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【お話26 逃避と観葉植物】

カラカラに渇いている。
観葉植物が植えられた土の表面に、指を指した。
全く沈むことのないその感覚に、思わず顔をしかめる。
深い緑色の葉をなぞる。
埃で、指先が曇ってしまった。

 息苦しいね。

心の中で、観葉植物に話しかけた。
一枚だけ、埃を指で拭い取る。

平日のお昼。図書館の中はそれなりに騒がしい。
年齢が高めの人が多い。
誰も目を合わせることはない。
こんなところでしゃがみ込んでいても、何も言われない。

 でも、ここが私の居場所ってわけじゃない。

立ち上がりながら、観葉植物に話しかける。
誰からも返事なんてこないんだから、木に話しかけたって同じ。
重たい身体を引きずって、歩き出す。

 木よりマシなところは、歩いていけるところだ。

もう少し息がしやすいところへ。
そんなところがあるのか知らないけれど。
俯いて歩き出す。

お前はもっとできると、教えてください。