異世界転生してきたらしい救世主(自称)が諸事情で全く使い物にならない件
「壊すだけの俺の力…、まさか活かせる場所があったなんて」
不意にこの地を訪れた異世界の男は、確信めいた様にそう告げた。
「タケル君。俺の力で世界を」
「いや、志は伝わるけど」
とタケルは遮った。
「救世主?みたいな面倒なの、俺なりたくないし。それにあんたさ、…首じゃん」
「タケル君」
「生首じゃん、無力の」
…説明が必要ですね?
目の前に置かれている首は、どうも異世界?から来たとか。
彼が言うには、向こう側の力はこっち側では強大過ぎるらしく、そのまま転生すると世界のバランスを著しく歪めてしまう。
故に『神』は、転生に際し大きな抑止力を働かせたのではないか?という。
その結果、世にも珍妙な「よく喋る生首」がこちらに届いた。
「…控えめに言ってキモッ」
「タケル君、控えてないよね」
「結局何も出来ないんでしょ?」
「手も足も出ないというか、無いというか」
「帰ってくれよ」
生首がすっごく嫌そうな顔をした。
【続く】
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