたいな。
「世紀末の魔術師」とか「瞳の中の暗殺者」がそれに近いと思います。
まあ、これをやろうとしたらラストのストーリーを丸々変えなくてはならないので、どう考えても無理な妄想ですが。
他にも書けばいくらでもありますが、この辺でやめておきます。
長くなりましたが、今年は久々の超当たりでした。不満は多少あれど、概ね満足です。
人それぞれ求めるモノは違うので万人に面白い作品というのは難しいですが、やはり完成度が高いモノは多くの人に届くのだと再認識しました。
軌道修正をしてくれた満仲監督には感謝しかありませんね。
来年も満仲監督は続投してくれるんでしょうか…??
だとしたら期待してしまっていいんでしょうか…??
ジンと灰原が好きなので、久しぶりにワクワクしています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?