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維新は予備選を続けていいのか?

大阪維新の会は、この春の大阪市長選の公認候補予定者を決めるための党内予備選を実施しました。
それ以前では昨年、予備選ではないものの日本維新の会が初の代表選を実施しました。

そして現在、次期衆院選に向けて大阪府下の4選挙区の支部長を決めるための党内予備選が実施されています。
大阪市長選予備選からの流れもあり、私たち維新支持者の中で自然に受け入れている人が多いと思いますが、一度立ち止まって党内予備選の是非を考えたいと思います。

■党内予備選を実施することのメリット
・宣伝になる
 ⇒公選法に抵触しない範囲でしか実施できないという厳しさはあるものの、大阪市長選予備選を見ていると、多少は宣伝になっていると思います。

・多数決で選ばれることで敗者陣営も納得せざるをえなくなる
 ⇒通常の公募では、クローズな場で選考が進んでいくため、本命といわれる人物が選ばれなかった際などに不満が発生しやすい。これを予備選では防ぐことができます。選考の透明化だけを求めれば予備選以上のものはありません。

■党内予備選を実施することのデメリット
・見られる能力がほとんど「仲間を相手候補より多く作れたか」の一点のみになる
 ⇒通常の公募では、経歴、実績、政策、人柄、地盤看板鞄など多くの要素を勘案し選任されます。しかし今回の予備選ルールだと、単純に党員人気があれば当選します。これは人気投票と言い換えてよいでしょう。また、一般党員は各特別党員にぶら下がっているわけですから、特別党員を多く味方につけることで当選に近づきます。
特別党員を取り込む方法は様々ありますが、世話をしてきた・されてきた、飲み食いといった人間関係の他に、自身の政治団体から予備選に協力してくれた特別党員の政治団体へ献金を送るといった、資金力で差がついてしまう危険もはらんでいます。

・陣営、推薦人が分かれることで予備選後の不協和音の原因になる
 ⇒通常の公募であれば、選ばれた支部長に対して多少 不満を持つ地方議員がいたとしても、普通は大きなハレーションが起きずにやっていけるでしょう。党がこの支部長でいくと選任した=党の意思であり、これに反する方が目立ってしまうからです。
他方 予備選では、陣営や推薦人の顔ぶれが表に出るため、敵と味方に明確に分かれてしまいます。いくら予備選が透明化されているとはいえ、当事者たちからすれば、選挙後にわだかまりは確実に残ります。しかもそれは、公募による選任で不満を持つ人数とは比べ物になりません。
勝った側が党や議会で権力を持った場合、負けた側の推薦人名簿をそのまま「干すリスト」にしてしまうことが懸念されます。

・他の選挙区に回せない
 ⇒公募選考で希望の選挙区に選任されなかった場合、その人の評価が高ければ他の選挙区や他の選挙を打診されることがあります。
しかし予備選では今のところ、希望する1つの選挙区で負けたら終わりというルールになっています。
決め手のない候補しかいない別の選挙区から出ていたら絶対選ばれたであろう有能な人材が、あまりに強い相手とぶつかってしまうことで次のステップに進めないのは本人にとっても党にとっても損ですよね。
公募でいいところまで進み、希望の選挙・選挙区に空きはないと言われたが、他の選挙・選挙区を打診されて当選した議員は実際に沢山おられます。有能な人材を取りこぼさないためにはクローズな場で選考を進める公募が効率の良いやり方であると言えます。
もし予備選で負けた候補者が別の選挙(予備選)に出ようものなら「節操がない」という声が上がることが予想でき、それは違うんじゃないかというのが私の感覚です。


以上、私が思う予備選のメリットとデメリットを書いてきました。
「仲間を作ることが何より重要な党なんだ。」と言うのであれば、今の予備選ルールで国政選挙や都道府県議選挙の候補者予定者を決めるのがよいでしょう。ですが、それだと候補者の資質が偏りかねません。

また、衆参の大阪選挙区では維新の看板で当選の確率が相当に高まるため、だからこそ優秀な民間人にその枠を与えるという考え方もあります。
民間人は現在、大阪府内において国政選挙、府議選挙に出ることがほぼ不可能。市議経験者が府議選へ、地方議員経験者が国政へという価値観はありだとは思います。

しかし今回の予備選ルールであれば、青柳さんや高木さんや梅村みずほさんといった議員は誕生しなかったことになります。
新しい血を入れるという観点から見れば、「仲間を多く作る」が最重要視される現行ルールの予備選は不向きであると結論づけて締めたいと思います。

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