耳式とわき式の体温計の計測差を分析した(加筆版)

自宅に以前からある体温計はわきの下で計測するもの(以下、わき式)で、実測式ではないものの予測は控えめで、計測完了まで5分くらいかかります。コロナ禍で子供(2人)の体温を毎朝測らなければならなくなったため、耳の穴で計測できる体温計(以下、耳式)を買いました。ピッ、と1秒で計測できてとても便利なのです。

ところが、ものが届いてやれうれしやと計測してみると、今までのものよりちょっと高めに温度が出ます。これまでより0.5度くらい高く出る感じ。しかも何日かやってみましたがブレもある。これだと場合によっては37.5度を超えてしまう日もでそうです。(結果としてはそこまでではなかったのですが。)

そこで改めてオムロンのサイトを見てみると、確かに体温計(というより計測部位)によって温度が異なって出ると書いてある。

あくまで自宅での参考としての計測で、外に出さないのであればそれでもいいのですが、我が家では上述のように毎朝体温を測って学校に申告しなければなりません(しかも2人分)。体温が急に高くなってあらぬ疑い?をかけられはしないかということで、せっかくの新型体温計なのですが旧型(わき式)と併用して運用していくことにしました。

ということで実は耳式を購入してから3か月余、毎朝わきと耳の両方で計測し続けてデータを蓄積してきました(却って手間が増えてるじゃん!)。このデータを使って体温計差の傾向を出し、これからは耳式だけで計測して値を修正することにして、手間を大幅カットだぜ。

でやってみたのがこちら。

グラフ1

分析といってもやっていることは実に簡単で、両方式の計測値の差分を取って7日間と30日間の移動平均を出しているだけ。最初は単純に全区間平均を出しただけだったのですが、グラフを書いてみたら計測初期(5月あたり)の差が大きく、これはまだ新しい体温計に慣れていなくて正しく計測できていないっぽいなと推測されたので、移動平均も出してみました。

手元にはグラフの基になっている数値データがあって、それによると昨日時点での30日移動平均は0.63度です。なお全く同じことをもう一人についてもやっていますが、こちらだと0.40度。個人差があります。

これで明日からは1秒ピッと計測して0.6度(0.4度)引き算をして、その値を提出書類に書けばばっちりだぜ!

なんだけど、もっと賢いやり方はないもんでしょうか。データサイエンティストな素養をお持ちの方、どなたかアドバイスいただけませんでしょうか?研究者を標榜していながら、こんな程度の分析じゃどうも恥ずかしいし満足しがたい。

(加筆分)分析を少し追加しました!

Facebookで旧知の川原先生からアドバイスをいただきまして、それに沿って検討を追加しました。両方式をグラフのXY軸にとってプロットしてみたらどうかということで、やってみたのがこちらです。

グラフ2

点線青は(Excelが導出した)線形近似、オレンジは私が書き加えたy=xの参考線です。y=0.4064x+21.379という一次関数が求まりました。これでだいぶ良いんじゃないか? しかしR^2=0.2221とあまりよろしくないとのことでいい近似にはなっていないそうです。

グラフからわかるぱっと見の分析としては、耳式は計測のブレが脇式に比べて幾分大きい、と。これは脇式が計測に5分程度かけるのに対して耳式は1秒で1回計測なので、まあそれによるのかなあという気がしています。耳式も1度の計測で10回くらい計測してデータを取っておけば様相が異なった可能性がありますが、まあ現実的にはそれは面倒でやってられません。

そもそも計測データの分布はどんな様子かということでヒストグラムを書いてみたものがこちら。

グラフ4

このグラフでは脇式が2山になっていてちょっと不思議な感じがします。そして両方式では明らかにピークがズレていることがわかります(これまでの分析からそれは自明ですが)。

ここまでやったところで、もう少しまともに勉強してみなければと思い時系列データの解析についてwebのページをいくつか見てみたのですが、どうやら時系列データについては、従来の(非時系列データに対する)相関分析やらの手法を適用してはいけないらしい。時系列データについては、データが周期性を持つことを利用した(自己共分散という?)モデルでモデル化し、そこから誤差がどうとかそういう扱いをしていくようだということがわかってきました。(時系列データに対する統計、という領域になる模様。)そしてそういう解析をRやPythonでライブラリを使って解析していくようです。(そうなんですか?教えて統計詳しい方!

それはそれで興味深いなあと思いつつ、元のデータを見てみると結局これは平均体温に対してホワイトノイズが入っているだけのモデルのような気がする(季節周期や年周期はない、そもそもデータないし)ので、きちんとした解析を始める前に、とりあえずは両方式での平均値を出してその差を取ればそれでいいんじゃないかという仮定のもとに計算してみたところ、人物Aについては耳式計測値から0.6引く、人物Bは同じく0.3引く、ということに。上述の差の平均値と、人物Aについては同じ、人物Bについてはわずかに変わりました。

で、3つ方法での計算式が求まったので、今朝の計測値で推測が妥当か計算してみましょう。

画像4

どうでしょう?まあまあかな?

結局これからもしばらくは2つの体温計でデータを取ることになりそうです。また思い出したら推定してみます。


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