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それはまるでVRの世界 デ・キリコ展 東京都美術館 感想

 今日は東京都美術館でデ・キリコ展を見てきた。デ・キリコのことはうっすら知っていたけれど、どんな作家なのかと問われたら答えられないくらいの知識しか持ち合わせていなかった。
 展示に記されていた彼の年表を見ると、誰かと一緒に括られないような道のりを歩んでいた。一方で古典作品やルノワールへの影響を受けたと明確に分かる作品もあって、バラエティ豊かな作品達だった。

 彼の作品は、建物であっても静物であっても、はたまた人間もしくは彼が頻繁にモチーフとして用いたマネキンであっても、ちょうど今この世界に現れたのかのように思えた。彼の描くのは対象物そのものというよりも、それらのイデアと言えるような代物だった。
 そんな彼の絵画は、VRのワールドに置かれたモノやキャラクターを連想させた。それを表現するならば現代の3Dモデリングの方が優れているようにも思える。しかし彼は、風景や立体感といった、それらを包むものまでも3次元の世界ではあり得ないようにアレンジして表現してみせた。
 彼が現代の芸術をどこまで想像していたかはわからないけど、もはやそれをすでに追い越しているかのような作品に驚きを覚えた。

彼の作品はこれだけにとどまらず、過去の自身の作品をオマージュした作品も作成していた。現代で過去の有名な作品をオマージュするような流れを先取りしているようで、そこもまた驚きであった。

ちょっと難解でとっつきづらい作品のように思えるけど、新たな発見と驚きに満ちた展覧会だった。夏休みとか会期後半になったら混んできそうなのでおはやめにどうぞ。それでは。

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