![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57286391/rectangle_large_type_2_8e9f68e047dc2a86fa365f5e8e6fcab0.png?width=800)
JW19.5 兄上は主人公
【神武東征編】エピソード19.5 兄上は主人公
七つ目と八つ目の候補地、無人島の高島(たかしま)と高島山(たかしまやま)の一帯に滞在中の狭野尊(さの・のみこと)(以下、サノ)一行に基づく伝承が他にもあるので、ここで紹介したい。
![7と8の周辺地図](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57281813/picture_pc_0b6b6fc544ca6acbe02c7450197768c9.png)
ここで、長兄の彦五瀬命(ひこいつせ・のみこと)(以下、イツセ)が噛みついてきた。
イツセ「ちょっと待てい! なんや?! 19.5ってなんや!? 20やろう?」
そのとき、三代目水先案内人の宇津彦命(うつひこ・のみこと)が解説を始めた。
宇津彦「すみません。すぴんおふ・・・とかいうやつらしいので、19.5になったんだとか・・・。」
イツセ「これまでも『すぴんおふ』的な話は、ぎょうさん(たくさん)あったやないかっ!」
サノ「まあまあ、兄上。とりあえず、話を進めましょうぞ。」
宇津彦「で・・・では、説明を始めます。前回紹介させてもらった亀石(かめいわ)から、東へ2キロの地点に、イツセ様を祀る、安仁神社(あにじんじゃ)があります。まあ、だから、今回はイツセ様が主人公ってことなんですかね・・・。」
![安仁神社1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57282162/picture_pc_281f1fc3d9191aea467ab47e56ef2324.png?width=800)
![安仁神社2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57282320/picture_pc_a8467d681e08f49c6f3cc13c22a2678c.png?width=800)
![安仁神社3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57282330/picture_pc_ccca7a7e51be1a572bc6208ccc13af1e.png?width=800)
![安仁神社4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57282342/picture_pc_12b80475a1d01dba68c4c4ad498f70d8.png?width=800)
![安仁神社鳥居](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57282352/picture_pc_f30a82ea223ca80947ee88bc602b1204.png?width=800)
![安仁神社拝殿](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57282366/picture_pc_b4e0fc959e245962ed739ca185b80d40.png?width=800)
イツセ「どうだっ! サノっ! わしだけが祀られた神社やっ!」
そこへ当然の如く、次兄の稲飯命(いなひ・のみこと)と三兄の三毛入野命(みけいりの・のみこと)(以下、ミケ)が文句を垂れてきた。
稲飯(いなひ)「兄上だけ、ずるいですぞっ!」
ミケ「そうっちゃ! ずるいっちゃ!」
宇津彦「安心してくださいっ。お二人も、ちゃんと祀られてますからっ。」
稲飯(いなひ)・ミケ「えっ!?」×2
宇津彦「主祭神はイツセ様ですが、お二人も祀られてるんですよ。」
稲飯(いなひ)・ミケ「初めて祀られたっちゃっ!」×2
イツセ「ちなみに、古来は兄神社と表記されてたらしいな。」
宇津彦「そうなんですよ。ちなみに、現在の地名でいうと、岡山市東区の西大寺一宮(さいだいじいちのみや)に鎮座しております。宮城山(みやしろやま)という山の中腹に作られた神社です。」
![宮城山](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57282566/picture_pc_5f38a47da162735fb7565248b299b5be.png?width=800)
イツセ「それから、安仁神社の近くの東片岡には、かつて稲戸(いなど)という地名があったそうやな。わしが兵糧を備蓄したことが由来らしい。」
![東片岡](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/73866991/picture_pc_b8d33ca7ae1036da2b24eb763bd5c6cd.png?width=800)
サノ「な・・・なにゆえ、今はないのですか?」
イツセ「字名(あざめい)といって、かなり狭い区域を指す地名やかい(だから)、住所では使われんようになったみたいや。岡山市教育委員会文化財課の方にも協力してもらったが、分からんかった。残念だが仕方がない。」
ミケ「次に紹介するのは、安仁神社から北に5キロほどいった地点の山間部にある、麻御山神社(おみやまじんじゃ)っちゃ。」
サノ「兄上、この神社は?」
イツセ「これはな、麻を植えて、それを元に東征のための服を作ったという場所なんや。現在の地名でいうと、岡山市東区の邑久郷(おくのごう)になるっちゃ。」
宇津彦「ちなみに、山そのものも麻御山(おみやま)っていいます。」
![麻御山神社1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57284451/picture_pc_72f9cdea71beb4df29b05a512c699732.png?width=800)
![麻御山神社2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57284034/picture_pc_7c75ad3dd7179819653a8e3c05725bf4.png?width=800)
![麻御山神社3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57284042/picture_pc_6596b6f1ebb5d64ac23632b4086a14f0.png?width=800)
![麻御山神社鳥居](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57284053/picture_pc_87ffc4b83e88ec6dbee30d3104d41a93.png?width=800)
![麻御山神社の門](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57284062/picture_pc_4aacdfb78f04696656ebe6baa0a09fdd.png?width=800)
![麻御山神社拝殿](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57284070/picture_pc_fa1acbf362e1d5f715994b33d5d4110f.png?width=800)
サノ「兄上っ! これも兄上に関することにござりまするか?」
イツセ「そうやっ! わしがいろいろ段取りしちょったことが分かったやろ?」
サノ「よく分かりもうした。兄上のおかげで、東征を続けられたことが・・・。」
イツセ「そういうことや。他にも、船を造った大工に『御船(みふね)』という姓を与えたという伝承も残ってるんや。」
そこに、一代目水先案内人の椎根津彦(しいねつひこ)(以下、シイネツ)が、突如乱入してきた。
シイネツ「イツセ様・・・。今回の主人公は、イツセ様だけではないっちゃ。」
イツセ「なっ!? それはどういう意味っちゃ?」
シイネツ「うちを祀ってる神社もあるっちゃ!」
サノ「一代目だけを祀っておるのか?」
シイネツ「そうっちゃ! では、三代目。説明を頼むっ。」
宇津彦「かしこまりました。亀石(かめいわ)から北に3キロほどの地点にある神社です。その名も神前神社(かむさきじんじゃ)です。」
シイネツ「現在の地名でいうと、岡山市東区の神崎町(かんざきちょう)っちゃ。」
![神前神社1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57284471/picture_pc_6ff5a3b62aa4e91aea7efdcaac7a4f4b.png?width=800)
![神前神社2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57284795/picture_pc_4747f0698230d9377a2669cdac12ade1.png?width=800)
![神前神社3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57285251/picture_pc_5fba8a9566625800eae6f12faa68709f.png?width=800)
![神前神社4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57285273/picture_pc_d4aa5efd9c1e6a1b4f943545a9ff19b0.png?width=800)
![神前神社5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57285289/picture_pc_89de3c4952456b5005f1861358671dd1.png?width=800)
![神前神社鳥居](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57285298/picture_pc_75cf0e9ac28b406f0d940725e912acc1.png)
![神前神社拝殿](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57285308/picture_pc_6ec520d487f8374152f9021a98153d0e.png)
満足気なシイネツの傍らで、サノが一同を見回した。
サノ「さてと、これで、紹介は全て済んだのか?」
宇津彦「はい。これで岡山県の伝承はおしまいです。」
サノ「兎にも角にも、高島宮(たかしま・のみや)の候補地や、兄上の神社を紹介している間に、吉備(きび)の地に水稲耕作が浸透したようじゃな。」
稲飯(いなひ)「では、そろそろ吉備の地を発つと?」
サノ「名残惜しいですが、そうなりまする。」
イツセ「これからは厳しい旅となるやろう。皆、気を引き締めていかにゃならんぞっ!」
一同「おうっ!!」×12
サノ「ん? ×12とは、どういうことじゃ。一人足りぬぞ?」
宇津彦「すみません。僕はここまでです。」
サノ「なにゆえ、そうなるのじゃ?」
宇津彦「僕は水先案内人として、芸予海峡(げいよかいきょう。広島県と愛媛県に挟まれた海峡)の先導が仕事でしたので・・・。」
![芸予海峡](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57286002/picture_pc_43603cf0140b44016526528284dd70bd.png?width=800)
稲飯(いなひ)「吉備まで付いてきてもらっただけでも、出血大サービスっちゅうやつなんやな。」
一同「さあびす?」×13
宇津彦「最後まで、様式美のボケをやってくださり、感無量です。旅の安全と、宿願成就を祈念致しております。」
サノ「これまで本当に世話になったな。」
宇津彦「こちらこそ・・・。それと、これが家島(いえしま)までの地図です。ここで四代目が待っています。」
![家島まで](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57286365/picture_pc_746a1ce0c1de778a90a2b81dd9249c6f.png?width=800)
こうして、三代目こと宇津彦は、地元の大崎下島(おおさきしもじま)に帰っていった。
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