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人生は先出しジャンケンなのだ――『ポジティブの教科書』

「なんだか気分が沈みがちな今日この頃。自分を元気にしてくれる本はないかしらん」と思って本棚を見てたら、この本が光を放っていた。というか、そもそもオビが金色なので(笑)、光っているのは当然か。

 でもこの本、ホントに暗い心を照らしてくれるような明るい言葉が詰まった一冊なのだ。

書道家だからこそ知っている、言葉の力

 武田双雲という人は、世間一般には書道家として認知されている。しかし、ただの書道家ではない。「字をうまく書く」「見せる字を書く」のではなく、字=言葉の可能性を誰よりも信じている人だと思う。

 本の中では、書道家らしく、

・「仕事=疲れる」という思い込みをなくすために、「仕事も家庭も、毎日元気が溢れてくる」と筆で書きまくっていたら、疲れが気にならなくなった
・「タバコをやめたい」と書き出していたがうまくいかなかったので、「タバコを吸いたくなったら、筆を持って書く」とつけたしたら、3日でタバコをやめられた(「やめる」ではなく「新しい習慣を始める」のがポイント)

 といった書くこと、つまり言葉についてのエピソードも語られている。

 言葉を変えれば、自分が変わり、現実が変わっていく。よく言われることではあるけれど、言葉を扱うプロである著者が言うからこそ、説得力がある。

ポジティブは「性格」ではなく「技術」

 テレビや雑誌に登場する著者は、この本で書かれているように超ポジティブな人に見える(実は私も仕事で一度お会いしたことがあるのだが、本当にメディアに出ている通りの超ポジティブな明るい人だ)。

 だから当然、「所詮きれいごとでしょ」「この人だからできるんでしょ」という意見もあると思う。

 しかし本の「おわりに」には、以前はポジティブに考えることが苦手で、後ろ向きに考えることはできても、前向きに考えることは難しかった、とある。そのとき、ポジティブになることは一つの「技術」だと気づいたという。

 ポジティブとは、生まれ持った「性格」ではなく「技術」。だからそれを習得すれば、誰でもポジティブになれるのだ。

「うまくいっている人」の考え方

 では、ポジティブであるために大切なことはなんだろう。その本質は著者のいう「人生は先出しジャンケン」という言葉に尽きる気がする。

・「こうなったらいいな」という状況を先に作り出してしまうこと(書くこと、イメージすることでもOK)

・何かが欲しいと思うのではなく、先に自分が与えられるものを与えていくこと(何かを犠牲にしてまでする必要はなく、自分ができる範囲で)

 そうしているうちに、人生の流れはいい方向に変わっていく。

「そんなことでうまくいくんだったら悩まないよ!」と思うか、「そんな簡単なことだったら試してみよう!」と思うか――ここにも「技術」の差が出てしまうかもしれない。







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