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小説「父、ハニ丸、大村くん」

バックパックブックス刊行のMake some trips! vol.2で小説「父、ハニ丸、大村くん」を寄稿させて頂きました。

初めて書いた小説ではあるけど、私の考えと地続きなところで言うと、これはエッセイに近い気もする。

それでも、エピソードはフレッシュなフィクションであり、そこにいるのは私ではない。
いや、もしかしたら私なのかもしれない。

主人公「薫」は、異性愛者だと自認しているが、異性愛ができない。
「しない」ではなく、「できない」から、必ず葛藤が生じる。

その葛藤している瞬間が、「薫」にとっては日常の風景とはなり得ず、どこか限定的な思い出として蓄積される。
ーそれは曖昧で美しくも悲しい旅であり、だからこそ、旅から帰ってきても、日常と非日常の境目が分からなくなってしまう。

そんな時、「ハニ丸」という雑種犬が優しく「薫」に語りかける。それもまた、旅は日常になり得ないという、「薫」にとって確たる気付きになってしまう。

しかし、私は思ったのだ。だから、美しいのだと。

この小説を読んだ信頼する人から「ぜひ続編を」と言われてとても嬉しかった。なぜなら、私も「薫」の旅の続き、いや、旅との向き合い方を知りたいと思っていたからー
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Make some trips!は、バックパックブックスの店主とお客さんたちが旅についてエッセイを寄せたZINEです📕

ぜひぜひ、代田橋のバックパックブックスに遊びに行ってください〜

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