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森の幼稚園の効果(ペーターヘフナーの研究について)


自分が森の幼稚園を知ったのは2013年の大学1年生の時でした。

当時はボランティアとして、国立自然少年の家で活動する機会が何回かありました。それをきっかけに「自然教育」について興味を持って、なんとなしにインターネットで調べてみたんです。

その時に知ったのが「森の幼稚園」という存在でした。たしか、ドイツの森の幼稚園を何日間か体験された方が書かれたレポートを読んだ記憶があります。その中に書かれていた興味深い内容の一つが、ペーターヘフナーによる森の幼稚園の効果について書かれた論文です。

森の幼稚園は園舎、遊び道具、時間割りが無い状態であるにもかかわらず、森の幼稚園出身の子どもと一般の幼稚園出身の子どもを比較した際に、あらゆる面で森の幼稚園出身の子ども達が優れた結果を示したという内容に衝撃を受けました。

その時の自分は衝撃を受けるだけにとどまらず、「なぜ無い無い尽くしの場所で育った子ども達が、恵まれた環境のところで育った子ども達よりも、良い結果が出せるのか?」という疑問を強く持ち、森の幼稚園に引き込まれていきました。

結局、その疑問を解決する為に、2014年にドイツのフライブルクへ3週間留学し、その内の1日で実際に森の幼稚園を体験することが出来ました。

で、「1日だけじゃよく分からん、森は春夏秋冬で変わるんだから、森の幼稚園を知る為には最低でも1年間は現場にいないと分かるわけない」という気持ちをその時に持ったので、2017年にドイツのボン大学へ1年間留学すると同時に、ケルンにある森の幼稚園で1年間の実習をさせてもらいました


そういうのを経て現在に至るのですが、やはり個人的なきっかけとしては「ペーターヘフナーの研究」はかなり大きいモノだったように思います。

これまでその研究を記事にしていなかったので、今回書いてみようと思いました。

 まず、これがヘフナーさんの論文の原本です☟

https://archiv.ub.uni-heidelberg.de/volltextserver/3135/1/Doktorarbeit_Peter_Haefner.pdf

全体で206ページですが、参考文献とかをのけると実質173ページです。

2002年に書かれた論文なのでちょっと古いです。新たな論文の登場が待たれます。個人的にはAusbildungの論文でヘフナーさんみたいなモノをやってみたいなって気持ちはあります。

Drを取得するために書かれた論文ですので、自分が書く時はもう少しランクを落としても良いとは思いますが、メチャクチャ参考になる例として使えるのはとても有難い。

今後は「今日のドイツ語」の題材として何回かに分けて訳していくのも良さそう!


今のところ取り敢えずは、大学生の時に作ったプレゼンを元にしてヘフナーさんの論文を紹介したいと思います。


このグラフが研究結果の要約的な感じです☟
(自分で日本語訳してます)


ドイツと日本のグラフの表記の仕方が違うので注意


全ての領域において、森の幼稚園出身の子ども達の方が一般の幼稚園出身の子ども体よりも、より良い評価を得ていることが分かります。


それぞれの領域を詳しく見ていくとこんな感じ☟


細かく見ると、所々で一般の幼稚園出身の子どもの方が優れていた部分もありますが、総じて森の幼稚園出身の子ども達の方がより良い評価を受けています。

個人的に凄いなと思ったのは、「領域1:動機・忍耐・集中」、「領域2:社会的行動」、「領域3:授業中の協働」にて、結構大きな差がついていたことです。

これらの能力はいわゆる「非認知能力」と言われるもので、それらをちゃんと育てることが出来ているのは良いことだと思います。また、ヘフナーさんは調べていなかったのですが、個人的見解ですけど、身体能力についても以下の点で、森の幼稚園は子ども達に良い影響を与えているのではないかと思います。

まぁ、森の幼稚園は、

・登降園や食事以外はすべて自由遊び☞子ども達のやる気を促進し、集中力を高める

・森には危険がたくさん☞子ども達はルールを守る必要性を知る

・遊具が少ない☞我慢をしたり、一緒に使ったりすることを学ぶ

・異年齢保育☞お兄ちゃんやお姉ちゃんとしての自覚が社会的行動へとつながる

・子ども達が協力して遊ぶ☞コミュニケーション能力や問題解決能力を磨く

・周りの自然環境への興味☞好奇心育て、創造的な思考を養う

といった側面があるからこその当然の結果だと、自分は思ってます。

まぁ、2002年の結果なので古い感じは否めません。新たな研究を自分が出来たら良いなと思います。

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