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Civilized - Chopping Block

Youth AttackからリリースされていたCivilizedを何気なく聴いてみたら、88感溢れる粗暴なユースクルーで軽く衝撃を受けた。
「粗暴なユースクルー」という表現は間違えているのかもしれない。
もしかしたら、正確には「ユースクルー感のあるクラシックな80sハードコア」なのかもしれない。

Youth Attackは今でこそ落ち着いているけど、数年前はヒップな存在で音源の入手が難しいレーベルだった。
Youth Attackというレーベルにどういう印象があるだろうか?
たぶん、ロウなブラックメタルとハードコアをクロスオーバーしたブラッケンドなハードコアをリリースするレーベルだと思う。
2010年頃にSexdromeをリリースしたことでそのカラーとイメージが始まり定着したように思う。
Youth Attackはそれだけかというと違っていて、80年代を彷彿させるクラシックなスタイルのハードコアもリリースしている。
時代の先端を行く新しい概念のハードコアとクラシックで古典的なハードコアという違うベクトルを持ったスタイルを一つのレーベルからリリースするのがYouth Attackの大きな特徴だったりする。

Civilizedはアルバム以前にEPをリリースしていたんだけど、ファストな楽曲を1分前後で表現するようなスタイルはDRIやInfestを彷彿させるクラシックで、それでいながらそれらのバンドよりロウで粗暴なサウンドはある意味でモダンといえる(けど、残念ながら印象に残らないバンドだった)。
そういう意味で、Civilizedの本質とはロウでストレートな古典的ハードコアといえる。
そのCivilizedからユースクルーを感じる。

ユースクルーが誕生した時期、まだユースクルーという言葉がなかった時期のユースクルーとは何だったのか?
ユースクルーの象徴的な年の88年は当然80年代で、80年代と定義されるハードコアのスタイルと同居していたことになる。
80年代のクラシックなハードコアがユースクルーに変化するその境目。
今となっては80sハードコアのスタイルが、ユースクルーのスタイルがそれぞれ別れたスタイルが渾然一体となっている状況。

今、ユースクルーを始めようと思ってもユースクルーにしかならないと思う。
80sハードコアを始め、年代を辿ることでユースクルーと出会った時、何かが生まれるんだと思う。
Civilizedは80年代から古典的なハードコアを純粋に追い求めた結果、ユースクルーにたどり着いた可能性が高い。
そういう意味で、ユースクルーをユースクルーのまま演じるReact!のようなレーベルではなく、Youth Attackからリリースされるのは当然のように思うし、Youth Attackからしか生まれなかったように思う。

ユースクルーというには粗暴なスタイルでありながら、古典的で王道的なユースクルーを彷彿させるコーラスが差し込まれると、その微妙な違和感に熱い何かを感じる。
ユースクルーのわかりやすいキャッチーでベタなコード進行を避けながら、要所要所で王道を表現する。
本当に見せたいものこそあえて見せないようにする美学。
本当に見せたいものをすぐに見せ、見せ続けるのは快楽的といえる。
そういう快楽的主義的な手法は現代的で、見せたいものを見せないワビサビは失われているように思う。
ワビサビには理解と解釈が必要で知的であり、快楽を欲するミュージックには必要ない要素なのかもしれない。
そういう意味で、とことんアンチモダン。
知的でデザイン志向のマークマッコイが運営するYouth Attackらしい作品なのかもしれない。

そうそう、Youth AttackからThe ReposがYouth Of Todayのカバーアルバムをリリースしてるんだよね。



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