呪術廻戦2期ED:崎山蒼志「燈」感想と考察

 呪術廻戦2期が始まってしまいました。皆さんは生きていますか? 私は毎週命を脅かされています。
 しかし今期も素晴らしいOP・EDですね。特に歌詞が素晴らしいこと素晴らしいこと。お陰様で考察と妄想が捗り心が削られています。
 というわけで、今回は崎山蒼志さんが歌うEDの「燈」を私なりに考察したものを軽くまとめてみました。

 筆者の理解度として、原作の懐玉・玉折編をきちんと読んでおらず、ストーリーは凡そ知っている、というレベルであることをご了承ください。
 また、筆者は腐女子です。その要素は入れないように気をつけましたが、もしかすると意識しないところで滲み出ているかもしれません。不快に思われたら申し訳ありません。

以下ネタバレ注意


僕の善意が壊れてゆく前に
君に全部告げるべきだった

https://www.lyrical-nonsense.com/lyrics/soushi-sakiyama/akari/
以下同様

 これは夏油目線でしょう。それも「死亡後」の夏油だと思います。
 まず「告げるべきだった」と過去形なので、離反後なのは間違いないでしょう。教祖時代にこんな冷静な内省はしなさそうですし、かと言って離反直後だとしたら「じゃあ告げろよ」と言いたくなってしまいます。
 だから「死亡後」にその残穢が語っているものとしました。

夜が降りて解けての生活に
混濁した気持ち掠れる燈

 「夜が降りて解けての生活に」は夜と朝を繰り返す毎日を指すとも理解できます。しかし「降りて」「解けて」の表現から「夜」は帳の比喩とすると、次のように読めます。
 帳が降りたり解けたりするのは呪霊を祓うとき。つまり呪霊を祓い続ける生活、ということです。
 「混濁した気持ち」はあの拍手の場面で非術師の醜さに対面し、非術師を守るべきと思えなくなった気持ちでしょう。「掠れる燈」の「燈」は非術師を守るというこれまでの夏油の信条の比喩と思います。

仕方がないと受け入れるのなら
それまでだってわかっても
なんだか割に合わないの、意義が
ないなんて

 守るべき非術師の中には醜い悪意の塊のような者がいるがそれも「仕方がないと受け入れ」て助けるという信条。それを信じ続けるならそれでもいいが、そんなことを続けても夏油は心の底から笑えないという葛藤を抱えています。
 「意義がない」は、五条が盤星教の者らを殺すか尋ねたときの夏油の返事を指します。夏油はこのとき内心では殺してしまいたかったのでしょう。

何処にでもあるようなものが
ここにしかないことに気づく
くだらない話でもよくて
赤らめた顔また見せて

 「何処にでもあるようなもの」「赤らめた顔」を五条に絡めたくなる気持ちはありますが私は天内という少女の当たり前の笑顔のことだと解釈しました。
 正直、夏油はそれほど天内に執着していないと思います。ただ普通の少女としてあまりにも当たり前に目の前に存在したものが突然に喪われてしまった衝撃は間違いなく大きかったはずです。
 永遠に喪われて初めて、夏油はその平和な日常がいかに貴重だったかに気付いたということだと思います。
 また「赤らめた顔」は別に照れているわけではなく、興奮で上気している様子かと。

故に月は暗い 頭flight
今日は櫂を持って
探し物がない 揺れる愛
隠し持って生きる

 「月」が夏油の非術師を助けるという信条の暗喩なら、それが曇っている状態でしょうか。
 「頭flight」は思考が飛んでしまう様子と思えます。理性で抑えていたタガが外れてしまいそうな状態です。
 この「flight」は沖縄へのフライトとも掛かっていそうです。
 「探し物」とは前述の信条のことかもしれません。つい取り落としてしまって探し、それが拾えるうちはいいですが、最終的に彼は自らそれを手放してしまいました。
 「愛」は呪術師への愛と捉えました。同じ術師のみに向ける選民意識が濃く表れた愛は、離反する前は自分の芯としてしまうにはまだ揺れ動くもので不確かです。それでも確かに彼の中に根付き始めています。
 まだそれまでの信条を捨てきれていないからこそ、その「愛」は「隠」すべきものとしているのでしょう。

故に月は暗い 頭flight
今日は何処も行けず
眠る、眠る 新品の朝へ

 今日のところはまだ離反するまでに至っていない。しかしそれまでと同じように心から非術師を助けようという気にもなれない。どっちつかずの「何処も行け」ない状態ということでしょう。
 「眠る」は精神が深く沈んでいく様子、「新品の朝」は夏油が言っていたように「生き方を決めた」後に迎える朝を表している気がします。

孤独 under crying
めんどくさい 線引きのない
記憶は儚い
昨日にまるで用はない

 「孤独」じゃねえよ!!五条も硝子もいるだろ!!!!しかも「under crying」ときた。心の中では泣いてたんだね夏油……。
 兎にも角にも夏油が抱え込むタイプなのは確定です。
 「線引き」とは夏油と五条の実力の間にある線だと解釈しました。単独で最強の五条と二人でしか最強になれない夏油。この隔たりが生まれたのは言うまでもなく星漿体の一件があったからです。
 それ以来、夏油にとって互いに壁など感じていなかった頃の「記憶」は「儚」いものとなってしまいました。
 そして少し話が飛ぶようですが、「昨日にまるで用はない」には離反を決意した(というより偶発的にタガを外されたという方が正しいかもしれません)夏油の意志の固さが滲みます。

故に月は暗い 歪むLight
明日は何処行こう

 「明日は何処行こう」なので、まだ自分が進むべき道に迷いがある感じがします。普通にこの言葉だけ聞くと前向きに思えますが、呪術廻戦のEDというだけでこんなにも辛いものになるんですね。

傷ついてる心がわかるのに
なぜ傷つけてしまうおんなじ跡
エゴといって一括りにしていた
僕とあなたの本当 透明に燃えて

 二番から個人的に解釈が難しいです。教えて有識者。
 まず、この部分は夏油目線なのか五条目線なのか。迷うところですが、少なくとも高専時代の五条には「傷ついてる心がわか」りそうにないので夏油目線とします。
 「傷つ」くとは親友から距離を離されることによるものとしたら、夏油は五条に実力で突き放された辛さが分かるのに、夏油もまた追ってきた五条を突き放して傷つけてしまったということになりましょう。
 ただ、私は夏油から五条に対しては離反したことに未練がないと思っているんですよ。しかしここを見るとまるで夏油が五条を突き放して離反したことを悔いる気持ちがあるようですね。難しいです。
 呪詛師になるのは夏油の「エゴ」で間違いないです。しかし五条が最強になったのは「エゴ」ではないですよね。
 でも夏油からすると一人でどんどん先に行ってしまう五条に対して恨む気持がないという訳ではなかったんじゃないかと思います。本人は自覚していないと思いますが。だから五条の強さを「エゴ」だと無意識に感じ、「一括りにしていた」。
 「僕とあなたの本当」であるそれぞれの主義主張は、いつの間にか交換したかのようになってしまいました。夏油の本当は非術師を徹底的に嫌うこと。五条の本当は最強として非術師を守ること。

変わりたくって変わらない気持ち
形だけ崩れてく
希望の手 離さない 君の幽霊と

 「気持ち」とは、しつこいようですが非術師を嫌う気持ちでしょう。この深層心理を自覚してしまったからには変えることは出来ません。
 「形」というのは非術師は守らなければならないという建前ではないでしょうか。それが「崩れ」て本当の「気持ち」が分かってしまった、ということだと思います。
 「希望の手」はミミナナの手じゃないか、と気づいたときはテンション上がりました。彼の呪詛師としての最初の仲間ですし、最後まで彼は彼女たちの心の救いになっていましたし。
 「君」は「幽霊」ですから、天内ですかね。執着はなくともいつまでも離反に繋がる事件に関わる重要人物だったということで、彼の記憶にこびりついているのでは。

孤独から日々を数えたら
ひとつの涙に溺れてた

 「孤独」は前にも出ましたね。一人で生き方に迷って苦しむ「日々を数えたら」、自身が心の中で流す「ひとつの涙に溺れてた」なんて、だからそうなる前に相談しろ(それが出来てりゃわけない)。

くだらないならいっそ壊して
歌の中で自由に生きるから

 非術師を守るなんて綺麗ごとは「くだらない」から夏油は「いっそ壊して」、術師の仲間と作った「歌の中で自由に生きる」ことを選択したととれます。
 しかしこれが夏油から五条に向けられたものだとしたら。五条が非術師を皆殺しにすることが「くだらない」と思うなら自分を殺せ、そうしないなら自分は「自由に生きるから」。そう言って去っていく夏油の姿が見えるようでもあります。つら。

何処にでもあるようなものが
ここにしかないことに気づく
くだらない静けさの夜また
記憶に住む僕だけ目覚める

 「何処にでも」からの二行は繰り返しですが、この文脈の中で改めて見ると次のようにも見えてきました。
 普通の少女の笑顔というのはどこにでもあるようだが、非術師のそれは所詮猿の笑顔でしかない。本当の少女の笑顔とは、ミミナナのような術師にしかできない。
 気付いてしまったら最後ですね。
 夏油の目線だとこんな感じですが、視点を五条ととするとなかなか辛いことになります。この歌詞はほとんどが夏油の目線で書かれていますが、ここでスッと五条の目線を入れてきているとしたらどうでしょう。
 「何処にでもあるようなもの」は高校生とその親友との青春、しかしこの二人の絆は夏油と五条の間にしかないものだと気付いたわけです。
 夏油が高専を去ってしまった後の「静かな夜」。「くだらない」と感じるのは、夏油がいなくてつまらないという気持ちがあるからでしょう。
 「記憶に住む僕」とは五条自身のことで、夏油の異変に気付けなかった彼が夢想の中で蘇り、二人で最強だと思っていた懐かしい日々の記憶が脳内で再生される、ということだとしたら。
 急に五条の視点を入れられると心臓に悪いです。勝手に私が解釈してるだけなんですけど。

ここにしかない
君に触れたい
くだらない話でもよくて
赤らめた顔また見せて

 下二行は正直リフレインの要素が強い気がするので前半だけ触れます。
 既に高専を去ってしまって二度と触れることができないところに行ってしまった夏油を今更恋しく思って、「君に触れたい」と思う五条。もう何もかも遅いんですけどね。

孤独under crying

孤独 under crying
めんどくさい 線引きのない
記憶は儚い
昨日にまるで用はない
故に月は暗い 歪むLight
明日は何処行こう


 考察は以上です。恐らくこれから作品をじっくり見るとまた解釈が変わってくると思いますが、一旦今の考えをしたためました。
 ダラダラと長い、しかもまとまりのない文章にお付き合いいただきありがとうございました。
 気が向けばOPでもやるかも?

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