無限の宇宙、死生観をささやかに表現。名古屋発・フォークデュオ Menow の魅力
はじめまして、菊地と申します。音楽を聴くことが好きな名古屋在住の大学生です。先日とても素晴らしいアーティストと出会いましたので、ぜひ共有したいなと思ってnoteを初めてみました。
Menow
2020年から名古屋を拠点に活動開始。Slowcore/experimental folk duoを標榜する男女ユニット。メンバーは Vo./Gt. YukiyaとVo./Key. Maiko。
ツインボーカル、アコースティックギター、シンセによる２人編成のバンドですが、そのサウンドは普通にイメージするフォークとは全く違います。
Youtubeにライブ動画があったので、さっそく視聴してみましょう。
な、なんだ、この音の広がりは。そこに在ることを確かに感じさせながらも、すぐに消えていってしまうような儚さのある声と楽器の音。夢とうつつの境界が表現されているような独特の浮遊感。これがexperimental folk…!!。
お二人の見た目にも目がいきます。腰に届きそうなほどに長い黒髪に、白に統一された衣装。まるで神事に携わっているさなか、あるいは修験中のようにさえ感じます。優しく語り掛けるようでありつつ、何かを強く訴えかけるような目に感じる説得力のせいか、思わず聴き入ってしまいます。
Menowの楽曲の歌詞に、”月”や”空”だったり、”生まれ変わり”、”天国”といった言葉が多く含まれるのは、まるで地球・この世という括りを超えた宇宙・輪廻の存在を強調しているようです。サウンド面においても、決して派手ではないにも関わらず、楽器の音色・歌声が織りなす広がりはどこか無限に広がる宇宙を感じさせます。そこには、宇宙と個人の本質が同一であるという、「梵我一如」的な発想に通ずる感覚があるのかもしれません。
おすすめ曲『プラナリア』
Youtubeに少しですが音源が投稿されていたので、紹介します。『プラナリア』という曲です。やはりぼんやりとしたような、何処とない儚さを感じます。プラナリアといえば、身体が切断されても分裂したまま生きてしまう、あの生き物ですね。少し歌詞を引用します。
”君が記憶の中に旅立つ日をいまも心に
咲いてる花たちと踊ってる君を思い出す”
人が亡くなれば二度と現実には姿を見せないから、一見するとそれは死である。けれども、その人はあの世へ、あるいは私たちの記憶の中へ旅立ち、生きているかもしれない。あの世で生きているかを知るのは私たちには難しい。しかし、私たちの記憶の中に生きていることなら感じ取れる。亡くなった人に浮かべるそんな状況をプラナリアになぞらえているのかもしれません。
1stアルバム『泡~abuku~』
そんなMenowですが、今年に入って、1stアルバム『泡~abuku~』をリリースしています。その形態はCDでもレコードでもなく、カセットテープ。そして、サブスクなどの各種配信はしていない模様(2023年8月現在)。なんだそのスタイルは、かっこよすぎる。
私自身、カセットテープというものを初めて見たし、購入しました。ロストテクノロジーって感じがしてわくわくしますね（失礼）。「カセットの再生方法なんて知らないよ」っていう令和世代の皆さん、安心してください。付属のダウンロードコードから音源の入手が可能です。アルバムはライブ物販、レコードショップSTIFF SLACKの店頭及び通販サイトにて購入できます。
(通販ページ→http://www.stiffslack.shop/smartphone/detail.html?id=000000007064)
収録曲は全8曲。先ほど紹介した『青』、『プラナリア』も収録されています。ライブでの演奏に比べると、より洗礼されたスッキリとした音像。姿が見えないせいもあるのか、オルタナティブな印象は抑えられ、ポップな耳当たりを随所に感じます。
さらに、歌詞カードが同封されているのが嬉しいポイント。前後の曲との繋がりや、A面・B面の違いなどを考えながら聴けば、Menowの世界によりディープに浸かれます。
でもやっぱりライブがすごい
アルバムやYoutubeの映像を聴くだけでも楽しめますが、やはりMenowにはライブで目撃することで初めてわかる魅力もあります。頭を変に使うことなく力を抜いた状態のまま、スッと入ってくる音に身を任せられるMenowのライブは、さながら一種の瞑想体験。ぜひとも体感してほしいです。
僕が初めてMenowに出会ったのもライブハウスでしたが、一体どんな音楽をするのだろうかと思うや否や、今まで聞いたことのないサウンドに包まれ、茫然と立ち尽くしてしまったことを覚えています。というか、Menowだけでなく、その日のライブの出演者、軒並みすごかったので近いうちに紹介したいな。
名古屋のライブハウスを中心に出演されています。リリースツアーのときには東京にもいらしたようですね。各種SNSのリンクを掲載しておきますので、要チェックです。
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