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204.つぶやき。

娘よ。

お誕生日おめでとう。

あなたを産んだ時、お母さんは出血量がとても多く、子宮の戻りも悪くて、その上三人目だから覚悟はしていたけど、

後陣痛が凄まじすぎて、

脂汗がだらだら出て、食いしばりで奥歯が痛くなるほどで、

あまりにも予後が良くないからと、入院が何日か延びた。

その間、とにかく胸がざわついて、かなり精神的に不安定になった。

それはきっと

「予感」

だったのだと思う。

その後自宅へ帰り2週間もたたないうちに、父親がひどい鬱病で倒れ、産褥期と介護生活を同時にすることとなった。

その2週間後、父が大学病院へ入院することになり、少し生活が落ち着いたかと思った頃、

今度は母親が再婚先でひどいDVに遭い、ハンマーで殺されそうになったと連絡があり、急遽うちで保護する流れとなった。

もちろん産後一か月の赤ちゃんだから、三時間おきに授乳でゆっくり寝れるはずもなく、途方に暮れてあなたとお母さんは二人でわんわん泣いていた日もあった。

産後一か月過ぎたくらいの時に、私は40度以上の高熱を数日間出して、身も心も傷付いてボロボロになって弱っていた母に看病して貰っていた。

やっと休めた。やっと一息つけた。

けれども、母は恐怖でいっぱいで、精神状態も不安定なのに、私がしっかりしないでどうする?

父の面会にも行かなきゃ。

上の子二人のことも全然構えていなくて、寂しい思いをさせている。

その時に、お母さんはあなたとずっと一緒にいるけれども、ずっと両親のことや自分の体調や母親としての役割のことに気を取られて、

心ここにあらずだったことに気が付いた。

その後も次から次へ色んなことが起こってずっと忙しくしていたから、あなたはすごく寂しい思いをしていたのではないだろうか、と思うことがある。

一番スキンシップを取りたがるので、きっと一番多く触れ合ってはいるけれども、あなたは安心の上にいるのだろうか、と気になる時がある。

気付いたら、もう10歳。

さっき、模写した絵をお兄ちゃんにもお姉ちゃんにも見せないけれど、お母さんに見せてあげる、と言ってこっそり見せてくれた。

「恥ずかしくて誰にも見せたくないんだ。」

と言いながら見せてくれて、お母さんはすごく嬉しかったんだ。

そして、何か悩んだり辛いことがあったら、お母さんにはちゃんと話すね。と言ってくれた。

当たり前のことだけど、当たり前じゃないよな、と思った。

あなたは「心配」よりも「信頼」をずっと伝えてくれていたんだね。

ずっと信頼しています、という気持ちを伝えていてくれた。

ありがとう。

あなたの誕生日を祝いながらも、同時に私があなたに感謝する日にもなった。

あなたのお母さんで居させてくれてありがとう。


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