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JW19 高島宮 七と八
【神武東征編】エピソード19 高島宮 七と八
興世姫(おきよひめ)と別れた狭野尊(さの・のみこと)(以下、サノ)一行は、嵐に遭遇した。
そんな危機的状況の中、一行を先導する者が現れた。
二代目(一号)「ンア~。」
サノ「おおっ! 二代目っ! 助かったぞ!」
二代目(一号)は、一行を荒波の届かぬ湾に導いて避難させた。
この湾が、水門湾(すいもんわん)である。
![水門湾へ](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56884237/picture_pc_57beb9559abb21a83e53e89b055206eb.png?width=800)
二代目はそのまま、役割を終えたからなのか、石になってしまった。
ここで、一代目水先案内人の椎根津彦(しいねつひこ)(以下、シイネツ)が説明を開始した。
シイネツ「現在は亀石神社(かめいわじんじゃ)が建ってるっちゃ。ちなみに、亀石(かめいわ)は、亀そのものではなく、化身ともされてるに。岡山市東区の水門町(すいもんちょう)にある神社で、旧暦6月15日には満潮祭(まんちょうまつり)がおこなわれてるんやに。」
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56885108/picture_pc_a31c508c9a8d07b551eafdeceff2154c.png?width=800)
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56885229/picture_pc_10c48cde8ae17136479ea3544cbd41cf.png?width=800)
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56885326/picture_pc_0c61bd55c4c8b858852c86020600b233.png?width=800)
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56885404/picture_pc_ec135b22f20dc1e715886040d19f4908.png?width=800)
![画像6](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56885538/picture_pc_e6965916834365251894911bef679177.png?width=800)
![画像7](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56885721/picture_pc_24dd75b31ac67887a2d923ce596f8076.png?width=800)
![亀石神社拝殿](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56885802/picture_pc_97762509e9ae01842a0151d2f091a9f8.png?width=800)
![亀石神社社殿](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56885817/picture_pc_37ecd0849090fc681ba3c679bc3fb69b.png?width=800)
![亀岩](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56885844/picture_pc_807a6f0f4f2b3628a7ccf1b0611ffd33.png?width=800)
![亀石神社説明版](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56885866/picture_pc_86de43fef5fc82a13ec1717aa4fc02ec.png?width=800)
サノ「満潮祭? 亀石まつりのことではないか?」
シイネツ「さすがは我が君! そうとも呼ばれてるっちゃ。ちなみに、この祭りは、帆柱から山形にちょうちんを飾り付けた、シャギリ船という船が、笛や太鼓などを演奏しつつ、水門湾内を巡って、五穀豊穣を祈る祭りなんやに。」
![シャギリ船](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56885886/picture_pc_d156029bdbde296b4e591d6ce70767e4.png?width=800)
ここで、宇津彦命(うつひこ・のみこと)が三代目として、司会の役目を奪い取った。
宇津彦「この水門湾に直結しているのが、児島湾(こじまわん)です。この児島湾に浮かぶ無人島に、我々は辿り着いたんです。」
![児島湾](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56886050/picture_pc_dae20e95d7359d7e57e36950fe44416e.png?width=800)
サノ「もしや、その無人島が、高島宮(たかしま・のみや)の七つ目の候補地では?」
宇津彦「その通り! この島の名前は、ズバリ、高島(たかしま)です。岡山市南区にある島です。神社の名前も高嶋神社(たかしまじんじゃ)です。」
![高島](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56887808/picture_pc_c99731670f4537aae398ae3fbd4bdd9b.png?width=800)
![高島神社](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56887982/picture_pc_9ff1a9a7496aae8192053ed3fb3b5e6c.png?width=800)
![高島神社2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56888127/picture_pc_871a1981f2b1b037e607e114907c3702.png?width=800)
![高島神社拝殿](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56888447/picture_pc_a68ddfe9f2fdfa698a479a0aeeb6c3f8.png?width=800)
![高島神社の碑](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56888470/picture_pc_18470a283e0173073a7202ba99b4974d.png?width=800)
![神武天皇顕彰碑](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56888485/picture_pc_dc8fe4b81390b4aacad6f653c1bf9174.png?width=800)
ここで、博学の家来、天種子命(あまのたね・のみこと)がツッコミを入れてきた。
天種子(あまのたね)「まんまやないか!」
宇津彦「そんなこと言われても、仕方ないじゃないですか。」
サノ「名前など気にはせぬ。それより、どうしてここが候補地なのじゃ?」
そのとき、一代目水先案内人のシイネツが司会役を取り返した。
シイネツ「よくぞ聞いてくださいました。江戸時代の大規模干拓がおこなわれる前の児島湾(こじまわん)は、水島灘(みずしまなだ)とつながり、主要航路になってたんやに。交通の要衝ってことっちゃ。」
![児島湾の今](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56888894/picture_pc_aaf403255ae1c1e551028af8cefb0577.png?width=800)
![児島湾の昔](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56889048/picture_pc_934b0d534e2e03806c2e4967ad7fe6c3.png?width=800)
サノ「なるほど・・・。じゃっどん、稲作をするのに、無人島を選ぶとは思えぬが・・・。」
シイネツ「さすがは我が君! ここで八つ目の候補地が関連してくるわけっちゃ。」
天種子(あまのたね)「八つ目がここで出てくるんやな。」
ここで宇津彦が、司会の座を奪い取った。
宇津彦「その八つ目というのが、児島湾より北に位置する、高島山(たかしまやま)です。JR岡山駅から北東に約5キロほどの場所にある龍ノ口山(たつのくちやま)一帯を指します。」
![龍ノ口山](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56889518/picture_pc_69e91f1c2f6d88883d30ce3f6bb3d32d.png?width=800)
一同「・・・・・・。」×13
宇津彦「今回は、じぇいあある? って言わないんですね!」
ここで、次兄の稲飯命(いなひ・のみこと)が乱入してきた。
稲飯(いなひ)「山の南西に位置する尾根には、高島神社(たかしまじんじゃ)があるじ。高島宮址と書かれた石碑もあるっちゃ。覚えておいてくれよなっ。ちなみに、後の世には、備前(びぜん)の国府が置かれてるっちゃ。」
![高島山の神社1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56890050/picture_pc_63d144426c696639245860ad2c31014f.png?width=800)
![高島山の神社2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56890230/picture_pc_ee4940fa77fd500a838a611194de4e29.png?width=800)
![高島山の神社3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56890391/picture_pc_5cb9d09bcd4108bb942ba0370a9a3fdd.png?width=800)
![高島山の神社4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56890489/picture_pc_a4283fd2aa805536e893b7f8fd095e1c.png?width=800)
![高島山の神社拝殿](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56890527/picture_pc_787384a1a11180fa0af0333580873cd8.png?width=800)
![高島山の石碑](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56889593/picture_pc_2100f2a630bff85ed6a2d6923333a796.png?width=800)
宇津彦「この地域は、古来より穀物豊穣の土地だったみたいです。間違いなく、我が君の御指導の賜物ですね。」
サノ「なにゆえ、そのようなことが分かるのじゃ?」
宇津彦「実は1968年(昭和43年)に、山から数キロ離れた地で、遺跡が発見されたんです。その名も津島遺跡(つしまいせき)。岡山市北区にある遺跡です。」
![津島遺跡1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56890753/picture_pc_0d8477f8e5751660e54e3a144c2a7cb4.png?width=800)
![津島遺跡2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56890823/picture_pc_0cf750c87115cee02d82290354e99d51.png?width=800)
![津島遺跡3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56890895/picture_pc_198ae759aba9f7cab1232cc4c3755f78.png?width=800)
![津島遺跡風景](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56891009/picture_pc_bd26ed16de35164a314ac82d62a6f6ba.png?width=800)
![津島遺跡風景2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56891025/picture_pc_e109f69ab27b184b07e070150af4a548.png)
天種子(あまのたね)「その遺跡がどうしたんや?」
宇津彦「遺跡から、弥生時代前期の水田と集落の跡が、一緒の状態で発見されたんです。日本初です。更に、旭川(あさひがわ)を隔てて東側にも遺跡が見つかりまして・・・。」
サノ「それも同じような遺跡なのか?」
宇津彦「百間川遺跡群(ひゃっけんがわいせきぐん)と言いまして、同時期の水田跡が見つかってます。ですから、この高島山は、吉備(きび)でも、かなり早くから水稲耕作がおこなわれていた地域なんですよね。」
![百間川遺跡群1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56891278/picture_pc_0f35d90b26b0f734d1ac808baa340179.png?width=800)
![百間川遺跡群2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56891438/picture_pc_e8fd000f57b542c8c2b0dda2b4c25365.png?width=800)
![百間川遺跡群3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56891491/picture_pc_0a2c6610c31094f2fc8627f5463a8474.png?width=800)
![百間川遺跡群風景](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56891567/picture_pc_2ccae9b5249047d05994d1c5c62298b9.png?width=800)
シイネツ「この地域は、三角州(さんかくす)で、二つの遺跡は氾濫原(はんらんげん)になるっちゃ。だけん(だから)、この地の人々は、微高地に集落を築き、低地に水田を作ってたんやに。」
宇津彦「氾濫原というのは、洪水時に、川筋から氾濫する低地帯のことです。」
稲飯(いなひ)「そして、ここで採れた米が、児島湾を通じ無人島・・・もとい高島に移送されたということか。」
サノ「なるほど・・・。そこで七つ目の高島とつながってくるわけか・・・。」
宇津彦「なので、七つ目と八つ目を合わせて、一個と見てもいいんじゃないかって思ってます。」
稲飯(いなひ)「汝(いまし)が勝手に決めるなっ!」
宇津彦「いやっ! どっちかっていうと、作者の考えで、僕の考えじゃないんですけど・・・。」
![画像38](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56891602/picture_pc_e322dfba469b8668397e9ebe67d7da3b.png)
サノ「とにかく、これで、高島宮(たかしま・のみや)候補地八つ、全部出揃ったわけじゃな?」
宇津彦「はい。しかし、岡山県の伝承はこれだけではないんですよ。」
一同「おかやまけん?」×13
宇津彦「そこは言うんですねっ!」
そのとき、長兄の彦五瀬命(ひこいつせ・のみこと。以下、イツセ)が高笑いを始めた。
イツセ「はっはっはっはっ!」
サノ「ど・・・どうなされましたか? 兄上?!」
イツセ「次回は、わしが本編の主人公になるのかと思うと・・・。これが笑わずにおられようかっ!」
次回、彦五瀬命が主人公になるらしい。
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