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【書評】こんなんいかが?

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忘れた頃になんども読み返す愛すべき紙の束。カバーについた手指の脂、紙の匂いと手触り。それはともに過ごした時間の記憶。本はもはや生きもの。
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2024年2月の記事一覧

そこは愛すべき懲りない神々の棲息地。ルシア・ベルリンが静かに照らし出す。

そこは愛すべき懲りない神々の棲息地。ルシア・ベルリンが静かに照らし出す。

隣にいてただ一緒に眺めてくれればいいい

 「アメリカ文学の静かな巨人」リディア・デイヴィスが絶賛して知られるようになったのが、いわば市井の書き手のまま没した同じく短編作家のルシア・ベルリン。
 その作品群。
暗黒の底にいながら、到底届いていないはずの光の束をひとり静かに見つめている。
彼女のそんな凛とした姿が浮かんでくるようです。

 母の自死、三度の離婚、四人の子どものシングル

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