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11月のあるわびしい夜に至るまで

振り返ろうと思っているうちに12月になってしまいました。
…というわけで、劇団TremendousCircus「フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス」の振り返りです。

劇団TremendousCircusさん(以下トレメンドス)との出会いは去年の6月公演、雪白姫のオーディションでした。
わずか1年ちょっとで、というか、この1年で早くも4本目の出演でした。

前回は古典作品のサロメ、動き(通称:群舞)もめっちゃ多かったのですが台詞劇ということもあり、役の心情に表現の重点を置いて居ました。
なので、終わってからも随分と色々引きずってしまい、気持ちを整理する為にnoteを始めたくらいです。

で、今回は今までで1番「原作に忠実」で、菊間史上最多の兼ね役ということもあり、「フランケンシュタインの世界をトレメンドス風に具現化する」というのが、ひとつひとつの役よりもウエイトが大きくなった感じでした。
あくまで、サロメに比べて、ですけども。

なので、ウォルトンは終演後さっさと次の探険の旅へと向かってしまったような感覚です(笑)

ご覧いただいた方は感じて頂けるかもですが、ウォルトンに対して演出側からオーダーされていたのは「とにかくテンション高く、レースの実況MC」でした(笑)
ということで、私がイメージしたのは古舘伊知郎さんの喋りと松岡修造さんのテンション、それにちょっとの青臭さみたいなのを入れて、あんな感じのウォルトンになりました。
トレメンドスでまさか「勇気が胸にある限り、夢は必ず叶うんだ!!」なんてキラキラな台詞を言うとは思いませんでしたよ(笑)
元気な少年のような役が似合うと好評で嬉しいかぎりですが、彼、原作では28歳くらいのはずですがね、探検家なんてやってるからには心は少年でしょう(笑)

脚本・演出の円さんからも、度々「明るくなったよね。前、そんなキャラじゃなかった気がする」「実は菊間さんて明るい人なのかもって思って、明るい役にしてみた」ナドナド…

そうですね、やっと自分に正直になれたのが今年入ってからなので(多分シンデレラくらいから)、雪白姫の時はまだモヤモヤした感じで、プライベートでも悲しい出来事があったりとかで、何故か無限に湧き出る「悲しい」に悩まされていました。

感情のコントロールが本当に上手く出来なくて、スピリチュアル的な色々もかじってみたりして、そこで1番劇的に効果が出たのは、アニマルコミュニケーションの講座で、準備段階として組み込まれていた感情解放ワークでした。
これは後日気が向いたら書きましょう。

そんなこんなで、感情表現を克服出来た結果、今は芝居が楽しくて仕方ない(笑)終演直後から「あー、芝居したい」となってます。

さて、ウォルトンは非常にシンプルな人なので、感情よりも技術的に苦戦した感じでした。
冒頭からの長ゼリフ、ステージ中央の高いところ(通称:4段目)に上がる頃には息が切れておりまして…(´Д`;)
なんならセリフの2ブロック目、友達欲しい話の辺りで、もうすでに息絶え絶え…(ーー;)
セリフのメリハリをつけながら、スタミナ回復ポイントを作って、最後の「姉さん聞いてるー?」は意地でも絶対テンションを落とさないという気合いで乗り切った感じでした。
トレメンドス参加4作目、やっとこの長さの台詞が喋れるようになりましたよ!!
出演2作目5月のシンデレラの時点では、この長さであのテンションは無理だったと思います。トレメンドスにおいて稽古の全力外郎売はマジ大事。
発声も筋トレなんだなぁと実感しました。

先にちょっと触れたように、今回は兼ね役も振り幅がすごくて、1幕で3度美味しい菊間でした。
ウォルトンは原作読んでも冒頭と最後しか出ないので、合間は便利屋さん状態(笑)
名前の付いている役だけでも、ヴァルトマン教授、ヤウズ、カーウィン。ちょっと別枠で怪物の耳。
台本上名前のない役やナレーション的なセリフもあり、実は合間にタンバンリンとか叩いていたりもして、大忙しでした。


中でも、怪物の回想のド・ラセー一家の更に回想で出てくるトルコ人商人ヤウズは悪役ポジションでとても楽しくやらせて頂きました(笑)

キャスティングは、メインの役以外はたいてい後から稽古場で決めていくのですが、「ヤウズとムラトどっちがいい?」となって、「どっちでも大丈夫ですが、ヤウズだと大臣再来しますけど?」「じゃあ再来させましょう!(笑)」という感じで決まりました。結果、その後の判事さん(名前は呼ばれないけどカーウィン)が良い人なので、対比ができて良かったと思います。
シンデレラの大臣は黒幕だったのでザコっぽくならないよう余裕のある態度を意識してましたが、ヤウズは小者なのでむしろザコ感が出てたらいいな(笑)
「小銭入れてやろ、チャリーン」が稽古場で人気だったのが嬉しいです(笑)

中々キャラが定まらなかったのがカーウィンさんです。
ヴィクターが遺体となったクラーヴァルと再会する所の、ヴィクターの話をまともに取り合ってくれた数少ない人物です。怪物のこともちゃんと信じてます。
英国紳士な感じ、にしたかったのですが、そういう役の方が色がつけにくいのでキャラ付けが難しいと感じました。

カーウィンが終われば後はクライマックス。
またウォルトンに戻ります。
台本をもらった当初は、どうしても怪物の方に感情移入してしまい、ウォルトンの気持ちとなかなかリンク出来なかったのですが、ウォルトンの「確かにお前は不幸に生まれたかもしれない、でもそれは、お前の罪を正当化する理由にはならない」という台詞が大事なキーワードになりました。
これ、現実の世界でこそ声を大にして言いたいことじゃないですか?

犯罪の根底を見ると、多くはその人の不幸がきっかけだったりする。でも、自分が不幸だからといって、他の誰かを不幸にして良いわけがない。
怪物サイドで見てしまう作りの作品だからこそ、この台詞は大事に届けなければ、と思いました。

というわけでだいぶ長くなりましたが、今回もありがとうございました(*´`)

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