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菓子折り持ってガソリンスタンドへお礼に行った

この4連休、「暮らしを整えようキャンペーン」を開催し、断捨離にいそしんでいた。
いつかどこかで聞いた「聖域なき改革」を旗印に、思い出の品々も処分処分、本はブックオフへ、雑貨と服はセカンドストリートへ、リユース不可なものは秋田市指定ゴミ袋へ。

そして今日は火曜日、燃えるゴミの日。30リットルゴミ袋5つをゴミ置き場へ持っていき、ああせいせいしたわ、とアパートへ帰ると、
ドアが開かない。
鍵がかかっている。
そして私は鍵を持っていない。

え、ウソでしょ?

私の部屋はカードキーなのだが、少しの間だからいいかと鍵を持たずに外へ出て、無意識のうちに鍵をピッとかけてしまったようだ。
そして悪いことに、スマホももっていない。手ぶら。無力。ジーザス。

顔から血の気が引いた。
ちびまる子ちゃんでよく見る、顔に縦線が入っている感じである。うっかりキートン山田も出てくるわ。

何かの勘違いであることを祈りながら押したり引いたりしたが当然開くことはなく、さあ困った朝6時50分。

アパートの1階に「鍵の紛失、水漏れなどはこちらの電話番号へ」と張り出してあったのを思い出し、まずはそこに書いてあるフリーダイヤルの番号を覚える。さすが用意がいいぜダイワハウス。
あとはどうやって電話をするかだ。

近所のコンビニへ行ってみるが、思いのほか混んでいて店員さんに声をかけられない。
公衆電話はないか、いや、一文も持っていないから電話はかけられないか、緊急通報の赤いのは押したらフリーダイヤルにもつながるものなのか、などとグルグル考えながらウロウロしたが、やはり昨今はそうそう見当たらない。
やはりコンビニか、と踵を返すと、近くのガソリンスタンドで開店準備をしているのが目に入った。
よく利用するセルフのガソリンスタンドだが、優しい応対をしてくれる店長さんだ。

思い切って声をかけ、事情を説明し、電話を貸してくれませんかとお願いすると、快く事務所の電話を貸してくれた。地獄に仏でござる。

さっき覚えたフリーダイヤルに電話してみたところ、ダイワハウスのお客様センター的なところへつながったが、個別の部屋の開錠はできないので、お客様ご自身で鍵の業者を手配してください、とのこと。業者の電話番号を2件教えてもらい、電話を切った。
解決策を示してくれたのはありがたいものの、残念ながらまだ気を緩めることはできない。

1件目、ケータイ番号。不通。まぁ朝の7時だしね。
2件目、フリーダイヤル。「住所を都道府県からお願いします」と言われた段階で何となく嫌な予感がしたのだが、その予感が当たってしまい、近くに事業所がないので対応できないとのこと。ジーザス。

再び1件目、頼むよーと思いながら電話したら、今度はすぐ出てくれた。
住所も秋田市内の比較的近くなので、30分以内には行けるとのこと。
神よ。

ガソリンスタンドの店長さんにお礼を言ってアパートに戻り、自分の車の横に佇み、肌寒いけどフリース着ててよかったな、とか、雨が降ってなくてよかったな、とか、人前に出られる格好でよかったな、とか、不安な気持ちを紛らわせるように、このシチュエーションでもよかったことを考えながら20分ほど待機した。

来てくれたのは思いのほか若いお兄さん。ざっとドアを見て「これは開きますね」と、心強い言葉。
ドアポストを外し(外れるもんなんですね)、中に器具を入れてものの3分ぐらいで開けてくれた。
あのときの安心感といったら。
手数料1万円+税、喜んでお支払いいたします。

締め出されてから解決するまで、正味1時間程度だったのだが、近年まれにみる不安な1時間だった。

無事に自分の部屋に入ってから30分ほどかけて心を落ち着かせ、これはガソリンスタンドにお礼に参らねばと思い、近所のマックスバリュでちょっとした菓子折りを買ってお礼に伺った。
店長さんはにこやかに受け取って「またよろしくお願いします」と言ってくれた。

もちろんガソリンは入れに行くけど、電話は借りに行くことがないよう、くれぐれも気を付けます。

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