雨上がりの朝

めずらしく寝落ちをして、平日よりも早い6時半ころ目が覚めた。数時間しか寝ていないのに、とてもすっきりとした気分だった。気まぐれにカーテンを開けてみると、柔らかな日差しを感じる。夜中に聞こえた雨の音もしない。

よし、二度寝はあとにしよう。

簡単に着替えて、コートを羽織り、すっぴんのまま外へ出る。ドアを開けると、冬にしては暖かな、涼しいと寒いのちょうど中間くらいの空気が玄関に流れてきた。雨に濡れたすべてのものが、何となく白みを帯びた日差しを受けて、きらきらと優しく輝いている。

ひさしぶりに見る朝6時台の景色に、新鮮な驚きと懐かしさを覚えながら近くを歩くと、東の方の雲が淡いピンクのようなオレンジのような色に染まっていた。普段8時台にしか家を出ない私には、絶対に見られない光景だ。朝の空はこんなにきれいだっただろうか、と少しもったいない気持ちになった。

もう少しだけ先へ歩いたあと同じ道を戻っていたら、全体的に花の咲き始めた木に目が留まった。梅だろうか。雨粒の残った花があまりにもきれいで、柄にもなく写真を撮ってみる。

ピントの合った写真が撮れたことに満足すると、再び帰り道をたどり始めた。土曜日の7時前はまだ街も寝ているようで、人の往来はほとんどなく、生活の音も匂いもしない。冬の雨上がりの空気は、ほどよく冷えてしっとりとしている。そのせいなのか、これまで幾度となく歩いた道も今日はまるで違う世界のもののようだ。

休みの日に早起きするのも悪くないな。

そんなことを思いながら、ベッドに潜り込み、いつものように二度寝をむさぼった。

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