聞かれれば 明らかになる その思い

「～じゃああんたは、将来何になりたいの？」
しばらくの間、答えられなかった。僕の記憶が正しければ、そんな質問をされたのは初めてだった。だからそのとおり答えた。
「わかんない。誰にもそんなこと聞かれたことないから」

『アーモンド』ソン・ウォンピョン著

アーモンド (祥伝社文庫 そ 4-1)

先日お話を聞いた方にとある質問をしたら、「そんなことを聞かれるなんて思ったことが無かったから困った。でも、考えるきっかけになった」と仰った。

普段考えているつもりでも、いざ聞かれると答えられないことってある。思考から言語化に至るには、少し労力が必要だ。いざ言葉にしてみると、思っていることとは裏腹なことを言ってしまったりする。

けど聞かれることによって、その思いには明かりが照らされる。自分の考えを掘り起こすきっかけになる。自分がどのような考えを持っているかが明らかになる。

「聞く人」は、言語化以前の思いに問いかけます。
その思いを、明らかにします。