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【エッセイ】アウトリーチについて

私の勤めている絵画教室はカリキュラムが美術史に則って組まれているというユニークな特徴を持っています。

絵画教室という場は指導が講師の恣意的な美術の理解に基づいたものになりがちという問題を抱えているように思いますが、それを美術史の参照という工夫でクリアした社長のアイデアにとても魅力を感じています。そのため働くのが楽しいです。

他には講義形式のコンテンツもあって、美術関係者などが登壇する美術にまつわるトピックのレクチャーを受けることもできます。私も一度登壇して「美術作品とタイトル」について論じました。

そうした職場で先日生徒さんと授業の合間に美術史についてお話ししていたら、どうやらその方はニューアートヒストリー的な内容に興味があるようでした。

というのも、近代以前に絵は鑑賞の対象ではなく使用されるもの(信者の教化、儀式での使用、王家の顕揚など)だったという話をしたら、かなり興味を惹かれていたからです。

それがかなりいいリアクションだったので、美術史にも方法が複数あって、かたちに着目したり(フォーマリズム)、意味に着目したり(イコノロジー)、生産や用途に着目したり(ニューアートヒストリー)、色々な歴史の編み方があるという話をしてみたら、目から鱗のようでした。確かに美術史って「ひとつしかない」みたいな感じしますよね。分かる。でも解釈の方法だけ歴史ってあるんですよね。

そういう美術史"史"みたいな話って面白いと思うし、それに加えてニューアートヒストリー入門みたいなレクチャーとかしてみたいなぁとぼんやり思いました。そのための勉強とか楽しそうだなみたいな。



あと先日、生徒さんから「指導に熱を感じる、夢を持ってる人という感じがする」と言ってもらえて嬉しかったです。

自分の絵画指導はバイトだからしぶしぶやっているという感じではなくて、自分個人のアウトリーチプロジェクト(美術の楽しさを広く伝える)の一環として、自分ごととしてもやっているつもりなので、まあ熱も入ります。この熱量を持って、もっと色々な人に美術の楽しさを伝えていきたいなと思いました。それが今回の生徒さんのお言葉から「伝わってるんだな」みたいな気持ちになって、より頑張ろうみたいな気持ちなりました。



後期になったので今年も大学の授業が始まりました。今年はなんと履修者が100名超え(!)でびっくりです。よく分からないけど去年の授業評価アンケートが良かったのとかあるのかな?なんにせよありがたいです。嬉しい。

この大学の授業も先のアウトリーチプロジェクトの一貫のつもりでやっているので頑張っています。

最近色々な人に美術の楽しさ面白さを伝えたい気持ちが本当に強いです。微力ながら美術というものに貢献できたら嬉しいなと思います。自分は美術や絵画に人生を救われてきたので、その魅力を広く伝えたい気持ちが強いんだと思います。頑張ります。

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