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【ショートショート】桃太郎 2.0

 むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでおりました。
 おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。

[略]

 桃から生まれた男の子を、おじいさんとおばあさんは「桃太郎」と名付けました。
 おじいさんとおばあさんに大切に育てられた桃太郎はみるみる内に小さくなっていき、やがてみずみずしい、とても美味しそうな桃の実になりました。

「昔はこいつも泣いたり笑ったりしてたんだがなぁ……」
 すっかり老け込んだおじいさんは寂しそうに、指の腹で桃を優しく撫でました。
 桃は黙したまま、口を開く気配さえ見せません。


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